女子W杯開幕戦 日本人審判チームが好ゲームを後押し 歴史に新しい1ページが刻まれる
2023.7.21
手代木直美、山下良美、坊薗真琴 写真:アフロ
オーストラリアとニュージーランドで共同開催されるサッカーの女子ワールドカップ(W杯)が7月20日に開幕。
ニュージーランドが開幕戦で優勝経験のあるノルウェーに1-0で勝って出場6大会目でW杯初勝利を挙げ、オーストラリアもアイルランドを1-0で退けて、それぞれ地元で好スタートを切った。
オークランドでオープニングセレモニーに続いて始まったニュージーランドとノルウェーの試合では、42,137人の観客を集め、地元ファンの声援もあって、前回2019年大会ベスト8のノルウェーに対して、過去5大会の15試合で3分12敗と勝ち星のなかったニュージーランドが躍動した。
日本人審判チームが好ゲームを後押し
ニュージーランドでの大会開幕戦を担当したのが山下良美レフェリーと、アシスタントレフェリーの坊薗真琴、手代木直美の3人の日本人審判団だった。
女子W杯の開幕戦の主審と副審を日本人チームが務めるのはこれが初めて。
大会の開幕戦はその大会のレフェリングの基準を示す要素もある大役だが、昨年の男子のカタールW杯にも初の女性審判員の一人として選出されていた山下主審は、副審の二人とともに終始一貫して冷静かつ安定感のある試合裁きを見せた。
85分にノルウェーのエミリー・ハーヴィにこの試合唯一のイエローカードを出すまでは特段目立った動きはなかった。
だが、そのまま試合終了かと思われた88分、ニュージーランドの右サイドからの攻撃でノルウェー選手のハンドの有無の確認でVARと交信し、オンフィールドレビューでチェック。女子W杯では今大会から導入された観客へのアナウンスも「PKと判断した」と毅然と行った。
山下主審は2021年からJリーグでも笛を吹き、昨年からはJ1リーグやAFCチャンピオンズリーグでもレフェリーを務めてきた。昨年11~12月の男子W杯にも初の女性審判員の一人として選出され、カタール大会では6試合で第4審判を務めた。
今回の開幕戦では、終盤のVAR判定より前の後半途中にもノルウェー選手のハンドの有無を巡ってVARとやり取りする場面もあり、そこではオンフィールドチェックには至らず、PKではないと判断されたが、どの場面でも落ちつきと自信が感じられる態度で、淡々と試合を進めた。
日本人審判とW杯の関わりは古く、1970年メキシコ大会に丸山義行が初選出され、2試合で副審を務めた。
その16年後に再びメキシコで開催された1986年大会では高田静夫が日本人として初めて主審を務め、以後、岡田正義、上川徹、西村雄一と続き、上川は副審の廣嶋禎数とともに2006年ドイツ大会3位決定戦を担当。西村は2014年ブラジル大会で開幕戦の主審を務めた例がある。
今回、日本人審判の歴史にまた新しい1ページが刻まれた。
文・木ノ原 句望