【思い出に残るジャパンC】ドウデュース これぞ日本総大将!力強く伸びた上がり32秒7の衝撃
2025.11.29
ドウデュースと武豊騎手(c)SANKEI
ホースマンたちの思い出に残るジャパンカップは?
今年で45回目を迎えるジャパンCが11月30日(日)に開催。それに先駆けてYoutubeチャンネル「テレ東競馬チャンネル」では総勢20名のホースマンに「思い出のジャパンC」について深堀り。
その中でも注目すべき名レースをピックアップ。今回は日本総大将となったドウデュースがその実力を誇示した2024年のジャパンC。
第44回 ジャパンカップ
ジャパンCをこれまでに5勝している競馬界のレジェンド・武豊が「思い出深い」として挙げたのはちょうど1年前、ドウデュースが突き抜けた2024年のジャパンCだった。
2歳時には朝日杯FSを勝利し、3歳になると後に世界一の称号を得る事になる最大のライバル・イクイノックスを相手にダービーを制するなど、常に日の光を浴び続けた稀代のスターホース・ドウデュース。
しかし、4歳になると勝利から遠ざかり一時はイクイノックスに大きな差を付けられたが、グランプリレース・有馬記念で勝利して見事に復活。
現役を続行した5歳では前年に獲り逃した天皇賞(秋)で上がり3ハロン32秒5という異次元の末脚を繰り出して先行馬たちをごぼう抜きにして快勝。GⅠ4勝目を記録し、満を持してジャパンCへと駒を進めてきた。
ドウデュースが挑んだこの年のジャパンCは出走14頭中10頭がGⅠ馬という超豪華なメンバー。
遠征してきた外国馬はこの年のキングジョージの勝ち馬ゴリアット、そしてディープインパクトのラストクロップにして英愛ダービーを制したオーギュストロダンなど、近年では稀に見る大物が揃ったことで久しぶりに「日本馬VS世界の強豪」という図式で大盛り上がりを見せた。
そんなメンバー構成の中で大きな注目を集めたのが、「日本総大将」と称されたのがドウデュースだった。
秋晴れの中で行われたレース。スタート直後から先頭に立ってペースを作ったのはこの年の凱旋門賞に挑んだ3歳馬、シンエンペラーだった。
ダービーで3着に入った後に敢然と欧州へ遠征し、凱旋門賞は馬場に泣いて大敗。
そうして帰国早々に向かえたのがこの一戦だった。この時シンエンペラーを担当していた前川恭子調教師(当時は矢作芳人厩舎のスタッフ)は「凱旋門賞のダメージがまだ残っている中で、これだけの走りをしてくれた」と、目を細めた。
シンエンペラーが作った流れは1000m通過タイムが1分2秒2という緩やかなもの。
この流れに折り合いを欠く馬も現れたが、ドウデュースは鞍上武豊の指示に従い、最後方に近い位置取りから動かない。まるで、その時が来るのを待っているかのように。
そうして迎えた第3コーナーの下り。ここで遂にドウデュースが動いた。外から1頭、また1頭と交わして馬群の外へ。
その隣には英ダービー馬オーギュストロダンがいて、直線を向いた際は日本と世界のスターホース同士が並び合う形になったが、その勢いは雲泥の差があった。
ここからは、ドウデュースのショータイムとなった。
直線を向いた直後にオーギュストロダンを並ぶ間もなく抜き去ったかと思えば、二冠牝馬チェルヴィニアとともに上がっていき、1頭、また1頭と交わしていくと残り400mの時点で逃げるドゥレッツァを交わして先頭に。
これまではゴール直前に先頭に立つことが多かったドウデュースだが、キャリアで初めて直線半ばで先頭に立ってみせたのだ。
まるで弾丸のように伸びてきたこの時の末脚を永島まなみ騎手は「テレビからも伝わる豪脚」と振り返るほどだった。
大歓声に包まれながら、栄光のヴィクトリーロードを疾走するドウデュースに二の脚を使ってドゥレッツァとシンエンペラーが迫ってきたが、ドウデュースはもう止まらない。
武豊の左鞭が一発、また一発と入るたびに加速して後続馬たちをクビ差凌いでゴールに飛び込んだ。
このレースを振り返り、武豊は「気持ちとしては負けられない一戦だったが、改めてすごい馬だと思った」とドウデュースの底知れぬポテンシャルに感服。
そして2着同着となったシンエンペラーの前川恭子調教師はこの成績に「シンプルに感動した」と答えてくれた。
この後の有馬記念ではアクシデントにより出走を取り消し、結果的にこのジャパンCがドウデュースのラストランに。
あまりに突然の幕切れとなったが、ファンの間でのドウデュース人気は冷めることがなく、現役時代に管理していた友道康夫調教師によると、「引退して1年が経つが、今でもファンレターが来る」という。
ファンからも愛された日本総大将・ドウデュース。その走りはファンたちによって永遠に語り継がれることだろう。
■文/福嶌 弘
クロフネをダートの怪物にした馬!? "アグネスデジタル" 競馬界の歴史を変えうる世紀の大英断
【華麗なる武一家】"サイレンススズカ" 武豊「自身が乗った中で一番強い馬」
【クセ強名馬】二冠馬エアシャカール「アタマの中を見てみたい」武豊も思わず激怒!?