NEWS新着情報

2018.12.29

【卓球】張本智和と伊藤美誠が大躍進の2018年を振り返る

2018 卓球 全日本選手権 表彰式 張本智和・伊藤美誠 Photo:Itaru Chiba

 日本の卓球界は2018年も活気にあふれていた。ベテランの域に入りつつある選手も勢いのある若手も、さらにその下のジュニア世代までもが実力を伸ばし、それぞれの舞台で成果を挙げた。中でもひときわ輝きを放ったのは張本智和(JOCエリートアカデミー)と伊藤美誠(スターツSC)だろう。2人は2018年の顔とも呼べる大躍進を果たした。

大きな出来事としては日本初のプロ(一部アマチュアを含む)卓球リーグ「Tリーグ」の誕生が挙げられる。記念すべきTリーグ元年となった2018年。他にも数多くのドラマが生まれた卓球界の一年を振り返ってみたい。

全日本 シングルス・ダブルス・混合ダブルス 3冠 伊藤美誠 Photo:Itaru Chiba


全日本選手権3冠で勢いをつけた伊藤美誠

 2017年の不振を一蹴し新年早々、大活躍したのは伊藤だった。卓球日本一を決める1月の「平成29年度天皇杯・皇后杯 全日本卓球選手権大会」(以下、全日本選手権)で女子シングルスおよびダブルス、混合ダブルスを制して3冠女王に。徹底的にフットワークとフィジカルを強化したことで、それまでのあまり足を使わない「省エネ卓球」から「動ける卓球」へと変貌を遂げ、得意のサービス&レシーブ、スマッシュ、そして必殺「みまパンチ」(ほぼノーモーションから押し出すようなフォアハンドカウンター)を武器に並み居るライバルたちを圧倒した。

 その勢いを4~5月の「世界卓球2018スウェーデン」(団体戦)に持ち込んだ伊藤は、日本女子代表メンバーの中で唯一、8戦全勝の快進撃。強敵中国との決勝では過去、日本人選手に負けなしの劉詩ブンをも破る快挙でチームの銀メダル獲得に貢献した。

世界卓球2018 決勝 伊藤美誠が劉詩ブンを破る Photo:Itaru Chiba


 また、ワールドツアーでも6月のLIONジャパンオープン、11月のスウェーデンオープンの女子シングルスで2勝をマーク。女子ダブルスに至ってはドイツオープン、ブルガリアオープン、オーストリアオープン、オーストラリアオープン、そして年末のグランドファイナルの5大会で優勝という安定感を見せている。ちなみにブルガリアオープンのみ石川佳純(全農)と、他大会は早田ひな(日本生命/希望が丘高校)とのペアで挙げた成績だ。

グランドファイナル 女子ダブルス 決勝 早田・伊藤ペアが中国ペアを圧倒


史上最年少記録連発で世界を席巻した張本智和

 張本智和(JOCエリートアカデミー)も年明けの全日本選手権で弾みをつけた。男子シングルスで同大会通算9勝の絶対王者・水谷隼(木下グループ)を倒し、当時14歳6カ月で史上最年少優勝。ジュニアの部の男子シングルスでも1ゲームも落とさず初優勝を飾り、見事2冠を達成した。この時、「ここからは自分の時代にしたい」と豪語した張本。

 その言葉通り、4月のアジアカップ横浜大会男子シングルスの予選リーグで世界ランク1位の樊振東(中国)を初めて破り、6月のワールドツアー・LIONジャパンオープンでは再び男子シングルスで世界王者の馬龍や五輪金メダリストの張継科ら中国のトップ選手を撃破して優勝。日本のファンの前ですさまじい成長ぶりを見せつけた。

ジャパンOP 張本智和が張継科を破って優勝 Photo:Itaru Chiba


 だがその一方では悔しい試合も続いた。とりわけ初めて団体戦日本男子代表メンバーとして臨んだ世界卓球2018スウェーデンでは水谷とのダブルエースを任されるも、チームは6大会ぶりにメダルを逃す結果に。自身の力不足を痛感した張本はワールドツアーでもLIONジャパンオープン優勝以降、思うような結果を出せず、優勝候補の筆頭だった10月のユース五輪男子シングルスでも銀メダルにとどまり涙を飲んだ。

