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2012年7月26日 放送
"名古屋流"で急成長! 客殺到の喫茶店チェーンの秘密

- コメダ 代表執行役社長 安田 隆之(やすだ・たかゆき)
レジで飲み物を受け取って支払いも済ませる、「セルフ型」コーヒーチェーンが全国を席巻する一方、昔ながらの喫茶店は激減している。その中で敢えて懐かしの喫茶店スタイルを掲げ、急拡大している喫茶店チェーンが、名古屋生まれの「コメダ珈琲店」だ。
"喫茶店激戦区"と言われる名古屋において、圧倒的な店舗数と人気を誇るコメダ。売りは、焼き立てのデニッシュの上にソフトクリームが乗った「シロノワール」のほか、「みそカツサンド」「小倉トースト」など名古屋色が満載。2003年には関東にも進出し、ここ10年で店舗数は倍増。現在全国に452店舗を構える。
コメダの店づくりは、回転率を求めるセルフ型チェーンの真逆を行く。店内には新聞や雑誌を数多く置き、ソファも長く座っても疲れないよう計算された特注品。「長居大歓迎」で、なんと朝7時の開店前に、年配の常連客が店になだれ込むという"コメダ現象"が出現するほど。飲食業界に新風を吹き込む、コメダ流の喫茶ビジネスとは?
社長の金言
- 人と人とが つながる店Tweet
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RYU’S EYE
座右の銘
放送内容詳細
1年間、毎日来店する常連客も!コメダの魅力とは?
コメダの営業時間は朝7時から夜11まで。しかし、ある店では朝6時半から続々と常連客が店に訪れる。 客の格好はジャージ姿や寝巻きのような姿まで。地域住民にとって、コメダは生活の一部になっているのだ。 コメダが常連客を掴む理由の一つは「お得感」。朝訪れる客が必ず頼むのが「モーニングサービス」。「コーヒー」と一言頼むと、なんとトーストとゆで玉子が無料でついてくる。午前11時以降もドリンクには豆菓子が…。ほかにもコメダには、居心地の良さを生む秘密がたくさん…。 日本マクドナルドホールディングス取締役上席執行役員からコメダの社長となった安田隆之は言う。「コメダは、名古屋で磨き抜かれ、全国にも通用するビジネスモデルだ!」。
お客の滞在時間1時間以上でなぜ利益が? 考え抜かれたコメダ流ビジネス
コメダのお客の平均滞在時間は1時間以上。回転率が悪いのに、店の営業利益率は2割に近く、驚異的。そのカラクリとは? さらには、ついまた来たくなるコメダ流接客もその理由。常連客が頼むメニューを100人以上記憶しているという、カリスマ店長がいる店では、「いつものですね?」という会話が響き渡っているのだ。
5年以内に1000店舗を目指す!全国で通用するコメダの強みとは?
「5年内に1000店の大台に乗せる」と意気込む社長の安田。実はコメダの店舗の99%はフランチャイズ。各オーナーにその地域に合ったサービスや接客を任せ、“地域住民の生活の一部”となる店にするのが狙いだ。だからこそ出店立地にもこだわり、駅前ではなく生活道路沿いを選ぶ。駐車場も広くとり、近所の住民がいつでも気軽に入りやすい店作りを考えている。 地域にとけ込むコメダ流喫茶ビジネス。それは滋賀県南部の、ある店舗でも実証されていた。そこで見た 光景とは…。
ゲストプロフィール
安田 隆之
- 1960年京都府生まれ
- 1986年中央大学大学院卒業後、モービル石油 入社
- 2005年日本マクドナルドHD入社後、取締役上席執行役員に
- 2011年現職
企業プロフィール
- 創業:1968年
- 年商:320億円(全店舗売り上げ)
- 社員:97人(コメダ本体のみ)

「コメダ」の店内はのんびりしている。ノートPCやスマホをせわしなく操作する人はほとんどいない。みな、ゆったりと新聞を読み、友人や家族と談笑している。まるで、のどかな過去に戻ったかのようだ。だが、この「喫茶店」のコンセプトは、偶然できあがったのではない。店舗設計、内装、メニュー、店員の応対、すべてが確固たるアイデアのもと、戦略的に考え抜かれたものだ。その一環として「コメダ」は、店舗展開が進むと、経営のプロの安田さんをトップに迎えた。「コメダ」の成功は重要なことを示唆する。「三丁目の夕日」のような、温かなコミュニティを再生させるためには、人情に訴える精神論ではなく、地域社会への愛情に加えて、確かなアイデアと経営戦略が必要なのだ。