【ベガルタ仙台】手倉森誠監督「有難いことにもう”手倉森の風”が吹いている」

サッカー

2021.2.17



田中将大の東北楽天イーグルス復帰が大きな話題となっている中、サッカー界でも、名将・手倉森監督のベガルタ仙台復帰は大きな話題だ。チームの宮崎でのトレーニングキャンプ中に、番組アナリストの福田正博がリモートでのインタビュー取材を行った。

「あの震災から10年になる。それに心を動かされた」と、仙台復帰の要因を語った手倉森監督。リオ五輪代表監督、ロシアW杯日本代表コーチ、そしてV・ファーレン長崎監督とここ数年、代表チームやクラブチームに関わってきたが、かつて指揮したベガルタは常に心の中に存在していたようだ。

「昔を知っている人はまた一緒に戦ってくれる人たち。楽天のマー君も8年ぶりの復帰だけど仙台のマー君(*手倉森監督自身のこと)も8年ぶりに復帰なのよ」と笑う。

かつて指揮した時は、"東北のために"を合言葉に、クラブ史上最高となる2位という成績でACLにも出場した。その年、楽天イーグルスも日本一。「東北のためにもう1回立ち上がろう」今年は仙台から目が離せない。

ー8年ぶりにベガルタ仙台に復帰した理由は?

まず、前回チームとの契約が切れるタイミングでオファーがあったということ。その中で一番考えたことは、震災から10年目という節目の年で、昨年ベガルタで色々な出来事がありまた挽回力が必要だと思った時に、この苦しい状況で監督を引き受けるなら俺しかいないだろうなと思って引き受けました。

ー絶妙なタイミングで、縁を感じた?

感じましたね。V・ファーレン長崎をJ1に昇格させるために懸命に取り組んでいたけどそれを果たせなかった。その中でベガルタのオファーがすぐに舞い込んできた時に、戻るような出来事にさせられたのかなっていう風に考えましたね。

ー決断するまでに迷いとかはあった?

若干考えました。昇格を果たせなかったことの悔しさと、そこに対して足りないものに向き合う時間がもう少し欲しいなと思ったんですけど、でもやっぱり必要とされて懸命に口説かれたセリフの中に、「震災から10年目」というフレーズが自分の気持ちをグッと動かしてくれました。



ーキャンプも通じて今のチームの状態はどう?

既存のメンバーと新しいメンバーが融合してフレッシュさがもちろんあるんですけど、長く関わってきたクラブなので長年一緒にやっているような感覚があって、クラブ自体も自分のやろうとしていることへの理解がものすごく早く、ありがたいことに"手倉森の風"がものすごく吹いているなっていう感じがします。

ー選手の補強は上手くできた?

実は選手の強化に関しても、以前僕をV・ファーレン長崎に誘ってくれていた時の強化本部チームが仙台に来ていて、自分の求める選手のタイプを理解してもらっていたのでピックアップしている中から選ばせてもらいました。それで実際にリモートで選手を口説く仕事が、まだお金をもらっていないのにあって、自ら口説き落とさせてもらいました。みんなよく来てくれたなって思います。

ー今回震災から10年目での監督就任で、特別な想いはある?

「standing together revival」というスローガンを決めています。去年低迷していた成績や経営不振のクラブイメージ、選手の不祥事が重なってすごく苦しんだシーズンに対して、震災から10年目の復興への希望の光にならなければならないと思っています。そうなった時に、全員がもう一度手を組んで立ち上がろう、というスローガンを今年は掲げました。

去年気持ちが離れていったサポーターもいたと思うんですけど、その人たちをもう一回呼び戻そうと、一緒にまた被災地に光を照らそうとという意味を込めてこの言葉をスローガンにしました。



ー最適な旗振り役をベガルタは置けたと思うけど、責任も重いよね?

そうですね。今ものすごく期待をかけられているのを感じるんですけど、あの頃のことを知ってくれている人っていうのは期待と共に一緒に戦ってくれる仲間だと思っているので、力を全員で注げられるんだという気にはなっていますね。

ー仙台と言えば、今年野球界では田中将大投手が楽天に戻ってきて注目されている。サッカーもという思いはある?

マー君も8年ぶりなんですよね。ベガルタのマー君も8年ぶりなんです(笑)。

震災が起きて、2011年には4位になって2012年には準優勝、僕らがACLを戦っていた年に、楽天が日本一になりました。2013年に田中投手はメジャーに行って、僕はオリンピック代表の方に行ったんですけど、それからお互いに震災から10年っていうタイミングで復帰したということは、呼び戻された運命だなと思います。

10年経って風化させてはいけないし、まだまだ復興に関して苦労されている方もいる。そこにこのコロナ禍で、いよいよ壊れたものを直すだけでなくて苦しい人々の心の復興が大事になってくるんじゃないかと思った時に、心の復興はスポーツによって寄与されるものだろうなと思うところがあるんです。サッカーも野球も、東北を活気付かせるためにそれぞれ強いチームを表現しなければいけないタイミングだと思っています。

ー今年の抱負は?

まずはやっぱり去年苦しんだ分、今年一気に全てが上手くいくと簡単に考えてはいけない年だろうなと思っています。これからクラブが発展していく為に、地道なことをきっちりやり続けるということを肝に銘じなければいけない年で、一つ一つの戦いを大事にして勝利を積み重ねて、一つでもより高めにいく姿勢を示さなければならない年だと思っています。

ー今シーズンもダジャレは出す?

今すかさず使っているのは、「"8期"ぶりにクラブに復帰したので、その力を"発揮"しよう」です!