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2015年10月1日 放送
長く使える良いものだけを売る!感動百貨店の新戦略

- D&デパートメント 会長 ナガオカ ケンメイ
新たなデザインが次々と打ち出される現代。消費者は流行の最新デザインを追い求め、毎シーズンのように"もの"を買い替えていく。そして、作り手も「大量生産・大量消費」という社会の波に乗り、毎年、買い替えられる「安くておしゃれなもの」を生み出し続けている。そんな"短期消費型"の風潮に強い疑問を感じ、新たなビジネスを生み出した男がいた。国内外に12店舗を展開する「D&デパートメント」の創業者・ナガオカケンメイ(50歳)だ。ナガオカの店で扱う商品は、全てが「長く使える良いもの」ばかり。それ以外の商品は、一切販売しないというコンセプトの"百貨店"なのだ。ナガオカが考える「長く使える良いもの」とは、どういうものか?「大量生産・大量消費」へのアンチテーゼとして小売業界に旋風を起こす、ナガオカの革命。その全貌に迫る!
社長の金言
- 「ブームに乗らない」が
“ものづくり”を変えるTweet
-
RYU’S EYE
座右の銘
放送内容詳細
「長く使える“もの”」を通して目指すナガオカ革命の全貌!
東京・世田谷の住宅街、最寄り駅から徒歩10分ほどの場所に「D&デパートメント東京」という人気の生活雑貨店がある。売られているのは、60年前から作られ続けている鍋や50年前から形を変えていない醤油差しなど…消費者から長く愛される生活用品を揃えたユニークな店だ。どの商品も、一見地味だがシンプルで飽きが来ず、使い勝手が考え抜かれたものばかり。しかも、ただ売るだけでなく、歴史や作り手の思いなど「商品の物語」も一緒に伝えて売っている。そんな品揃えと売り方に共感した多くの若者が、並べられた商品を次々と買っていくという。そんなD&デパートメントを全国チェーンに育てた男こそ、デザイナーのナガオカケンメイだ。店を通じて「長く使えるいいもの」の良さを伝えることで、消費者の意識改革を目指しているという。ナガオカが仕掛ける“消費革命”。その狙いを徹底取材した!
地域活性化の秘策ここにあり!D&デパートメント独自のフランチャイズ戦略
現在、国内10都市にチェーン展開しているD&デパートメント。全て同じコンセプトで展開をしているのだが、東京と地方では品揃えが大きく違う。実は、地方のD&デパートメントには「その土地らしさ」が色濃く出る地域の逸品が数多く揃えられているという。地方の店の多くはFC制で運営されているが、ナガオカは、そうした地方のFC店を“地域の良さを伝えて、地域を活性化させる場”と捉えて、少しずつ増やしてきた。もちろん、店を任せるオーナーは、地域の活性化に強い意識を持つ地元の人を選りすぐっているという。「店を地域の情報を発信できる場にする、そして、そんな店を全国47都道府県すべてに展開したい」というナガオカの構想は、少しずつ形になろうとしている。
全国各地の「埋もれた逸品」を発掘せよ!
ナガオカはD&デパートメントとは少し毛色の異なる店も手がけている。それが、東京・渋谷の人気商業施設「渋谷ヒカリエ」にある「d47デザイントラベルストア」。コンセプトは「47都道府県の“埋もれた逸品”を集めた店」。各地で長年愛されてきたが、このままでは衰退、消滅しかねない伝統工芸品の数々だ。ナガオカは、日の当たらない場所で生産中止寸前にまで追い込まれている商品を発掘し、店で販売するという活動を続けている。ナガオカが考える本当の“地方活性化”とは…。日本が抱える地方の課題と、ナガオカ流の再生術に迫る!
ゲストプロフィール
ナガオカ ケンメイ
- 1965年北海道生まれ(愛知県知多郡育ち)
- 1983年愛知県半田市の工業高校を卒業、デザイン会社就職
- その後 地元で喫茶店を経営
- 1990年日本デザインセンター入社
- 1997年「ドローイングアンドマニュアル」設立
- 2000年D&デパートメント 東京店を開店
- 2002年「60VISION」プロジェクト開始
企業プロフィール
- 創業 :1997年(09年、現社名に変更)
- 売上高:11.9億円(非上場)
- 店舗網:「D&デパートメント」を
- 国内10都市とソウルで運営。
- 「d47デザイントラベルストア」
- 「d47食堂」も出店。

今、いろいろな領域で、「デザイン」が、根本から問い直されていると思う。ものを「作る」「売る」、両者の関係性が問われているからだ。その製品を愛する人が作り、愛する人が売るという、シンプルで、幸福な時代は過ぎ去ったかに見える。D&デパートメントの試みは、懐古主義ではない。ナガオカさんは、幸福な時代に誕生した製品を確認することで、何が失われたのか、何を取り戻すべきかを、示そうとしているのだ。D&デパートメントに並ぶ製品は、どれも機能的で、かつ美しい。