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営業日誌 #1
1983年×月某日(夏)
インベーダーブームは過去の物。
「箱置いて座ってるだけでチャリンチャリンお金が入ってくるんだぜ?」と駅前貯金仲間にそそのかされて1台置いてみたものの、座ってるだけでよかったのは最初の数ヶ月だけだったなァ。
いざ店に置いてみたら、半年もたたずにみんな飽きちまってな。
「安く『インベーダー』譲ってやる」って言うから引き受けたのに、あれは、騙されたんだな…。
オレとしたことが焦っちまって、最初は1台だけ置いていたインベーダーが、いつの間にやら何台も膨れ上がって、毎月毎月よくわからんねえ会社の営業がゲームを売りつけに来やがる。
オレもこういうのは買い換えないといけないってなわけで、なれないうちはホイホイ入れ替えてたけど、タダかと思えばあいつら、しっかり請求書置いていくじゃねえか。
おかげでこの数年で借金が倍になっちまった。
『スペースインベーダー』のブームから、ナウなヤングからサラリーマンまで、みんなが遊べるゲームってのはなかなか入荷しなかったが、この『ゼビウス』ってヤツはちょっと違うな。
何しろ色がいい。
青い海、深い森の緑、どこまでも広い砂漠。
そしてメカメカしい敵。
こんな綺麗なゲーム、これまでにはないぜ。
また借金が増えちまうが、『スペースインベーダー』再びってなもんで、先週もう1台増やしてやったばかりだ。
青い空っていやあ、いまウチにも置いてある『クレイジークライマー』も綺麗な画面だが、あれはちょっと操作が難しいな。
1つでも難しいレバー操作を、2つもできるかってんだ。
ガンバレって言われても、ガンバレねーよ。
なめんなよ! まあ、喋るってのはすごいな、あれは。
『パックマン』と『ギャラガ』はまあまあ気に入ってるんだが、ちょっと単純なのか、最近はあんまり稼いでくれないな。
もう入荷してから随分経っちまったせいもあるが、『ゼビウス』の画面と比べると、背景が真っ黒ってのはもはや寂しいもんだ。
ゲームは今でも十分面白いのにな。
客は絵が綺麗なほうばかり座っちまうみたいだ。
都会のゲームセンターとは違って少ししか置けない以上、こうなりゃ、もう、神様ナムコ様ゼビウス様にお願いするっきゃねえ!
目論見どおり、毎日遊びに来るメガネのチビは夢中になってくれてるようだが、もうちょっと、『スペースインベーダー』のときみたいに、行列ができてほしいモンだねえ……。
おっ、今日もメガネ君のご来店だ。
なんかウチの礼治と仲良くなってるみたいだが、タダゲーさせてるんじゃねえだろうな……?
GAME
『
ゼビウス
』
ナムコ(現バンダイナムコゲームス) 1983年1月稼働開始
2013年でめでたく30周年を迎えたシューティング・ゲームの金字塔。
空中攻撃であるザッパー、地上攻撃のブラスターを打ち分け、全16エリアを進む縦スクロール・シューティング。
日誌で雅史も語っていたが、『ゼビウス』は「限られた色数の中で工夫により生み出されたきれいなグラフィック」、「ミニマル・テクノを彷彿とさせる音楽」、「地上、空中を打ち分ける」、「ソル、スペシャルフラッグといった隠し要素」、「作者によって執筆されたストーリー」……など、当時の他社製シューティングとは一目して異質なモノであることを主張していた。
そこに1983年のゲームセンター・キッズたちが夢中になり、「犬が出た」などの都市伝説や、細野晴臣によるアルバム『スーパー・ゼビウス』の発売など、ごく一部ではあるが、確実にゲームが再び社会現象となっていくのであった。
なお、タイトル画面で(C)1982とあるが、稼働開始は翌年1月と言われているので1983年のゲームとするのが一般的。
バーチャルコンソールアーケード
(外部サイト)
対応機種:Wii
『
ギャラガ
』
ナムコ(現バンダイナムコゲームス) 1981年9月稼働
『スペースインベーダー』ブームは日本にゲームセンターを大量発生させたものの、ブームは比較的短期間に収束してしまう。
「トラックの板バネが壊れるほどの百円玉」を夢見て、ポスト『スペースインベーダー』を狙い、ゲームメーカー各社はシューティングゲームに鎬を削る。
そんな中、ナムコは他社より頭ひとつ抜けた技術力によりカラフルで滑らかな動きが特徴の『ギャラクシアン』を開発、ヒット。
その『ギャラクシアン』の続編が『ギャラガ』だ。
左右移動しかできないファイター(自機)はまだ『スペースインベーダー』の名残を見せるが、『ギャラガ』最大の特徴は「敵にさらわれた自機を救出すると攻撃力二倍のデュアル・ファイターになる」こと。
圧倒的な攻撃力による破壊の爽快感はこのとき誕生した。
パワーアップというシステム自体は過去に『ムーンクレスタ』(日本物産)で実装されているが、こちらはショットが単発なので、爽快感は薄い。
この頃のゲームから単音や爆発音のみだった音楽もメロディと和音が実装されはじめ、ゲーム音楽としての地位を固め始める。
『ビデオ・ゲーム・ミュージック』収録の細野晴臣によるアレンジ『ギャラガ』ネームエントリーは必聴。
バーチャルコンソールアーケード
(外部サイト)
対応機種:Wii
『
パックマン
』
ナムコ(現バンダイナムコゲームス) 1980年7月稼働
これまで宇宙戦争モノが主流だったゲームセンターに、「コミカル」や「カワイイ」を持ち込んだのが『パックマン』。
固定画面、1レバーのみでボタンなし。
ゴーストから逃げつつ、画面上のクッキーをすべて食べれば1面クリア、というシンプルなルールで、国内での反応はまずまずだったが、数カ月後にアメリカで発売されると、パックマン・ブームが発生。
移植版となるアタリ2600バージョンは500万本を売上、『トムとジェリー』のハンナ=バーベラプロダクションによるアニメ化、バックナー&ガルシアによる楽曲『パックマン・フィーバー』がシングル売上100万枚を突破しゴールド・ディスクなどなど、日本よりもアメリカでの活躍が目立つパックマン氏でありました。
パックマンは同社の看板キャラクターとなり、30年以上経過した現在でも、数年に一度続編が作られ続けている。
ナムコミュージアム.comm
(外部サイト)
対応機種:PlayStation 3
Back Number
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