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2019.09.23

シングルス銅メダルの張本智和、中国との差「縮まるどころか開いてしまった」<卓球 アジア選手権>

張本智和 写真:AP/アフロ


「アジア選手権2019インドネシア」<9月15~22日/ジョグジャカルタ>が8日間の日程を終え幕を閉じた。日本は女子団体で銀メダルが最高成績。他には男子団体、男子シングルスおよびダブルス、女子ダブルス2ペアで4個の銅メダルを獲得した。メダルの数は計6個。これに対し日本が最大のライバルと位置づける世界最強の中国は全7種目で優勝し、全ての金メダルをさらっていった。

<日本のメダル獲得種目>
銀メダル:女子団体
銅メダル:男子団体
男子シングルス 張本智和(木下グループ)
男子ダブルス 吉村真晴(名古屋ダイハツ)/戸上隼輔(野田学園高校)
女子ダブルス 平野美宇(日本生命)/石川佳純(全農)、芝田沙季/佐藤瞳(ともにミキハウス)

隔年で開催されるアジア選手権の前回2017年大会では平野美宇が当時の中国トップ3を倒し女子シングルスで金メダルを獲得したが、今大会は張本が男子シングルス銅メダルにとどまった。大会を振り返って張本は「シングルスも団体もメダルを取れたのは最低限良かった」と言うが、首にかけた2つの銅メダルには複雑な気持ちが入り混じる。「中国人選手に勝たないと(東京2020五輪では)シングルスも団体も金メダルは取れない」からだ。

 特に今回、張本が驚異に感じたのは世界ランク1位の許キンだった。男子団体およびシングルス、混合ダブルスで優勝し3冠に輝いた許は団体準決勝とシングルス準決勝で張本と対戦し、団体はゲームカウント3-1、シングルスはストレートで圧勝している。とりわけシングルスでの許について、「団体戦の時はまだ相手も(大会に入って)2、3試合目で1ゲーム目は緊張していたんですけど、(シングルスは)1ゲーム目から全力で動いてきた」と張本。強靭なフットワークから繰り出すペンドライブの強打で打ち負かされる前に自らが攻めなければと考えたが、「サーブ・レシーブで先手が取れなかったので厳しかった」と肩を落とす。

 だが、張本の対策は間違いではなかった。許の横回転の入ったペンドライブの癖球に対し、「相手のボールがすごく曲がるので、後ろに落とせば落とすほど曲がってしまう。だから曲がる前に早い打点でブロックし相手を崩さなきゃいけない」と団体戦の敗北を踏まえて考えた張本は、台から下がらずブロックやフリックで応戦。許の豪打を止めるポイントもあった。しかし、止めきれずミスするボールも少なくなく、「戦術自体、悪くなかったんですけど、2球、3級と返されてしまったり、ちょっと入らなかったり。相手の1球の質が本当に高くて、ボールが来るところがわかっていてもなかなか取れない」と吐露した。

 打開を図ろうとした得意のチキータも何本も狙い打ちされた。それでもチキータを打ち続けた張本はその時の状況をこう説明する。

「チキータに対してあんなに上から来られたら、どこで待てばいいかわからない。自分のプレーはある程度出せたけど、それを倍で返されたような感じ。ストップ(レシーブ)が止まればいいんですけど、相手のサーブが上回転なので、少しでも(レシーブが)浮いたらチャンスがない。それが怖くて、チキータはまずミスがないし、どっちみちチキータで点が取れなければストップで点を取っても最後はやられてしまうと思いました」

 さらに許の強烈なバックハンドのカウンターまで飛び出し万事休す。この試合で負けた張本は許に6戦全敗と黒星を重ねたが、日本卓球協会の宮崎義仁強化本部長は完敗にも見えるこの一戦に張本の成長を見出す。理由はこうだ。

「団体戦の時はフォアハンドの打点をちょっと落として打ち合って、連続ドライブも多かった。でも今日は打たれたボールをフラット打ちでブロックしたり、台上で合わせていくプレーが幾度もあった。短い時間でそこまでイメージチェンジして臨めたのは張本がまた成長した証」

日本が打倒中国を誓う東京2020五輪(2020年7月24日~8月9日/卓球競技:7月25日~8月2日)まで1年を切った。このタイミングで開かれたアジア選手権で中国と戦った率直な感想を「差は縮まるどころか開いてしまったかなと思う」と語る張本は、「相手より速いスピードで成長しないと、あと1年で間に合わない」と焦燥感を募らせる。

だがその一方で「自分も間違いなくレベルは上がっている」とも。「ここでまた課題を見つけ、そこを埋めて次の試合でいいプレーをしたい」と焦る気持ちに歯止めをかけていた。

(文=高樹ミナ)

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