【阪神JF 見どころ】28年ぶりの大混戦を抜け出す新たな才能は現れるか

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2025.12.14

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第77回阪神JF(c)SANKEI

第77回阪神JF見どころ

「こんなこともあるなんて......」今年の阪神JFの出走馬を見て、驚いたという競馬ファンも少なくないだろう。

なんせ、2歳女王決定戦となるレースにもかかわらず重賞勝ち馬がただの1頭もいないのだから。

出走馬に重賞勝ち馬がゼロだったという阪神JFは28年前までさかのぼる。

当時は阪神3歳牝馬Sという名前で行われていたが、ファンタジーS2着馬のシンコウノビーが1番人気に支持されるも、単勝オッズが10倍未満の馬が5頭もいるという混戦模様。

まさにどの馬が勝ってもおかしくないという雰囲気だった。

そうした混戦を切り裂いたのは7番人気の伏兵アインブライド。2着にも6番人気のキュンティアが入ったが、馬連の配当は6000円と意外にも中波乱の結末に。

ただし3着には8番人気馬ダンツシリウスが食い込んだため、もし3連単が販売されていたら大万馬券が飛び出していたことだろう。

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アランカール(c)SANKEI

戦前から混戦模様のニオイが漂う今年の阪神JFだが、重賞勝ち馬に負けず劣らずの素質を秘めた期待馬も決して少なくない。その筆頭格と言えるのがアランカールだ。

オークス馬シンハライトを母に持ち、デビュー前から期待値の高かった彼女は430キロ前後の小さな馬体で弾むようなフットワークを見せて、福島で行われたデビュー戦を快勝。

2戦目の野路菊Sで彼女は圧倒的なパフォーマンスを見せた。

スタートこそ、デビュー戦に続いて出遅れてしまい後方からのレースとなったが、逃げたスウィッチインラヴのスローな流れにもしっかりと折り合って脚を溜めると、直線では外から猛追。

前を行く馬たちをごぼう抜きにして、最後まで踏ん張ったスウィッチインラヴに3馬身半もの差を付けて圧勝した。

まさに次元の違う走りという表現がピタリとはまる走りに対し、鞍上の北村友一はレース後に「追い切りから初戦と違う瞬発力や反応の良さが出ていました。冷静に走れていましたし、今後もこのような競馬ができれば」と、その将来性を高く評価した。

2戦2勝とキャリアは浅いが、ここで2歳女王の座を射止めるようなことがあれば一気に世代のトップへと君臨する。

過去にはソダシなど後のGⅠ戦線でも活躍した馬たちも射止めた無敗での2歳女王の称号を彼女も得ることができるだろうか。

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マーゴットラヴミー(c)SANKEI

無敗での2歳女王の挑戦権はアランカールだけの特権ではない。京都で2戦2勝としたマーゴットラヴミーもその座を虎視眈々と狙っている。

デビュー戦は内枠を利して先行策を取り、直線早めに抜け出して押し切るというレースセンスの高い走りで完勝。

時計の出やすい馬場だったとはいえ、コースレコードを記録するという辺りにこの馬の非凡さがうかがえた。

軽快なダッシュ力は続く白菊賞でも存分に発揮された。今度は大外枠からのスタートとなったが、それをも臆せずにゲートが開いた瞬間から積極的に前へと進みハナを切った。

マイル戦を意識したのかペースを落とした緩やかな逃げで脚を溜めると、直線に入ってもその脚は衰えず。むしろ後続をさらに離していくという堂々たる逃げで押し切り無傷の2連勝を飾った。

ここまで池添謙一、菱田裕二と騎手が固定されなかったが、今回は武豊が手綱を取る。レジェンドの手綱で2歳女王の座を射止めるか。

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タイセイボーグ(c)SANKEI

重賞勝ち馬がいない混戦模様の年だからこそ、重賞実績のある馬が有利になるのは間違いない。

それも複数回馬券圏内に入っている馬ならなおさらだ。そんな実績面で上位に立つのがタイセイボーグだ。

安田記念を制した名マイラー・インディチャンプの初年度産駒である彼女の武器はその堅実さ。

夏の阪神で迎えたデビュー戦は好位から抜け出して快勝すると、新潟へ遠征。ダリア相は出遅れながらも懸命に追い込んで2着を確保。

続く新潟2歳Sは勝ったリアライズシリウスばかりが注目されたが、中団からしっかりと伸びてきた彼女はここでも2着に入った。

2度目の重賞挑戦となったアルテミスSではまたも出遅れるという最悪なスタートを切ったが、後方で脚を溜めて直線を向くと、猛然とスパート。

勝ち馬よりも速い上がり33秒7というキレのある末脚を繰り出して3着に食い込んだ。

ここまで4戦すべてで馬券圏内入り。出遅れ癖が気になるが、それをカバーできるだけの末脚の破壊力もある。

無敗馬ばかりが人気を集める中で重賞実績のある彼女が経験にモノを言わせて押し切ること十分にあり得るだろう。

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ヒズマスターピース(c)SANKEI

歴代の阪神JFの勝ち馬を振り返れば名牝たちの宝庫。そして名伯楽である国枝栄が得意としているレース。

来年2月で定年を迎える彼が最後にこのレースに送り出した逸材がヒズマスターピースである。

デビュー戦は6着と凡走したが、2戦目の未勝利戦で楽々と逃げ切り勝ち。3戦目として選んだのはこちらも名牝の登竜門となっている赤松賞。

マイナス16キロと馬体を絞って迎えたこのレースでも彼女はスタートから敢然と逃げると、後続に並ばせることなく押し切るという強い内容で勝利。これで東京のマイル戦では2戦2勝としてみせた。

半兄のヴェローチェエラと比べるとフットワークが柔らかく、広くて大きいコースが得意なタイプ。それだけに外回りの阪神芝マイル戦への適性は高いはず。

国枝厩舎の馬が赤松賞を制してこのレースに挑んだのは過去に4回あるが、その成績は[1・2・0・1]。

名伯楽お得意のローテで挑む最後の2歳女王決定戦、彼女が名牝の伝統を引き継ぐのかもしれない。

混戦模様と言われながらも、見どころに溢れる今年の阪神JF。暮れの仁川を少女たちの才能が開花する瞬間をその目に焼き付けたい。


■文/福嶌弘

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■第77回阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)枠順
2025年12月14日(日5回阪神4日 発走時刻:15時40分

枠順 馬名(性齢 騎手)
1-1 アンヘリータス(牝2 吉村圭司)
1-2 レディーゴール(牝2 松若風馬)
2-3 ミツカネベネラ(牝2 津村明秀)
2-4 アランカール(牝2 北村友一)
3-5 ギャラボーグ(牝2 川田将雅)
3-6 アルバンヌ(牝2 坂井瑠星)
4-7 マーゴットラヴミー(牝2 武豊)
4-8 ヒズマスターピース(牝2 藤岡佑介)
5-9 スターアニス(牝2 松山弘平)
5-10 イヌボウノウタゴエ(牝2 酒井学)
6-11 スウィートハピネス(牝2 高杉吏麒)
6-12 メイプルハッピー(牝2 岩田康誠)
7-13 フロムレイブン(牝2 吉村誠之助)
7-14 スタニングレディ(牝2 和田竜二)
7-15 ラスティングスノー(牝2 菱田裕二)
8-16 ローズカリス(牝2 田口貫太)
8-17 タイセイボーグ(牝2 西村淳也)
8-18 ショウナンカリス(牝2 池添謙一)
※出馬表・成績・オッズ等は主催者発表のものと照合してください。

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