タイトルホルダー「引退しても走る気満々の快速ステイヤー」【もうひとつの引退馬伝説2】

タイトルホルダーが菊花賞を制す(c)SANKEI
イメージがまったく違ったファーストコンタクト
2021年の菊花賞を勝利、4歳春には天皇賞・春と宝塚記念を連勝したタイトルホルダー。
中長距離戦において自身最大の武器であるスピードの持続力を活かし、数々の圧倒的なパフォーマンスを披露した同馬は現在、北海道新ひだか町のレックススタッドで種牡馬として第二の馬生を送っている。
その様子を著名な競走馬の引退後を追った『もうひとつの引退馬伝説2〜関係者が語るあの馬たちのその後』(マイクロマガジン社、2025年10月9日発売)から一部抜粋・編集してお届けする。
まだまだ現役で走れそうだな――
種牡馬2年生になったタイトルホルダーの姿を見て、そんな印象を抱いた。
取材でレックススタッドを訪れた日は撮影のために普段とは違うルーティンで放牧地に放されたということもあり、少々興奮してしまったのか、タイトルホルダーは放牧地内をまるで競馬場でのレースのように爆走。
ただし、柵が近づくとスピードを緩めてその直前で止まり、進行方向を変えてまた全力疾走を数回繰り返していた。
まさに現役時代さながらの元気いっぱいでパワフルな様子だったが、日ごろのケアを担当している岡崎大輝さんによると、普段から馬房にいるより、放牧地にいるのが好きなタイプではあるものの、ここまでパワフルな姿を見せることは少ないという。
「引退の話が出たころから、『ここにやってくるだろう』という予感はしていました。GⅠを3勝もした馬なので、気が強いのかな? というイメージを持っていましたが、実際に対面するととにかく馬体の細さに驚きましたし、何より大人しい馬だったのでイメージとは全然違うなと思いましたよ」
タイトルホルダーがレックススタッドにやってきたのはラストランとなった有馬記念(2023年)直後。
それだけに馬体は絞り切れた状態だったが、日を追うごとに大きくなり、今では540~550キロと現役時代(460~470キロ台)よりもだいぶ逞しく、徐々に種牡馬らしい体形になっている。
だが、岡崎さんが当初イメージしていた気の強さや荒々しさはまったく見られず、普段はきょとんと大人しくしていることがほとんどだという。
幼少期から現役時代は牧場内でいわゆるボスキャラだったという逸話があるタイトルホルダーだが、ここではそうしたそぶりを見せることはない。
先輩種牡馬でボス格のゴールドドリームを立てながら、どの馬とも仲良く、興味を持って寄っていくという気の良さを見せている。それだけに冒頭のような荒々しいほどの走りやエネルギッシュな姿を見せるのは本当に珍しいと岡崎さんも驚くほどだった。
「あれだけ元気いっぱいにパワフルに走るのは珍しいですが......柵に近づくと急ブレーキをかけてクルッと方向を変えてまた走り出すというところに、この馬の運動神経の良さが出ていましたね」
岡崎さん曰く、タイトルホルダーの四肢は他の馬と比べると非常に強く、前掻きの強さにその片鱗が見えるという。こうしたところからもやはり並の馬ではないことを強く感じさせてくれる。
■タイトルホルダー プロフィール
生年月日:2018年2月10日生まれ
性別:牡馬
毛色:鹿毛
父:ドゥラメンテ
母:メーヴェ(母父:モティヴェーター)
調教師:栗田徹
馬主:山田弘
戦績:19戦7勝
主な勝ち鞍:菊花賞、天皇賞・春、宝塚記念
生産牧場:岡田スタッド(新ひだか)
現在の繋養先:レックススタッド(新ひだか)

もうひとつの引退馬伝説2 ~関係者が語るあの馬たちのその後
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それぞれの関係者に直撃取材し、知られざる第2・第3の馬生を紹介していきます。
編:マイクロマガジン引退馬取材班
発売日:2025年10月9日
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