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金1個、銀1個、銅2個の卓球ニッポン。世代交代でパリ五輪へ【五輪卓球】

2021.08.08
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2021.08.08

金1個、銀1個、銅2個の卓球ニッポン Photo:Itaru Chiba

コロナ禍で開催された東京オリンピックが8月8日の夜、ついに幕を下ろす。

7月24日から8月6日まで13日間にわたる熱戦を繰り広げた卓球は競技開始早々、今大会から採用された新種目の混合ダブルスで水谷隼(木下グループ)/伊藤美誠(スターツ)の"じゅんみま"ペアが金メダルを獲得。

世界卓球2019ハンガリーで金メダルに輝いた許キン/劉詩ブン(中国)に勝って、五輪の同種目における初代金メダルペアとなった。

兄妹のような2人の息の合ったコンビネーションと勝利の瞬間、水谷がものすごい勢いで伊藤に駆け寄りハグする微笑ましい姿が日本中を魅了した。

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日本卓球界初の金メダル獲得 水谷隼・伊藤美誠 Photo:Itaru Chiba

前半で伊藤が金銅2つのメダル獲得の快挙

この価値あるメダルで波に乗ったのは伊藤。女子シングルスでも歴史的快挙を成し遂げた。

伊藤にとってシングルス初戦の3回戦から準決勝まで難なく勝ち上がると、迎えた準決勝では宿敵、孫穎莎(中国)と激突。決勝進出をかけた20歳同士の戦いは接戦になることが予想された。

だが蓋を開けてみれば、伊藤のバック側に本来の武器であるパワーボールではなく、回転量を減らしスピードを抑えた、いわゆる「死んだ球」を執拗に送る孫穎莎の戦術が伊藤のタイミングを狂わせ、孫穎莎がストレート勝ち。

戦術を徹底する技術力の高さと、ミスしても戦術を徹底する精神力の強さを見せつけた。

一方、負けた伊藤は3位決定戦に回り、石川佳純(全農)が準々決勝で敗れたユー・モンユー(シンガポール)に勝って銅メダル。

女子卓球競技のメダル獲得は日本初で、伊藤は前半の日程で実に2つのメダルを手にした。

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金:陳夢、銀:孫穎莎、銅:伊藤美誠 Photo:Itaru Chiba

 一方、男子シングルスは張本智和(木下グループ)、丹羽孝希(スヴェンソンホールディングス)ともに自身2戦目の4回戦で敗退。

初戦からやや硬さが見られた張本は「ベスト16では何も残らない」、丹羽も「自分の実力不足」と早々の戦線離脱を冷静に受け止めた。

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張本智和 スロベニアのヨルジッチに敗れる Photo by Steph Chambers/Getty Images

女子は3大会連続、男子は2大会連続の団体メダル

 7月31日の中休みを挟み、8月1日にスタートした男女団体戦はまず女子が初戦を迎え、エースの伊藤と石川、そして平野美宇(日本生命)が五輪初舞台を踏んだ。

5年前のリオ五輪でリザーブだった平野は夢に見た五輪でダブルス、シングルスの2点を任され大活躍。

1回戦のハンガリー、準々決勝の台湾、準決勝の香港のいずれも、石川と強化してきたサーブ・レシーブからの攻撃で1点を先取し、エース起用の伊藤も無敗で、ストレートで決勝に勝ち進んだ。

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石川佳純・平野美宇 Photo:Itaru Chiba

 決勝の相手は世界最強軍団の中国。伊藤対策のために代表に選ばれたといわれるエースの孫穎莎を筆頭に、世界ランク1位の陳夢、劉詩ブンとメンバーチェンジした王曼イクといった強敵が日本の前に立ちはだかった。

 自国開催の東京五輪で「打倒中国」を掲げた卓球日本。だが、国の威信をかけて戦う中国は敵地での五輪で勝つためにさらなる強化をしてきた。

その壁は予想をはるかに超える高さで、日本はストレートで負け銀メダルとなった。

ダブルスで陳夢/王曼イク、3番のシングルスで再び王曼イクと対戦した平野が試合後に語った「中国選手は1本多く返してきて、最後の1本がすごく遠く感じました」という感想に中国の強さの全てが表れていた。

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女子団体 日本代表 Photo:Itaru Chiba

 男子団体も準決勝で欧州の強豪ドイツに敗れて3位決定戦へ。

実力の拮抗する宿敵韓国との一戦で丹羽/水谷のダブルスが1点を先制し、18歳のエース張本が1点を加え、さらにシングルス3番の水谷が華麗なプレーで勝利し、日本を銅メダルに導いた。

 男女ともにメダルを獲得した日本チームは女子が2012年ロンドンの銀、2016年リオの銅に続く3大会連続。男子はリオの銀に次ぐ2大会連続のメダル獲得となった。

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男子団体 日本チーム 左から張本智和、倉嶋洋介監督、丹羽孝希、水谷隼 Photo:Itaru Chiba

水谷が現役引退の意向を表明

 長丁場の五輪で激戦に次ぐ激戦を戦い抜いた選手たち。

今後についてはまず、大会前から代表引退を宣言していた水谷が7日のメダリスト会見で、目の状態を理由に「まだ最終的な判断はできていないんですけど、今の気持ちとしては卓球からは完全に離れると思います」と大きな決断を明言した。

 一方、次の2024年パリ五輪を目指す意向を示したのは張本。丹羽、石川は少し休んで考えたいと伝え、伊藤は「中国に負けたままでは終われないという気持ちはある」、平野は「これからも頑張っていきたい」と話すにとどめた。

シングルスと団体戦では金メダルに届かなかったが、混合ダブルスで見事、悲願の金メダルにたどり着いた日本。中国に風穴をあけた歴史的瞬間を目撃した、記録にも記憶にも残る五輪となった。


(文=高樹ミナ)

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水谷隼の勝利後、誰よりも早く駆けつけて抱きつく張本智和 Photo:Itaru Chiba

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