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2017年1月26日 放送
自宅で安心して最期を...
板橋発!若き在宅医の挑戦

- やまと診療所 院長 安井 佑(やすい ゆう)
「あなたは、人生の"最期"をどこで迎えたいですか?」。国の調査では、自宅で亡くなることを希望する人は7割。しかし、実際に自宅で最期を迎える人はわずか1割。その理由は、在宅医の不足、また在宅医療に対する認知度が低いことによる。その課題に取り組み、注目を集めている診療所がある。東京・板橋区に拠点を置く「やまと診療所」だ。医師で院長の安井は、在宅医療PA(医療アシスタント)という独自のシステムを構築し、多くの患者に安心して自宅で死を迎えられる医療サービスを提供している。「自宅で自分らしく死ねる。そういう世の中をつくる!」。そのミッションの下、多死時代を迎えた日本の医療、その変革に挑む若きドクターの奮闘に密着する。
社長の金言
- 満足、後悔という感情は死への時間を共有したということTweet
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RYU’S EYE
座右の銘
放送内容詳細
患者と家族に向き合う在宅診療所
やまと診療所の利用者の半数は終末期の患者。末期がんに侵され、残りわずかの余命を宣告された患者も多いと言う。 それでも自宅での診療現場は笑顔が溢れている。それは、患者とその家族の不安を取り除くように、医師が些細な要望や疑問にも的確に対応しているからだ。やまと診療所の院長、安井は一日10件近い患者を診療する多忙な日々を送る。その安井は、なぜ、医者の道を選んだのか。それは高校生の時、尊敬していた父親が末期がんを宣告され、そのわずか3ヵ月後に他界したことがきっかけだった。安井は患者と家族の支えとなる医師になることを決意し、東京大学医学部に進学。卒業後は、「医療が発達していない発展途上国のために尽力したい」とミャンマーに渡り、1日に20時間も手術を行う多忙な日々を送った。安井は帰国後、大学病院で働くが、病院で死を迎える患者を目の当たりにし、ある疑念を抱く。
患者に寄り添った医師を目指す!
やまと診療所では、3人1組で在宅医療に当たっている。1人の医師に対して、2人のPA (Physician Assistant)と呼ばれる「医療アシスタント」が付き添う。PAはカルテの記入や医療器具の準備をする等、医師のサポートを全面的に行い、また患者や家族の生活に向き合う看取りのエクスパート。このPAの存在により、やまと診療所では多くの患者が納得の行く最期を迎えている。超高齢化社会が進む日本では、2030年には47万人もの人が死に場所のない“看取り難民”になるという予測もある。その課題に向き合うべく、やまと診療所では、PAをはじめ、新たな在宅医療のシステム作りに奔走している。
民間と一体になって在宅医療をサポート!
やまと診療所では、板橋の高齢者を地域ぐるみで支えようと動き出している。大手食品メーカーの宅配所と手を結び、「医療・介護のなんでも無料相談室」をスタート。診療所と宅配所が協力することで、地域包括型の在宅医療支援を後押しするサービスが始まった。
ゲストプロフィール
安井 佑
- 1980年 東京・新宿生まれの板橋育ち
- 2005年 東京大学医学部を卒業
- 2008年 ミャンマーで海外医療チームに所属
- 2013年 やまと診療所を開業
企業プロフィール
- 概要:機能強化型在宅療養支援診療所
- 所在地:東京都板橋区東新町1-26-14
- スタッフ:医師4名、看護師2名、アシスタント11名
ケアマネージャー1名 全24名

在宅医療は、トピックスである。根本には当然ヒューマニズムがある。だが、ヒューマニズムだけではやっていけない。安井先生は、訪問看護やヘルパーとの連携システムを作り、さらにPA、つまりフィジシャンアシスタントを養成し、活用している。画期的だ。PAは「医師助手」と直訳されているが、メディカル・ネットワーカーという日本語訳はどうだろうか。将来、「看取り難民」が激増するらしい。病院から出され、一人で死を待ち、支援もない。考えただけでぞっとする。「やまと」は、そんな現実に、立ち向かっている。