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2018年11月1日 放送
創業1805年の老舗和菓子店
伝統と革新の・・・「幸せ」経営術

- 船橋屋 8代目当主 渡辺 雅司(わたなべ まさし)
東京、江東区にある亀戸天神のほど近くに、参拝客帰りの人で賑わう店がある。
創業1805年、213年の伝統を誇る老舗の和菓子店「船橋屋」だ。白玉のあんみつや、昔ながらの汁粉も人気だが、客に圧倒的な支持を得るのが「くず餅」。プルンプルンの食感と、和菓子で唯一の発酵食品とあって、健康に良いのが人気の理由。8代目当主の渡辺は、元銀行マン。伝統を守りながらも、革新にも挑む。老舗和菓子店の伝統と挑戦を追った。
社長の金言
- ピラミッド型よりも オーケストラ型の組織にTweet
RYU’S EYE
座右の銘
放送内容詳細
老舗和菓子店が挑むイノベーション
東京都内を中心に25店舗展開する和菓子店「船橋屋」。創業1805年の老舗。一番人気は「くず餅」。くず餅は450日かけて発酵させ、手間ひまかけて独自の食感を生み出す。しかし、添加物を一切使わないため消費期限はわずか2日間。自然のままの素材の方が体に優しいし、何より江戸時代から続く“粋”でもあるという。船橋屋は老舗の企業でありながら、新しいことにも挑戦し続ける。例えば、和と洋を融合させたスイーツの開発。「くず餅プリン」は、和洋をミックスさせた商品で、幅広い層から人気を集めている。
社員の自主性が活かされる会社へ!
1964年に老舗の和菓子店「船橋屋」に生まれた渡辺。跡継ぎになる気はなく、大学卒業後は大手都市銀行に入行。当時、世の中はバブル時代。渡辺は好景気を背景にディーラーとして活躍した。しかしバブル崩壊の崩壊で、実家の「船橋屋」に暗雲が。渡辺は銀行を辞め、1993年船橋屋に入社。そこは昔ながらの職人が幅を利かす、なれ合いの世界だった。
古参の社員に反発を食らいながらも、渡辺は改革に挑む。そして、今や年間1万7000人の学生がエントリーする人気企業に。
くず餅の菌で、健康に!?
「くず餅を食べて健康になった」。そういう客の声が多く、研究機関で調査したところ、腸に良い新種の「くず餅乳酸菌」を発見。その「くず餅乳酸菌」は医療機関でも注目され、今後は医療の一環として使用される可能性も出てきた。そして、渡辺はこの「くず餅乳酸菌」を使った独自の商品開発にも取り組んでいる。
ゲストプロフィール
渡辺 雅司
- 1964年東京都江東区亀戸生まれ
- 1986年立教大学卒業後、三和銀行に入行
- 1993年家業「元祖くず餅 船橋屋」に入社
- 2008年8代目当主として社長に就任
企業プロフィール
- 本 社:東京都江東区亀戸3-2-14
- 設 立:1952年10月
- 売上高:約18億円
- 社員数:180名
- 店舗数:25

渡辺さんは、会社に入って、妥協のない改革に取り組んだ。職人の仕事をマニュアル化し、努力を怠る仕入れ先を切り、メインバンクとの取引内容にも切り込んだ。だが、社内の雰囲気が殺伐としているのに気づき、従業員のやる気を引き出すために、あらゆることをやった。「船橋屋」は生まれ変わったが、不思議なことに、なのか、あるいは当然のこと、なのか、たぶん「くず餅」の味、食感の基本は変わっていない。スタジオで食べたとき、独特な繊細さを表現できなかった。213年間変わらず、「くず餅」が、主役に君臨している。