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2022年2月10日 放送
崖っぷち下請け企業の大逆転劇

- 松山油脂 社長 松山 剛己(まつやま つよし)
女性が熱狂する石鹸メーカーがある。その名は、松山油脂。元は大手の石鹸製造を引き受ける下請け企業だったが、5代目・松山剛己社長が父親から事業を引き継ぐと、大胆な改革を断行する。昔ながらの釜焚き製法にこだわる"実直なものづくり"はそのままに、自社ブランドを立ち上げ、ナチュラルローソンなどで販売。さらに、マークスアンドウェブなどの直営ブランドも全国に展開、売り上げを20倍にしてみせた。
RYU’S EYE
座右の銘
放送内容詳細
下請けからの脱却!自社ブランドが大人気
ナチュラルローソンが2001年の創業以来、ずっと棚に置いている商品がある。Mマークシリーズという石鹸だ。製造しているのは、松山油脂という会社。元は大手石鹸メーカーの下請けだったが、1995年に自社ブランドを作り、今やロフトや東急ハンズなどでも売っている。昔ながらの製法で作られるが、1番人気の「柚子ボディローション」には、自社で栽培する本物の柚子を使うこだわりぶり。さらに、まるで海外ブランドのような洒落た直営店「マークスアンドウェブ」は全国に79店舗を展開、熱狂的なファンをつかんでいる。
直接、手渡し!?驚きの営業戦略
実は社長の松山は、大手広告代理店、大手商社を渡り歩いてきた。エリート街道を歩んでいるように見えるが、挫折を経験し、父から石鹸事業を引き継ぐことに。当時、廃業寸前の下請け企業だったが、大胆な改革に打って出る。自社ブランドを作り、自ら営業に回るのだが、そのやり方が変わっていた。ロフトなどの売り場に日参し、店の販売員に直接サンプルを渡して、商品を実感してもらったのだ。すると、責任者のバイヤーから取引したいと連絡が...。販売員がバイヤーにその良さを伝えていたのだ。
ゲストプロフィール
松山 剛己
- 1964年東京都墨田区生まれ。
- 1986年慶應義塾大学経済学部卒。卒業後、株式会社博報堂入社。
- 1990年 三菱商社株式会社入社。
- 1994年松山油脂合名会社入社。
- 2000年松山油脂合名会社 代表社員就任。
- 2000年株式会社マークスアンドウェブ設立。代表取締役就任。
- 2002年松山油脂合名会社から松山油脂株式会社に組織変更。代表取締役就任。
企業プロフィール
- 1908年松山油脂創業(石炭商社として)
- 1946年石炭商社から固形せっけんメーカーに業態変更。
- 1985年 和歌山工場から大規模設備移転、花王のOEM工場となる。
- 1995年初めての自社ブランド「Mマークシリーズ」発売。
- 2000年株式会社マークスアンドウェブ設立。
- 2002年マークスアンドウェブ1号店を丸ビルに開店。
- 2006年山梨県富士河口湖町に富士河口湖工場稼動。
- 2009年北麓草水ブランド稼働。
- 2019年山神果樹薬草園始動。
- 資本金:1800万円
- 従業者数:社員314人(準社員・パート・嘱託社員含む)
- 売上高:92億5700万円(連結2021年度3月期)

自社ブランド名は横文字だが、会社名は松山油脂だ。最初は「Mマークシリーズ」だった。ロフト、東急ハンズ、ナチュラルハウスに絞って、たった一人で営業した。フロアスタッフと顔馴染みになり、やがて担当のバイヤーを紹介してもらった。それは非常手段だったが、実は営業の王道ではないだろうか。「釜焚き製法」の製品には自信がある。バイヤーに見せられたら勝ちだ。松山さんはそうやって勝ちを得ていった。売上高を20倍にしたが、単なる通過点だろう。