【Jリーグ】名古屋、川崎戦連敗を活かしてバージョンアップへ

サッカー

2021.5.8

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(c)セレッソ大阪

 4月29日と5月4日に行われた川崎と名古屋の対戦は、J1リーグ首位と2位に付ける2チームの顔合わせとあって注目を集めたが、結果は川崎の4-0、3-2の2連勝で終わり、両者の順位は変わらないままだが勝点は9に開いた。

優勝争いで川崎が大きくリードを奪った形だが、名古屋の選手たちはこの敗戦で自分たちの現在地を確認。今週末5月8日のセレッソ大阪戦で仕切り直し、リーグタイトル獲得へチームのバージョンアップを目指す。

 勝点への影響が大きいビッグゲームを、英語ではシックスポインター(six-pointer)という。1試合の勝利で得る勝点3の倍の6ポイント分の効果があるとみなされているからだ。

今回の川崎対名古屋の2連戦はダブル・シックスポインターとして、開幕から無傷で勝点を稼ぐ川崎にはリードを広げて独走態勢に入る、名古屋には川崎を止めて勝点差を縮め、追い抜くチャンスだった。

 名古屋は、自分たちの良さを出せずに終わった第1戦から中4日で臨んだアウェイでの第2戦で改善。第1戦とは選手起用と布陣を変え、試合の立ち上がりからアグレッシブに相手に圧力をかけ、相手DFに苦し紛れのパスを出させる場面もあるなど、第1戦とは異なる試合アプローチの姿勢を見せた。

だが、前半31分、左CKにDFジェジエウ選手が頭で合わせて先制され、0-1で前半を折り返すと、後半開始5分で2失点目を献上した。

川崎MF三笘薫選手が左サイドで名古屋のDF成瀬竣平選手を反転でかわして切り込み、ゴール前にクロスを送ると、前線に顔を出したDF山根視来選手が決めた。その9分後の59分には、名古屋DF丸山祐市選手のバックパスがそのままゴールへ流れて0-3となった。

 名古屋は65分と72分に選手交代でベンチからFW齋藤学選手やFW柿谷曜一朗選手、FWガブリエル・シャビエル選手らを送り出し、73分にはMFマテウス選手からのパスを途中交代で右サイドバックに入ったDF森下龍矢選手が折り返し、これをMF稲垣祥選手が捉えて1点を返した。

さらに83分には、MFマテウス選手がFKを直接決めて1点差に詰めた。だが、あと1点が遠く、2-3で敗れた。

 川崎戦との連戦の前まで12試合で3失点とリーグ屈指の堅守を見せていた名古屋だったが、川崎との2試合で合計7失点を許した。第2戦の1失点目と2失点目では、名古屋は相手を捕まえることができなかった。

名古屋のマークをかわした川崎の選手の巧みさも光るほめるべきだが、3失点目は「相手が来ているなと思ったが出してしまった。僕の認知不足」という丸山選手の判断ミスも響いた。

 チームが試合終盤に2点を返して詰め寄っただけに、丸山選手は「あれがなければ」と、自身プロ生活10年目で初めって喫したオウンゴールを悔やんだ。

今季チームとしてボール保持率アップに取り組んでいると説明。そのボールを繋ぐ意識が、この場面では裏目に出た形になったようだった。

 新型コロナウィルス感染が確認された名古屋のマッシモ・フィッカデンティ監督に代わって、第1戦から引き続いて指揮を執ったブルーノ・コンカコーチは、「どんなに気持ちが入った試合をしていても、ミスをすれば負けるのがサッカー」と話し、3失点とも自分たちのミスによるものと嘆いた。

だが、次々と試合が続くシーズンはまだ3分の2ある。重要なのは失敗から何を掴むかだ。

柿谷選手は、Jリーグ王者との2連戦を通して、「自分たちにはやるべきことがまだまだあると分かった。もう1つ2つギアを上げてやっていかないといけない」と言う。

その上で、元日本代表FWは「負けて勝点を離されたのは事実だが、取り返していけるのは自分たち。成長していくいい機会」と話して、プレシーズンからチームとして取り組んできたことを継続して、自分たちのプレーを磨く意向を示した。

コンカコーチも、「川崎戦から修正点を含めて今後へどうつなげるか」だと指摘。「1戦目より2戦目ですごく良くなった部分など、次へつなげていくべき要素がいくつかあった。

負けたからといって、自分たちが取り組んできたこと全てが崩れて失ってしまったのではない。良かったものを持ち越して、さらに強くなっていくだけだ」と語る。

リスタートはセレッソ戦

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オンライン取材に応じる 柿谷曜一朗

川崎との連戦を終えて、川崎は無敗のまま12勝2分で勝点を38に伸ばした川崎に対して、名古屋は今季3敗目を喫して勝点は29のまま。

3位のサガン鳥栖、4位の横浜F・マリノスはそれぞれ勝利を挙げて勝点26、24で勝点差を詰めており、しかも、鳥栖は消化試合が川崎、名古屋の14試合より1試合少なく、マリノスは3試合少ない。名古屋は気の抜けない状態が続く。

名古屋の次の対戦は5月8日(土)のホームでのセレッソ大阪戦。今季6勝3分4敗で6位のセレッソは柿谷選手、DF木本恭生選手の前所属でもある。

柿谷選手は古巣について、「セレッソを支えているは清武選手。彼が気持ちよくプレーするとどのチームも勝てない」と最大級の賛辞と警戒を示し、木本選手は「無失点で勝ちたい思いが強い」と意気込む。

 セレッソは前節のガンバとの大阪ダービーで負傷交代したFW大久保嘉人選手は不在となりそうだが、新加入のFWアダム・タガート選手がその試合でJデビューを果たし、MF坂元達裕選手も負傷から復帰した。

一方、最終ラインには今季加入のDFチアゴ選手、神戸から移籍したDFダンクレー選手らが揃う。

 セレッソのレヴィ・クルピ監督は、コロナ禍でチーム合流が遅れていた外国人選手も揃ってきて、チーム状態にはポジティブな印象を抱いているが、対戦相手の名古屋については「リーグ戦で強さを見せて現在2位にいるチーム。我々は互角以上の戦いをして勝利につなげたい」と話している。

 昨シーズンの対戦では、アウェイで2-0、ホームで1-0と名古屋が2勝しているが、コンカコーチは、「セレッソはここ数年を見ても勝つベースを持っているチーム。新戦力も融合していて、手強い相手になる」と警戒。

名古屋にとっては、再びタフな相手との対戦となるが、川崎との連敗から今後のバージョンアップへつながる第一歩の試合でもある。

名古屋の丸山選手は、チームが目指すリーグタイトル獲得へ「まだチャンスがあるし、諦めるような状況ではない。次のセレッソ戦で勝点を取ることが大事になる」と語り、次の対戦へ視線を向けている。


取材・文:木ノ原句望