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2012年11月29日 放送
鉄の技術を売れ!災害列島ニッポンを守る技術集団

- 日鉄住金建材 代表取締役社長 増田 規一郎(ますだ・きいちろう)
日本列島を容赦なく襲う自然災害。地震、水害、土砂崩れ、、、。もともとビルの鉄骨など、建材の製造・販売が中心だった日鉄住金建材だが、社長の増田のもと、いま防災技術の開発に力を注いでいる。「鉄を売るのではなく、鉄の技術を売れ!」実は日鉄住金建材の防災技術は、すでに全国各地で威力を発揮。まさに災害から命を守る"鉄の技術集団"、その最前線に迫る。
社長の金言
- 次の世代のために・・・Tweet
RYU’S EYE
座右の銘
放送内容詳細
災害列島ニッポン! …鉄の新技術が命を守る
2012年9月24日深夜、神奈川・横須賀市で1時間に100ミリ近い豪雨が発生、土砂崩れによって京浜急行の脱線事故が起きた。一方、事故現場から2キロ程の同じような急斜面では、土砂崩れは起きなかった。実はそこには日鉄住金建材の最新の技術が使われていた。それは「ノンフレーム工法」というもの。従来のように斜面の木々を伐採しコンクリートで覆うのではなく、木を一本も切らずに斜面を補強できる画期的なものだ。すでに東京のど真ん中の急斜面など、全国1000ヵ所以上で施工されている。 日鉄住金建材の鉄の防災技術は他にもある。7月、九州地方を襲った豪雨。記録的な集中豪雨で避難勧告まで出された熊本県球磨郡五木村でも、日鉄住金建材の技術が住民を救っていた。鋼鉄製のスリットダムが土石流による大量の流木や土砂を食い止めたことで、村にはほとんど被害が出なかったのだ。災害が起きて初めて、ありがたさが分かる防災技術。だが社長の増田は言う。「安全は、人知れず守られるのがいいんですよ」。安全に対する想いと共に、世界に誇る技術力の秘密に迫る!
最新技術を生み出す“マル秘”巨大研究所
日鉄住金建材の技術は、ノンフレーム工法やスリットダムだけではない。ガードレールや高速道路の防音壁、照明柱や信号機の柱、フェンスなど…。実は私たちの生活には、日鉄住金建材の商品があふれている。それらの技術が生み出される最前線の研究所に、カンブリアのカメラが入った!
大震災で被災…自らの体験を防災製品に活かす!
東日本大震災では、実は日鉄住金建材の仙台製造所も甚大な被害を受けた。当時、工場内で働いていた社員は近くの高台に逃れて無事だったが、外出中だった工場長だけが津波に飲まれ、帰らぬ人となってしまった…。 心が折れそうになっていた社員たち。社長の増田は、何としても復旧を急げと檄を飛ばす。そして震災後わずか1年2カ月で完全復旧を果たした仙台製造所では、いま次々と新たな防災製品が生まれている。その一つが、津波から命を守る「セーフガードタワー」。そこには震災体験から生まれた様々なアイデアが盛り込まれていた。開発からわずか2ヵ月で、1000人を超える人たちが見学に訪れたという。増田は言う。「技術革新に終わりはないのです」。
ゲストプロフィール
増田 規一郎
- 1947年神奈川県生まれ
- 1970年慶応義塾大学経済学部卒業後、新日本製鉄に入社
- 2001年取締役営業統括部長
- 2005年常務取締役厚板事業部長
- 2007年代表取締役副社長
- 2009年日鉄住金建材の代表取締役社長に就任
企業プロフィール
- 従業員数 1150名(連結)
- 売上高 892億円(連結/2012年度)
- 株主 新日鉄住金100%

「鉄は国家なり」という言葉は、ドイツの宰相ビスマルクの演説に由来している。製鉄は、近代化を支える基幹産業であり続けたが、80年代、「軽薄短小」が流行語になったころ、事業規模において、トヨタが第1位となる。。増田さん率いる日鐵住金建材は、そういった大きな変化に気づき、規模ではなく、需要の多様性に適応することでサバイバルを果たそうとした。新素材を活かし、工法を開発して、災害列島日本を守る。それは、産業の主役が鉄から情報に移行した時代にあって、まさに男の中の男の仕事である。