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2014年10月23日 放送
教育で世界を変える!
~ゼロから学校立ち上げた超異色39歳~

- インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢 代表理事 小林 りん(こばやし りん)
8月24日、長野・軽井沢に超ユニークな高等学校が開校した。インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢、通称ISAK(アイザック)。同校は、文部科学省認可の高校だが、全寮制で授業は全て英語で行われる。1学年49人のうち日本人はわずか3割で、残りは世界各国から集まった優秀な留学生たちだ。ISAKの目的は、社会をより良くして行くためのチェンジメーカーを育成することだという。グローバルに活躍するリーダーたちを、日本で育てようという取組で、各界から期待と注目が寄せられている。日本の高卒資格だけではなく、世界の大学を受験できる[国際バカロレア](IB)資格も得られる予定(審査中)。同校の設立者は、なんと、二児の母親でもある一人の女性だ。小林りん氏は6年前、学校運営経験なし、資金なし、というゼロの状態からスタートした。《新しい学校をつくる》という大きな夢の事業は、どのようにして実現したのか?
社長の金言
- 学校をつくることは
未来をつくることTweet
-
RYU’S EYE
座右の銘
放送内容詳細
起業家・小林りん/ 夢を実現する「突破力」
ISAKの第一期生は15カ国からやって来た49人の生徒たち。(競争率4.67倍)奨学金制度を導入することで経済的にも多様なバックグラウンドを持つ生徒が共同生活を始めた。設立者の小林りんさん。設立準備をはじめた6年前は、経験も資金もゼロだったが、今では多くの賛同者を得て7月現在、14億円の寄付が集まるまでになった。小林は、日本の高校の方針に疑問を持って中退、カナダに留学した。そこでの原体験に加え、後年、ユニセフ職員としてフィリピンに駐在し、ストリートチルドレンの非公式教育に携わった。そこで「問題解決には、社会にインパクトを与えるようなリーダー育成が重要」と思うようになった。発起人代表の谷家衛氏と出会い、学校設立を決意。しかし、資金集めは困難を極め、4000もの企業に営業をしたが当初は全く集まらなかった。
スモールサクセス! の積み重ね≫ そして《みんなを巻き込むコミュニケーション力
事態が変化したのは、2010年夏にサマースクールを開催してからだった。企業の保養施設を借り、世界の名門校から優秀な先生を招き、<リーダーシップ教育>を実践。それは、①多様な価値観を受け入れ、活かす力②課題を発見する力③失敗を恐れず行動する力 の3つの力を育むという、かつてない授業内容だった。授業の根底にあるのは「デザイン思考」という考え方だ。小規模ながらも、小林の考える新しい教育を現実にしてみせたことで、協力者も資金も集まり始めたのだった。2014年8月、入学式に訪れた父兄たちも小林に共感。学校づくりに自ら参加したいと申し出る。一方、小林はこの間、乳飲み子を抱え、家庭との両立が問題になったこともあった。しかし、今では夫も応援している。小林りんには、正面から問題に取り組み、周囲の共感を得て動かすリーダシップ能力が備わっている!!
ゲストプロフィール
小林 りん
- インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢 代表理事 小林 りん(こばやし りん)
- ISAK代表理事。1974年東京都生まれ。経団連からの全額奨学金をうけて、カナダの全寮制インターナショナルスクールに留学。その原体験から東京大学経済学部で開発経済を学ぶ。ベンチャー企業経営などを経て2003年、国際協力銀行へ。05年スタンフォード大教育学部修士課程修了。国連児童基金(UNICEF)のプログラムオフィサーとしてフィリピンに駐在。09年4月から現職。ダボス会議の40歳以下のメンバーである世界経済フォーラム「ヤング・グローバル・リーダー2012」に選出される。日本政策投資銀行が主催する「第一回女性新ビジネスコンペ」にて日経新聞特別賞を受賞。日経ビジネス「チェンジメーカー・オブ・ザ・イヤー2013」受賞。
企業プロフィール
- 所在地 〒389-0111 長野県北佐久郡軽井沢町長倉5827-136
- 規模:高校1~3年男女 各学年50名程度、授業クラスは10~18名の少人数制 初年度は一年生のみ
- 学費:年間350万円(寮費込み)最低でも全体の2~3割の生徒に部分または全額奨学金を支給

「教育」を考えると、途方に暮れることがある。課題が多く、それらは複雑に絡み合っていて、全体的な解は闇の彼方にあって見えない、ときおりそんな気持ちになる。小林さんは、「やりたいこと」「やるべきこと」を、貧困と格差を是正するためのリーダー育成という目標に絞り込み、「やれること」を模索しながら、ISAKというきわめてユニークな教育機関を創設した。開校したばかりなので、当然まだ実績のようなものはないが、成功してほしいと強く願っている。人材の輩出に限らず、ISAKの「理念」と「ネットワーク」が広がっていって、モデルが確立されていけば、日本の教育への正のフィードバックが起こる、そう確信しているからだ。