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用語解説

森田豊先生

森田豊先生による「ドクター調査班」医療用語解説

医療ドラマは聞き慣れない用語が並び、難しい印象がありますよね。
そこで!ドラマの医療監修を担当して頂いている森田豊先生が各話に出てくる医療用語をピックアップして、放送前に分かりやすく解説します!

医療解説 第二話 医師・医療ジャーナリスト 森田豊(医療監修)

[ びじょうようかんがん ]

尾状葉肝癌

肝臓は体の中で最も大きな臓器であり、肋骨の直下、腹部の右上に位置する。解毒、代謝、胆汁分泌など、様々な働きがあるが、肝臓に病気が生じても自覚症状が出ない場合が多く、「沈黙の臓器」と呼ばれている。解剖学的に、肝臓の構造は4つに分類されて、それらは右葉、左葉、方形葉、尾状葉である。尾状葉は、肝臓の中でも最も裏側、すなわち体の背側で奥まった位置に存在し、また、体の中でもっとも太い静脈である下大静脈等の重要な血管が隣接している。このような場所にあるため、この尾状葉にできた肝癌を切除する手術は、血管の剥離などに対して、極めて高度な技術を必要とする。肝癌の原因の多くがB型またはC型肝炎ウィルスの感染であり、過度の飲酒、喫煙なども関与している。いずれの場合も、肝炎から肝硬変を経て、やがて肝癌に移行していく。

[ びょうりかいぼう ]

病理解剖

病気で死亡した患者を対象に、詳しい医学的検討を行うために、臓器、組織、細胞を直接観察して、遺体を解剖すること。肉眼的だけでなく、顕微鏡を用いた観察も行う。病理解剖により、生前の診断が正しかったかどうかの検証、治療の効果や妥当性の検証、直接の死因の解明などを判明できる場合が多い。臨床医が、死亡した患者の家族の承諾を得た後に、病理医によって行われる。病理解剖の後、病理医は、剖検診断書もしくは病理解剖学的診断書を作成し、臨床医にその結果を報告する。現在、日本では、年間2万件前後の病理解剖が実施されている。病理解剖を行うことは、医療の妥当性の検証に貢献できるだけでなく、医師らの臨床研修、教育のためにも重要と考えられている。そのため、各種学会の教育認定施設の要件に、施設での年間病理解剖実績数が必要となっている場合もある。

[ しゅっけつせいしょっく ]

出血性ショック

出血性ショックとは、何らかの原因によって大量の出血が生じたときに、全身の臓器に十分な血液が運ばれない状態を示す。この状態が続くと臓器に酸素や栄養が十分運ばれなくなるので、重大な障害を引き起こす。特に脳や腎臓は多くの酸素を必要とするので、障害を残しやすい。全身を巡る血液量は体重の約8%と考えられているが、一般的に、全血液量の20%以上の血液がなくなると出血性ショックの症状が表れる。皮膚が青白くなる、冷や汗が出る、脈が早くなり弱くなるなどの初期症状から始まり、やがて血圧は低下し呼吸困難となり、早期に治療を行わないと意識を失い、死に至ることもある。主な原因は、外傷、消化管などの臓器からの出血、手術に伴う出血、手術後に生じた出血などである。出血の原因を突き止め、速やかに止血を行いつつ、輸液や輸血などを用いて様々な臓器への血液の流れを維持することが重要である。

[ たぞうきふぜん ]

多臓器不全

生命の維持に必要な複数の臓器の働きが障害された状態をいう。主に、脳、肺、心臓、肝臓、腎臓の中で、2つ以上の臓器の働きが不完全になった場合に生じる。原因としては、重症な出血性ショックによって種々の臓器に十分な血液が運ばれない状態が続いた状態で生じることがよく知られている。その他、敗血症などの重症な感染症が続くことで炎症に対する強力な化学物質が生じた時、心臓の働きが弱まり臓器への血液を供給できなくなってしまった時、などが原因となる。治療法として確立されたものがあるとは言い難いが、多臓器不全になりつつある状態を迅速に把握し、直ちにその原因を除去することが肝要である。死亡率は報告によっても異なるが、50~90%とかなり高い。

[ でんきぎょうこ ]

電気凝固

電気凝固は手術の際に出血を止める処置の一つ。電気メスなどによって人体に高周波電流を流し、このときに生じる熱により、細胞を加熱しタンパク質を凝固させ出血を止める。通常、直接電気メスを患部にあてて止血が有効なのは、直径0.5mm以下の小血管と考えられているが、止血鉗子で挟み止血を試みてから血管を電気メスで焼灼する接触凝固法では、直径2mmまでの血管の止血が可能であるとされている。

電気メスの原理は、焼灼止血法(しょうしゃくしけつほう)に由来している。これは、近代以前に、四肢切断などの重傷患者の出血に対して有効な止血法として、世界各地で傷口を焼コテで焼くという原始的な方法が行われてきたものである。特別な技術、器具、薬を用いずに行えるため広く行われてきた。医学の進歩に伴い、人間に対して焼コテが使われることはなくなっているが、電気メス、医療用レーザー、マイクロ波凝固などによる止血法として焼灼止血法の原理は応用されている。

[ けっさつしけつ ]

結紮止血

結紮止血とは、様々な太さの血管を、それに適合した太さの糸で縛り止血する方法をいう。結紮止血の利点は、手術後の出血の危険性が少ないことである。欠点として、結紮に時間がかかること、結紮された組織の壊死が生じること、そして糸によっては人体にとって異物となってしまうことである。

各回の医療解説

医師・医療ジャーナリスト 森田豊 (医療監修)

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