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2019.03.18

水谷隼「賭けだった」KM東京を初代王者に導いた名将のオーダー【卓球・Tリーグ】

木下マイスター東京 (c)T.LEAGUE


 Tリーグの栄えある初代王者が決定した。開幕戦の舞台にもなった両国国技館で3月17日に行われた「ノジマTリーグ2018-2019シーズン プレーオフ ファイナル」。この歴史的な頂上決戦を制したのは男子が木下マイスター東京(KM東京)。女子は日本生命レッドエルフ(日本生命)だった。レギュラーシーズン1位でプレーオフに進んだKM東京は2位の岡山リベッツ(岡山)との対戦で、第1マッチのダブルスを先取されたが、第2~4マッチのシングルスは全勝。マッチカウント3-1で優勝を果たした。

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女子はレギュラーシーズン2位だった日本生命が1位の木下アビエル神奈川(KA神奈川)とヴィクトリーマッチにもつれ込んだ。第1試合のダブルスと第3マッチのシングルスを押さえたのは日本生命。対するKA 神奈川は第2 、4試合のシングルスを勝ち、わずか1ゲームで勝負がつくヴィクトリーマッチはTリーグで負けなしの早田ひなが死闘を制し日本生命にビッグタイトルをもたらした。早田はリーグ前期に続き初代MVP賞に輝いている。男子の初代MVP賞は後期MVP賞にも選出された水谷隼。

なお、試合は男女入れ替え制で行われ、入場者数は男子5,120人、女子5,035人。男子は開幕戦の5,624人を割り込んだが、女子は開幕戦の4,572人を上回った。男女合計では開幕戦1万196人、プレーオフ・ファイナル1万155人とほぼ同程度だった。

<男子結果>
○KM東京 3-1 岡山
第1試合 水谷隼/大島祐哉 1-2 上田仁/森薗政崇
第2試合 ホウ・エイチョウ 3-1 吉村和弘
第3試合 水谷隼 3-0 イ サンス
第4試合 張本智和 3-1 森薗政崇

<女子結果>
KA神奈川 2-3 日本生命○
第1試合:石川佳純/木原美悠 1-2 常晨晨/蒋慧
第2試合:杜凱キン 3-2 平野美宇
第3試合:袁雪嬌 2-3 早田ひな
第4試合:石川佳純 3-1 前田美優
ビクトリーマッチ:袁雪嬌 0-1 早田ひな

【優勝】男子:KM東京 女子:日本生命 ※副賞50万円
【ベストペア賞】男子:上田仁/森薗政崇(岡山) 女子:常晨晨/蒋(日本生命)※副賞 東京ばな奈1年分
【MVP賞】男子:水谷隼(KM東京) 女子:早田ひな(日本生命)※副賞100万円
【前期MVP賞】男子:張本智和(KM東京) 女子:早田ひな(日本生命)※副賞 ノジマ家電製品30万円分
【後期MVP賞】男子:水谷隼(KM東京) 女子:石川佳純(KA神奈川)※副賞 ノジマ家電製品30万円分

木下マイスター東京 ホウ・エイチョウ (c)T.LEAGUE


思い切ったオーダーと個の力で勝ち切ったKM東京

 KM東京と岡山はレギュラーシーズン最終戦まで首位争いを演じた2チームだ。対戦成績を見れば4勝3敗でKM東京がやや優位な印象だが、個々の実力では世界ランク4位の張本智和や全日本選手権V10の水谷隼擁するKM東京が群を抜いている。だがそのスター軍団とて決して余裕はなかった。「優勝して当たり前」というプレッシャーは想像以上だったようで、チームを率いる邱建新総監督はプレーオフ・ファイナルの大一番で賭けに出た。エースの張本か水谷の起用が濃厚と見られていた第2試合のシングルスに、ベテランカットマンのホウ・エイチョウを送り込んできたのだ。

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 元中国代表のホウはKM東京が連敗続きだったレギュラーシーズン後半、邱総監督が急きょ投入した新兵器。彼の活躍が前半の好調な流れをチームに引き戻したと言ってもいい。プレーオフ・ファイナルでもそのホウに命運を託す格好となった邱総監督は今回のオーダーについて、「もしダブルスが負けて、シングルスが1試合でも負けたらヴィクトリーマッチになると思っていた。ホウの第2試合起用は非常に意外なオーダーと思われたかもしれない。ホウで負けたら本当に大変なことになると思ったが、岡山さんもホウがシングルスの一戦目に出てくるとは思わないだろうと考えた」と敵の裏をかいたことを明かした。

岡山リベッツ 上田仁/森薗政崇 (c)T.LEAGUE


吉村和、森薗の成長がチームの戦力アップにつながった岡山

 実際、岡山の白神宏佑監督も「オーダーが意外だった。さすが邱建新総監督だというようなオーダーを組んできた」と、水谷をリオ2016五輪シングルス銅メダルに導くなど数々の世界レベルの選手を指導してきた名将の手腕に舌を巻いた。「2番にホウ・エイチョウ選手は出てこないだろうという想定でいろいろ(オーダーを)考えていた。2番に出てくるとは98パーセントか99パーセント思っていなかった」と読みを外した悔しさをにじませながらも率直な感想を口にしている。

 一方、邱総監督の作戦のもとで戦った水谷はこう語る。「ダブルスは岡山戦で全然勝ったことがなく、正直負けるのは想定内だった。第2試合でホウ・エイチョウが吉村(和弘)に勝ってくれて流れが来た。ホウ・エイチョウが2番に出場したというのはかなり賭けではあった。最近調子が良くなくて負けてきていたので、ホウ・エイチョウが負けてカウント0-2で自分に回ってくることを想定し準備していた」

木下マイスター東京 水谷隼 (c)T.LEAGUE


 「個の力」のKM東京、「チーム力」の岡山というのはTリーグのチーム発表当初から言われてきたことで、その見立て通り初代チャンピオン争いはやはり個々の実力で勝ったKM 東京が制した。しかし、岡山も世界卓球2019ハンガリー(個人戦)<4月21~28日/ブダペスト>日本代表に選ばれた吉村和弘や森薗政崇の成長でチームの戦力を大幅に上げた。成長につながった要因を「Tリーグでの試合経験」と口を揃える両選手。

リーグ発足当初はワールドツアーなど国際大会との兼ね合いが心配されたが、Tリーグが目指す「日本にいながらにして選手強化ができる」という目的は初年度にして形になりつつあると言えるだろう。2シーズン目となる来季の飛躍を期待させる幕切れだった。

(文=高樹ミナ)

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