【凱旋門賞】地元フランスのダリズが優勝 日本勢は悲願達成ならず ビザンチンドリームの5着が最高

写真:AP/アフロ
気まぐれな天気に振り回されても~第104回凱旋門賞回顧~
雨なのか、それとも晴れるのか――パリの空は最後まで気まぐれだったように思う。
世界最高峰のレース・凱旋門賞において重要なポイントとなる馬場状態。
欧州特有の重たい馬場に日本馬は毎年のように苦戦を強いられてきたが、今年は降ったりやんだりという天気に最後まで振り回された感がある。
例えばレース当日、現地にいる記者やファンのXの投稿を見ると、パリロンシャン競馬場の馬場に虹がかかった素晴らしい写真がアップされ、レースまであと1時間を切ったころのパドックでは青空が広がっていた。
このままいけば勝てるかもしれないと、日本のファン馬思ったことだろう。
今年の凱旋門賞には3頭の日本馬がエントリー。今年の日本ダービーを制して世代の頂点に立ったクロワデュノール。
天皇賞(春)で2着に入り、現役屈指のスタミナを誇るビザンチンドリーム、そして父にドゥラメンテ、母父にオルフェーヴルを持ち、日本競馬の歴史そのものといった血統構成を持つアロヒアリイ。
実績も個性も異なる3頭だが、いずれも現地のレースで勝利してこの大一番に臨んでいる。それだけに今年は例年以上にチャンスがあると思われた。
ところがレース直前、パリロンシャン競馬場に再び雨が降った。カメラにも映ったように強く振り始め、日本馬には苦しいレースになることが予想された。
だが、そんな中でも日本馬は挫けなかった。ゲートが開いたした瞬間、絶好のスタートを切ったのは他でもない、大外にいたクロワデュノールだった。
馬場状態も、不利と言われている大外枠からのスタートも関係ない。「俺たちは俺たちのレースをするまでだ」と言わんばかりにすぐに先頭集団に食らいついていく。
その後ろの集団にはアロヒアロイが付けて、やや出遅れ気味のスタートとなったビザンチンドリームは後方に位置を取り、最初のコーナーへと向かっていった。
前半の1000mを過ぎるころ、先頭を走っていたアイルランドの3歳馬ホタツェルをクロワデュノールが交わした。
ペースは決して遅いわけではなく、平均的な流れの中でハナに立った。ライバルである16頭を従える形での積極策はまるで日本馬の意地を見るかのよう。
夢にまで見た凱旋門賞のゴールをこのまま先頭で突き抜けてみせるという強い意志を感じる積極策だった。
クロワデュノールが先頭に立ってから3コーナーを過ぎ、フォルスストレートを越え、そうしていよいよ最後の直線に入った。
大歓声の中、先頭を走っていたのはクロワデュノールだった。
思えば日本ダービーの時も早めに先頭に立って、ライバルたちの追撃を力でねじ伏せて勝利を収めた馬だったが、さすがにパリの舞台ではそうはいかなかった。
すぐ後ろにいた欧州オークス三冠を達成した3歳牝馬ミニーホークに交わされると、もうなす術はなかった。
ミニーホークが先頭に立ち、外からフランスのダリズが迫る中、内を突いたビザンチンドリームが懸命に前を追う。
日本トップクラスのスタミナを誇るステイヤーが懸命に脚を伸ばしていくも、斤量差のせいかそれとも馬場のせいか、前を行く3歳馬たちにどうしても追いつけない。
クリストフ・ルメールの鞭に応え、アロヒアリイも懸命に追いすがる。だが、序盤でスタミナを使い果たしてしまったのか、失速してくるクロワデュノールと同じように後方へ下がってしまっていた。
残り100m。日本馬3頭が苦しくなった中で勝負の行方は3歳馬2頭の競り合いに。
追加料金を支払ってまでこのレースに挑んだミニーホークと初のGⅠタイトルを目論むダリズ。両者一歩も引かないデッドヒートとなったが、最後は外から迫ったダリズがゴール寸前でミニーホークを捕らえてゴール。
前哨戦のプランスドランジュ賞ではクロワデュノールに敗れたが、本番では見事に逆転。力強い走りで世界最高峰のレースでGⅠ初制覇を飾ってみせた。
日本馬の際先着は5着のビザンチンドリーム。後方で脚を溜めながら、直線で内を突いたことで好結果を生んだが、上位とは明確な差があっただけに完敗だった。
レース後、解説を務めた騎手の坂井瑠星は「馬場に尽きる」と残念そうにコメント。
ただでさえ日本よりも芝が深く、スタミナが問われる深い馬場な上に今年は降ったりやんだりと言うように最後まで天気が安定せず。レース直前に雨が降り出したことで余計に走りにくかったことは想像に難くない。
だが、そんな中でスタートからポンとゲートを出ていき先頭に立ったまま最後の直線を迎えたクロワデュノール。
馬群についていったアロヒアリイ、そして後方から懸命に追いかけたビザンチンドリーム......レース振りは三者三様だったが、いずれも力を出し切ったことは間違いない。
むしろ最後の直線、クロワデュノールが先頭でやってきた時はここ数年で一番と言っていいほど、手応えを感じたのは間違いない。
挑戦した3頭、そして日本馬たちにとってこの敗戦が糧になる日は必ず来る。雨上がりのパリロンシャン競馬場の馬場を見て、そう確信した。
■文/福嶌弘
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