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2023年6月8日 放送
世界トップシェアの町工場
驚きの"人材活用術"とは!?

- メトロール 社長 松橋 卓司(まつはし たくじ)
日本の町工場が作る製品が世界74ヶ国・のべ7000社以上に採用され、世界トップクラスのシェアを誇っている。スマホ・自動車・家電などの製造に欠かせない「精密位置決めセンサー」を作るメトロールだ。この会社の大きな特徴が、若手・シニア・パート従業員が、みな生き生きと活躍していること。20代でもプロジェクトリーダーを任される一方、シニアも続々と入社。パートにとっても子育てをしやすい環境が整う。そこには、大手にも負けない驚きの"人材活用術"が隠されていた。
社長の金言
- 会社はオーケストラTweet
放送内容詳細
町工場が実践する最先端の“働き方”とは?
メトロールでは、入社1年目で新製品を開発したり、20代で「1人1カ国」を任される海外事業の責任者に抜擢されるなど、多くの若手が活躍している。毎年2、3人の新入社員をしっかり育成するシステムが整っているのだ。一方で、シニア採用も積極的に行い、キヤノン、ソニー、東芝など大手企業出身の人材が応募してくる。定年の制限がなく、何歳までも働けるのが人気の秘密だ。メトロールの狙いはシニアの高い技術力や経験を活かした「若手の育成」。プロジェクトのリーダーをあえて若手にし、そのチームにシニアを組み入れて一緒に作業を進めていく。80歳のエンジニアと新卒2年目の技術者が共同開発した製品が「東京都ベンチャー技術大賞」に選ばれたこともある。さらに、パート従業員にとっても働きやすい職場だという。実は、誰もが生き生きと働ける環境を作るため、ユニークな取り組みを導入しているのだ。1人の社員が年間を通じて全社員と1時間ずつトークする「対話研修」や、業務改善や新規事業の提案ができる「気づきシート」など。こうした取り組みが評価され、社長の松橋は経営者に贈られる数々の賞を受賞している。
父が作り息子が飛躍させた驚きの町工場
松橋の父・章は元大手メーカーで、胃カメラを開発する技術者だった。1976年に50代で独立してメトロールを創業。メトロールとは“MEASUREMENT(測定)”と“CONTROL(制御)“を掛け合わせた造語だ。創業当初は赤字続きだったが、ある企業からの相談に応じて精密センサーを開発すると、それが評判となり注文が増えていく。一方、松橋は元々食品メーカーで営業を担当。その後メトロールに入社した松橋が驚いたのは、平均年齢65歳とまるで老人ホームのような町工場の有様。松橋は若手からシニアまでが活躍できる職場環境を整えるともに、得意の営業力を活かしてマーケティングを強化。ECサイトで自社製品の直販を開始して海外展開を進めるなどした結果、世界に知られる会社へと飛躍を遂げたのだ。
ゲストプロフィール
松橋 卓司
- 1958年東京都生まれ
- 1980年日本大学農学部卒業
大手食品メーカー入社 - 1998年 メトロール入社
- 2009年社長就任
企業プロフィール
- 会社名:メトロール
- 本 社:東京都立川市高松町1−100
- 創 業:1976年
- 資本金:4000万円
- 従業者数:約120名

精密工学科卒の父親が起業した会社名がメトロール。父親は、海外の客が一人もいないのに世界を見据えていた。松橋さんは、漁師になる夢をあきらめ、大卒後は日清食品に。20年後「後継者がいなくて困っている」と父親が。精密機械式センサーという製品は完全な畑違い。40歳で1から勉強。眠れない夜が続き、医者が軽い鬱だと。入社時の売上高5億円、それが23億円に。主婦パートも図面読みから組み立て・検査までを一貫して担当。管理部門も持たない、オフィスも工場も賃貸。親子が、見事なハーモニーを奏でた。