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2019年1月17日 放送
地方発 奇跡のコーヒー店
理想のコーヒーを追求する親子の感動物語

- サザコーヒー 会長 鈴木 誉志男(すずき よしお)
- サザコーヒー 副社長 鈴木 太郎(すずき たろう)
茨城県に大人気のコーヒー店がある。その名は「サザコーヒー」。地方の喫茶店ながら、南米コロンビアに自社農園を持ちコーヒー豆を栽培、その一方で日本トップクラスのバリスタを育て上げる「本物志向」で、業界から注目を集めている。50年前、会長の鈴木誉志男が始めた家族経営の小さな喫茶店が今や茨城県内に10店舗、近年東京にも進出し話題になっている。茨城で愛されるコーヒー店の味は、東京でも通用するのか?
RYU’S EYE
座右の銘
放送内容詳細
地方の小さな喫茶店なのに“超本物志向”
日本全国からバリスタが腕前を競う大会で、ベスト5に同じ店から3人がランクインした。その店こそ「サザコーヒー」。本店は茨城・ひたちなか市にあるのだが、店内は常に満席状態。人気の秘密は自家焙煎しているコーヒーだが、なんと南米コロンビアに自社農園まで買って豆にこだわっている。50年前、会長の鈴木誉志男が家族経営で始めた茨城の喫茶店が今、地元にとどまらず東京へ進出、去年夏には東京・丸の内KITTEにも出店した。陣頭指揮を執るのは、息子の太郎だ。茨城で愛される味は、東京で通用するのか?
“理想のコーヒー”を追い求める親子の感動物語
映画館一家の息子として生まれた会長の鈴木誉志男は20代の頃、映画の興行プロデューサーだった。しかし、1970年代に入ると映画が斜陽産業に…。そこで始めたのが「サザコーヒー」だった。地元のイベントに参加しては、コーヒーを無料で配る「タダコーヒー戦略」で、地元の人の心を掴むことに成功すると、誉志男の“コーヒー熱”は加速する。年商の2倍近くもする高級焙煎機を購入したり、南米コロンビアに自社農園を買ってしまったり、地方のコーヒー店とは思えないこだわりぶり。一方、サザコーヒーを継ぐ気はなかった息子の太郎も、いつのまにか父がつくったコーヒーの味を茨城以外にも広めようと、バリスタコンテストに参加したり、東京進出を指揮したりと、次々新しい風を吹き込む。地元に愛される店を作った父・誉志男と、外に打って出る息子・太郎。2人が手を取りあい、サザを大手に負けない強いコーヒー店へと成長させた。
地元経済にも貢献するサザ
サザでは、ケーキも大人気だ。秘密は、地元・茨城の食材にこだわって使っているから。タルトケーキには、リンゴの名産地・大子町のものを使い、モンブランには地元・岩間の栗を使用。食材だけでなく、コーヒーカップも、地元の伝統工芸品「笠間焼」を使っている。しかも、サザのトイレには笠間焼の洗面台まで備え付けた。地元の良いものを積極的に使うことで、地方都市の文化を外に発信したいと考えている。
ゲストプロフィール
鈴木 誉志男
- 1942年生まれ 東洋大学卒
- 1969年サザコーヒーの1号店をオープン。
- 1998年コロンビアにコーヒー農園を購入。
鈴木 太郎
- 1969年生まれ
- 1999年東京農業大学卒業後 サザコーヒーに入社
企業プロフィール
- 設 立:1942年10月12日
(喫茶業の業態は1969年から) - 所在地:茨城県ひたちなか市共栄町8-18
- 従業員数:約190名
- 資本金:25,600千円
- 売上高:13億円(2018年)
- 直営店舗:サザコーヒー(物販/喫茶)13店舗

茨城の人たちは幸福だ。サザによって本物のコーヒーを知った。「コーヒーは奥深い」よく言われるが、鈴木さん親子と話して、そういう曖昧なことではないと思った。農園で豆が生育し、カップに注がれるまで、手間を惜しまず、どれだけ正確な手順、方法で、そのコーヒーが淹れられたか、それに尽きるのではないか。「生産性と美味は反比例する」誉志男氏の言葉だ。わたしは、エスプレッソを飲む。強い香りと味が好みだ。だが、すべての「おいしいコーヒー」には、それを育む時間が必要なのだと、サザによって知ることになった。