【マイルCS】絶対王者・ジャンタルマンタル マイルGI完全制覇を成し遂げた”間違いのない”走り

(c)SANKEI
これはもう、ジャンタルマンタルで決まりだ―― 今年のマイルCS、第4コーナーから最後の直線への立ち上がりの場面でそう感じた方は多くいたことだろう。
近年稀に見る豪華メンバーが揃った今年のマイルCS。
昨年のこのレースの勝ち馬ソウルラッシュに今年のヴィクトリアマイルを制したアスコリピチェーノに、昨年の牝馬二冠馬チェルヴィニア。
そしてスワンSを勝ってここに来た3歳の新鋭オフトレイルに欧州からの刺客ドッグランズ...
そうしたメンバーが揃ったにも関わらず、単勝オッズ1.8倍という圧倒的な支持を得たジャンタルマンタルは文字通り、頭ひとつ抜け出た存在となっていた。
秋晴れの中で行われたパドックでもそうだった。
特に目立つしぐさを見せるわけではなかったが、気合いを内に秘めて一歩、また一歩と歩みを進める様子にはまさに王者の風格が漂い、他の馬たちとは一線を画していた。
「チャンピオンはこの俺だ!」と言わんばかりの神々しいオーラがジャンタルマンタルを包んでいるようにさえ感じられるほどだった。

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ジャンタルマンタルの堂々とした様子はレース中にも見られた。
係員に促されるままにスムーズにゲートに入ると、自身よりも外にいたソウルラッシュほどではなかったが好スタートを決めた。
最内枠のトウシンマカオがハナを主張し、さらにエルトンバローズが逸れについていく形になったため、ジャンタルマンタルは3番手に控える形に。
他馬に揉まれることなく、スムーズに好位に付けていくというレース運びは春の安田記念とほぼ同じ。
いわばこの馬の勝ちパターンとも言えるポジショニングだったが、それを危惧したのか、アスコリピチェーノやガイアフォースといったライバルたちは普段よりも前に付けた。
その姿はまるで「ジャンタルマンタルさえ交わせば、勝てる」と言わんばかりだったが......そうした厳しいマークですら、ジャンタルマンタルはまるで楽しんでいるかのように追走していった。
トウシンマカオが積極的に飛ばしていったことで前半の3Fは34秒2と速い時計が記録されたが、2番手以降が固まっていたため実質はスローな流れに。
マイル戦は少々長いはずのトウシンマカオが失速するのは時間の問題で、勝負は直線での切れ味勝負。いわゆるスローな流れからのヨーイドンになるかと思われた。
そうして迎えた最後の直線、ジャンタルマンタルは異次元のパフォーマンスを見せつけた。
第4コーナーから、最後の直線への立ち上がり。先頭を走るトウシンマカオを外からジャンタルマンタルが捕まえて先頭に立った。
普段ならば少々早めの仕掛けに映るが、この日のジャンタルマンタルにとってはまさにベストなタイミング。大歓声に包まれた直線をジャンタルマンタルはただひたすらに駆け抜けていった。
西日が差している京都の直線、各馬の影がゴール方向に縦に伸びていったが、ジャンタルマンタルの馬体に並ぶ影はひとつもなかった。
勝利へ向けてひた走る王者をライバルたちは懸命に追いかけてはいたが、その勢いはまさに雲泥の差。届く様子が全く見られなかった。
気が付けば、ジャンタルマンタルと各馬との間には決定的な差ができ、この時点で「勝負あった」と感じたファンは多くいたことだろう。
マイル界の絶対王者としてジャンタルマンタルは完璧なまでの走りを大観衆の前で見せつけた。

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ジャンタルマンタルが完全に抜け出した残り100m。
ようやく内からガイアフォースとウォーターリヒトが詰め寄ってきたが、時すでに遅し。王者は2頭が懸命に競り合いながら伸びてくる1馬身以上前にいて、大歓声に包まれたまま光の輪に飛び込んでいった。
好スタートを決めて道中は3番手を追走し、第4コーナーから直線に向いたところで先頭に立って後続の追撃を封じて勝ち切るというまさに正攻法。
間違いのない王者の走りでジャンタルマンタルはGⅠ4勝目、牡馬が走れる国内のマイルGⅠの完全制覇を達成。
タイキシャトルやデュランダル、ロードカナロアといった歴代の名マイラーたちが誰もなしえなかった史上初の大記録を涼しい顔をして成し遂げた。
ちなみに今回の勝ち時計の1分31秒3は42回の歴史を誇るマイルCSのレースレコード、そして鞍上の川田将雅にとってはGI通算30勝。
管理する高野友和調教師はGI通算10勝目... ジャンタルマンタルのGI 4勝目は多くのホースマンたちにとっても節目の勝利となった。
「チャンピオンであることを証明できて、ホッとしています」と、レース後のインタビューで川田はそう答えた。
ジャンタルマンタルの状態の良さを返し馬の時点で感じ、馬のリズムを優先した走りに徹することでジャンタルマンタルの真の強さを引き出したようにも思えた。
まさに完全無欠、マイル界の絶対王者となったジャンタルマンタル。
今後は世界の強豪たちを相手にするため再び海を渡るか、それとも距離の壁を越えてまだ見ぬ敵に挑むのか......今後の彼の挑戦からは目が離せなくなりそうだ。
■文/福嶌弘
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