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CeBIT
ドイツ・ハノーバーで年に一度開かれる、世界最大のIT見本市CeBIT。会場で目を惹くのはパナソニックです。まるで日本街が出現したかのように液晶テレビが多数、華やかに会場をいろどります。が、その外観とは裏腹に会場で垣間見える、現在のニッポンのポジションとは……。
広さは東京ドーム22個分。世界77ヵ国から6000社以上が集まるCeBIT。ここでは業界の勢力図がはっきりと見えます。
薄型テレビに注目していたわれわれは、あることに気づきました。
黒、黒、黒。出品されているのは、すべて黒。各社が競って並べていたのは枠の黒いテレビ。ニッポンの代表的ブランドであるシャープも黒いテレビを並べていました。つるりと光る黒い加工、ヨーロッパで大流行中のピアノフィニッシュです。
家電ではヨーロッパシェアの2割を握る、トルコのメーカーに尋ねてみました。「ちょうど1年前はシルバーがとても人気でした。今は受け入れられていません」
こうしたトレンドを発信し、最も勢いがあるのはどこか。取材を進めました。
デザインへのこだわりといえばイタリア。メーカーを訪ねてみると、ピアノフィニッシュの画面に映し出されていたのはアジアの女性。
「アジアのパネル技術がイタリアのデザインと融合している、ということを表現しているんです」
彼らのいう「アジア」とは、どこを意味するのでしょうか。
「サムソン。私にとってはサムソンだね。私の経験からいえるのは、イタリアのマーケットではサムソンが1位を占めています」
日本企業を訪ねました。
「どこがこの黒を出したのですか?」
「初めに出したのはパイオニアで、サムスンがすぐに追撃しました」
実力、知名度ともにある日本メーカーでさえ、ヨーロッパ市場で強い存在感を示すのは難しいという例でしょう。
では、当のサムスンはいかにしてシェアを伸ばすことができたのでしょうか? ホールでひときわ明るく目立つ構えを見せる巨大なブースが彼らの居る場所です。
担当者をつかまえて聞くと、今のこのトレンドの先を見据えなければならない、と話してくれました。
「私たちはスピードとパッションを大切にしています。サムスンが製品化までにかける時間は日本企業と比べて、およそ3分の1でしょう」
実はこの担当者、8ヶ月前までは日本企業で働いていました。
「日本の企業の貢献はあらゆる意味ですばらしいものです。ですが、企業風土の違いもあって、物事の決定のスピード、実現に至るまでのスピードがとても遅いです。スピードが求め続けられる市場で、それでは覇者であり続けるのは難しいでしょう」





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