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2019年5月16日 放送
豆苗をブレイクさせて年商100億円!
廃業の危機からスプラウトで農業を変える

- 村上農園 社長 村上 清貴(むらかみ きよたか)
O-157騒動で倒産寸前に追い込まれた広島のカイワレ生産業者が執念の格闘で「発芽野菜」に可能性を見出し、圧倒的トップに!
今までにない"スプラウト市場"を築き上げた男の、執念の逆転劇。
社長の金言
- 大胆に 常に最新の技術を 取り入れるTweet
RYU’S EYE
座右の銘
放送内容詳細
豆苗ブームに火をつけ、スプラウト市場で急拡大する村上農園
98円という安定した低価格、簡単&おいしいレシピで急速に人気を拡大している豆苗。その仕掛け人とも言えるのが、村上農園だ。村上清貴社長は、スーパーフードのひとつにも選ばれるブロッコリースーパースプラウトもヒットさせたスプラウトの王者。栄養価の高い新芽を使ったスプラウトは、最近の健康需要に乗って急拡大し、村上農園の年商も100億円に迫る勢いだ。
現在、国内8カ所にある村上農園の生産拠点。その広大な施設では、生育期間2週間程度の豆苗が、水やりから搬送まで、高度にオートメーション化された設備で次々と生み出されていく。そして、気候の違う各拠点では、ミリ単位で生育状況をチェック、徹底的に均質な野菜を作るため、日々スタッフが汗を流している。今までにない生産手法で食卓と農業を変える、村上農園の強さの秘密に迫る。
”カイワレ日本一”となった直後…廃業の危機に!
村上農園は、村上の親戚である村上秋人が1978年に広島で創業した。紅タデから、カイワレ大根の生産へとビジネスを広げ、ついにカイワレ大根の生産では日本一となる。
そんな村上農園を襲った最大の危機が、村上清貴の入社3年後、1996年に起きたO-157による食中毒事件。感染源がカイワレ大根ではないかと疑われ、全国のカイワレ農家へ風評被害が巻き起こったのだ。生産のほとんどがカイワレ大根だった村上農園も廃業の危機に立たされる。しかし村上は、試験的に育て始めていた豆苗の生産に一気に注力し、豆苗市場を拡大。さらにアメリカで発見されたブロッコリースプラウトの体に良い作用に目をつけ、その研究者であるタラレー博士を説得。高品質なブロッコリースプラウトを作るための独占的ライセンス契約を結び、一気に反転攻勢に打って出た。
豆苗未開の地・沖縄を変えた村上農園の世界戦略
村上農園は2012年、沖縄の企業と合弁会社「沖縄村上農園」を設立。沖縄で豆苗などの生産に乗り出した。夏場の葉物野菜の自給が厳しいなど沖縄の野菜事情を改善することと、地元企業に高度な生産ノウハウを提供するという新たな枠組みを「沖縄モデル」とし、世界も視野に入れたスプラウト野菜の生産ビジネスを拡大するのが狙いだ。
さらに現在、東北にも新工場を建設中の村上農園、農業の未来を変える、その次なる戦いとは?
ゲストプロフィール
村上 清貴
- 1960年山口県生まれ
- 1983年広島大学卒、リクルート入社
- 1993年親戚の経営する村上農園に入社
- 1996年O157騒動で倒産の危機
- 2007年社長就任
企業プロフィール
- 本 社:広島市佐伯区五日市中央4-16-1
- 設 立:1978年 ※創業者・村上秋人
- 年 商:98億円9900万円
(18年12月期) - 従業員:450人(19年1月現在)

広大な施設、ITを駆使した設備、まるで工場だと思った。だが村上さんの話をうかがって、生命を育む農場なのだとわかった。工業製品は規格品だ。スプラウトは生きていて、厳密には1本1本違う。「成長しすぎたら破棄」と聞き、最初、違和感があった。だが内実は違った。農園で働く人たちは、赤ちゃんを育てるようにスプラウトと接する。だから、破棄など絶対にしたくない。やむを得ず破棄するときは、心を痛め、さらなる努力を払い、破棄が減っていく。スーパースプラウトにはかすかな苦みがあった。生命の苦みだと思った。