【ホープフルS】ロブチェンが2戦2勝でGI初制覇!経験もキャリアも吹き飛ばす風林火山の激走

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2025.12.28

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    ロブチェンが優勝(c)SANKEI

    「とんでもない馬だ」――今年のホープフルS、最後の直線で荒々しくも伸びてきたロブチェンの雄姿を見て、筆者はゾクゾクした。馬券は当然のようにかすりもしていないのに、だ。

    出世レースと称されるホープフルSはこれまである程度のキャリアが問われる傾向があった。

    実際、新馬戦、未勝利戦を勝ち上がった馬たちは併せて[0・0・2・33]。キャリア1戦のみで馬券圏内に食い込んだのはGⅠ昇格初年度だった2017年のステイフーリッシュしかいない。

    そんなホープフルSだが、月曜日の時点ではキャリア1戦のみの素質馬ラヴェニューが大きな注目を集めていた。

    秋の東京でデビューを迎え、好位から押し切り圧勝。勝ち時計の1分46秒7も素晴らしく、ホープフルS制覇どころか来年のダービー候補という声も挙がるほどの素質馬だったが、熱発で回避することになるとまるで手のひらを返したかのように過去のデータをもとに実績のある馬たちが人気を集めるようになった。

    そうした中で、デビュー戦を勝ってこのレースに臨んだロブチェンはすっかり軽視される存在に。

    雨で重馬場になった前走は少頭数だったこともあり、無理せずに先手を取って流れを掴むと、直線でもリードを保って堂々の逃げ切り勝ち。

    菊花賞、天皇賞(春)を制したワールドプレミア譲りのスタミナを生かしてみせたが、血統的にややマイナーなことも相まってか人気を上げる要因にはならず、16頭中7番人気、単勝オッズは19.8倍に留まった。

    だが、本命候補が消えた今年のホープフルSの出走メンバーを改めて見返すと、人気馬でも一長一短ある馬ばかり。

    出世レースであるアイビーSを制したアンドゥーリルが1番人気に推されたが、単勝オッズは3.5倍止まりで、10倍を切る馬は5頭もいた。

    札幌2歳S制覇の実績のある2番人気馬ショウナンガルフはプラス20キロと馬体を大幅に増やし、パドックもどこかゆったりとし過ぎているように感じられるなど、人気馬でも信頼しづらい空気は漂っていたように思う。

    そうした不安げな思いと今年一番とも言える寒々しい空気が交差する中、ホープフルSのゲートが開いた。

    どの馬も出遅れることなく素晴らしいスタートを切っていったが、テーオーアルアインとジーネキング、バドリナートらが先手を取りに行くと、それを見る形でフォルテアンジェロ、アスクエジンバラの2頭が先行集団を形成した。

    1番人気のアンドゥーリルはちょうど真ん中辺り、そしてショウナンガルフはその後ろ。京都2歳Sを制してここに挑んだジャスティンビスタは後ろから2頭目という形でレースは進んでいった。

    2歳の中距離重賞ということもあり、GⅠでも流れはスロー。

    前半1000mは1分1秒3、600m過ぎから3コーナーに入る辺りまでは1ハロン12秒台というやや緩い流れで進む中、ロブチェンはというと最内でじっくりと脚を溜める形に。

    馬名が関係しているわけではないだろうが、ロブチェンは動かざること山のごとしと言わんばかりにこのスローペースの中でしっかりと折り合い、徐かなること林のごとくという言葉のまま、インコースで静かにじっくりとチャンスをうかがっていた。

    そうして迎えた直線は、文字通りの大混戦となった。

    それまで先頭に立ってレースを引っ張ってきたテーオーアルアインに先行馬たちが食らいつき、そこから1番人気のアンドゥーリルが抜け出しを図ったが、中山の急坂を上る辺りで失速。変わりに勢いよく伸びてきたのがアスクエジンバラだった。

    メンバー最多キャリアを誇る馬がその経験を活かした走りで抜け出しを図ろうとすると、百日総特別2着からこのレースに挑んだフォルテアンジェロがトム・マーカンドの豪腕でグイグイと押されるように追われて伸びてくるが......その外から猛烈な勢いで飛び込んできた馬がいた。

    それがロブチェンと松山弘平だ。

    インコースでジッとしていたまま迎えた最後の直線でも内を突こうとするも、前が塞がれ外に持ちだすと、そこからギアチェンジ。

    ゴールまで残り300mもないという位置からトップギアに入れると、そこから侵掠すること火のごとくを地でいくような伸び脚を見せて、残り50m過ぎに前を行くアスクエジンバラとフォルテアンジェロを一気に交わして、疾きこと風のごとしの言葉そのままにゴール板へと飛び込んだ。

    まさに風林火山の走り、キャリアも人気も関係ないという堂々たる走りでロブチェンはホープフルSを制覇。レース史上最少キャリアで2歳王者の座を掴んでみせた。

    キャリアの浅いロブチェンを完璧に乗りこなし、2歳王者へと導いた松山弘平はレース後、インタビューで「調教の感じでは切れる脚を使えると思っていた」と語るなど、相棒の実力をいち早く見抜いていた。その期待はレース直後に見せた、人差し指を天に突き上げたガッツポーズに込められていると言えるだろう。

    間もなくやってくる2026年、ロブチェンは牡馬クラシック戦線にチャレンジする。歴代の名馬たちが上り詰めた山の頂点に、ロブチェンも到達できるだろうか。


    ■文/福嶌弘

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