 しかし、約半年に及ぶ我慢の時期は張本を強くし、2018年最後の大舞台で大輪の花を咲かせることに繋がった。世界のトップ選手16人しか出場できないグランドファイナル男子シングルスで初優勝。それまでの全力卓球とは明らかに違う「大人の卓球」を披露し、緩急をつけたプレーで格上の林高遠(中国/世界ランク4位)を下した。

 ここでも15歳172日という史上最年少優勝記録を打ち立てた張本は2018年12月の世界ランクで自身最高となる5位に浮上。さらに年明け1月発表の最新ランキングでは3位に浮上する見通しだ。

張本智和グランドファイナル史上最年少優勝 Photo:Itaru Chiba


Tリーグ開幕で日本卓球に新たな夜明け

 「世界一のリーグを目指す」という壮大な目標を掲げるTリーグは10月、両国国技館での華々しい開幕戦でスタートを切った。初年度はピラミッド型のリーグ構想の頂点にあたる「プレミア」のみの始動で、男女各4チームが参戦を表明。北は北海道、南は沖縄まで全国各地で試合が組まれている。当初は選手集めや運営資金、集客などの面で不安視する声もあったが、開幕後は課題を抱えながらも好調な船出という印象だ。

Tリーグ開幕 Photo:Itaru Chiba


 Tリーグ開幕に並々ならぬ思いを寄せているのが日本初のプロ卓球選手でリーグ立ち上げをけん引した松下浩二チェアマン。そして、現役選手の水谷隼(木下グループ)だ。5歳で卓球を始め15歳で初めて日本代表入り。14歳の時には卓球の盛んなドイツ・デュッセルドルフに卓球留学し、低迷していた日本の男子卓球復活の担い手となった。

Tリーグ開幕 Photo:Itaru Chiba


 リオ2016五輪での男子団体銀メダル、そして男女通じて日本卓球史上初となる五輪シングルスのメダル獲得は、自身と卓球界を取り巻く状況を大きく変えたが、長年「卓球をメジャーにしたい」という強い思いを抱いてきた水谷にとって、Tリーグ開幕は競技人生における悲願成就だった。そのことは開幕戦で口にした「今までにないくらい緊張した」という初々しい言葉が物語っていた。

<2018年 卓球界の主な出来事>
【1月】
・全日本選手権で伊藤美誠が3冠達成

全日本 シングルス・ダブルス・混合ダブルス 3冠 伊藤美誠 Photo:Itaru Chiba


【2月】
・チームW杯ロンドンで男女団体銀メダル獲得

チームW杯 日本女子銀メダル獲得 Photo:Itaru Chiba


【3月】
・ワールドツアー・ドイツオープン(プラチナ)女子シングルスで石川佳純が優勝
平野美宇がプロ宣言で日本生命に所属

石川佳純 ドイツオープン 女子シングルス優勝


【4-5月】
・世界卓球2018スウェーデン(団体戦)で日本女子代表が銀メダル獲得

世界卓球2018 日本女子 銀メダル獲得 Photo:Itaru Chiba


【6月】
・LIONジャパンオープン男女シングルスで張本智和、伊藤美誠が中国勢を破りアベック優勝

ジャパンオープン 女子シングルス 伊藤美誠が王曼イクを破り優勝 Photo:Itaru Chiba


【8月】
・アジア競技大会ジャカルタで男女団体ベスト8
・ワールドツアー・チェコオープン女子シングルスで石川が優勝。今季2勝目を挙げる

アジア競技大会 女子代表 加藤美優


【9月】
・女子W杯成都で石川が女子シングルス4位
【10月】
・男子W杯パリで丹羽孝希(スヴェンソン)、張本ともにベスト8
・ユース五輪ブエノスアイレスで張本、平野が男女シングルス銀メダル、混合ダブルスでも銀メダル獲得
・Tリーグ開幕

ユース五輪 張本智和/平野美宇 Photo:Itaru Chiba


【11月】
・ワールドツアー・スウェーデンオープン女子シングルスで伊藤が優勝。今季2勝目を挙げる
【12月】
・世界ジュニア選手権ベンディゴで男女団体銀メダル。男子シングルスでは宇田幸矢(JOCエリートアカデミー/大原学園)が銀メダル獲得で気を吐く
・グランドファイナル仁川男子シングルスで張本が優勝、女子ダブルスでは早田ひな/伊藤ペアが優勝

張本智和 グランドファイナル優勝 Photo:Itaru Chiba


(文=高樹ミナ)

  • 1

【関連リンク】

この記事を共有する

関連ワード

最新記事