鹿島とFC東京「コロナ禍のJリーグ再開」の舞台裏に密着 支えた人々の思いとは

サッカー

2020.7.18



そこに秘められたドラマをあなたはまだ知らない

鹿島市民は鹿島アントラーズを熱愛してやまない。しかし今、クラブは発足以来、最大の危機にある。

町の人影も途絶えて久しい。アントラーズサポーター御用達、二十年以上も続く居酒屋も客足が途絶え、苦しい状況になっていた。

少しでも役に立ちたいとアントラーズは動いた。

チームのホームページでテイクアウトやデリバリーの利用を勧め、選手たちもブログで鹿島エール飯として宣伝に協力した。

さらにクラウドファウンディングが立ち上がると、鹿島市民が黙っていなかった。我先にと寄付金を出し、目標額1億円は達成までもう時間の問題になっている。



アントラーズサポーターは横断幕を手作り

近づいたその日。アントラーズにとってのホーム開幕戦をどう迎えるか。

地元商工会青年部のアントラーズ応援委員長・山町さんはサポーター歴27年。アントラーズのホーム開幕戦が4日後に迫ったこの日、山町さんが動き始めた。

サポーターとしての活動はおよそ4ヶ月ぶり。現場に着くとすぐにマスクや消毒薬を準備。体温を測り作業に取り掛かった。

応援用の横断幕作りだ。生地はもちろんアントラーズカラーの赤。下書きの線に合わせてマスキングテープを貼り、星を形作る。

計20個の星を描きアントラーズの20冠を表現した。

だが無観客なのでスタジアムには持ち込めない。

試合当日、完成した横断幕を手に山町さんが訪れたのは、勝負の神様を祀る鹿島神宮。市民が親しむこの神社で、アントラーズは毎年、必勝祈願をしている。

横断幕は参道に並ぶ商店の軒先に掲げてもらい、勝利への祈りを送ってもらうことに。

過去手にした20のタイトル。その星を今シーズン、21個にしたい。



FC東京が打ち出したスポンサー獲得策

だが一方には地域性という色を出しにくいクラブもある。

首都東京に本拠地を構えるFC東京はJリーグきっての人気クラブ。しかし今は満員の観客など望むべくもない。

室内でのミーティングが終わると選手たちが使った椅子を徹底して消毒。

【動画】Jリーグ再開の舞台裏に密着 支えた人々の思い

しかし、クラブを悩ませるのは感染対策だけではない。

事業部の小川部長に聞くと新規の営業が全くできていないという。全体の4割を占めるスポンサー収入。それを減らさないためにはどうすればいいのか。

小川部長が直々にスポンサー契約をまとめたのがこの椅子。



この椅子、元はゲーミングチェアと呼ばれるeスポーツ用のもの。

スポンサー料を払うメーカー側のメリットは、ずばり人目につくこと。普通のスポンサーボードよりも商品自体を露出できてアピールできる。

サポーター心をくすぐるグッズ

さらにサポーター心をくすぐるグッズも作った。作ったのはトラベルタグとキーリングで、ネット販売したものの購入者には送っていない。

その心は・・・。

ネットで販売したトラベルタグとキーリングは応援の意味を込めて選手のロッカーへ。シーズン中は毎試合こうして飾り、シーズンが終わったら購入者に送るという趣向だ。

FC東京は7月8日にホーム開幕戦を迎えた。

残念ながら試合には敗れたがシーズンへの確かな一歩を踏み出した。



一方、同じく7月8日、アントラーズのホーム初戦。

山町さんを始めとするサポーターは野外にスクリーンを設置し、料理と飲物を並べて勝利の美酒を待つ。

実は公式戦4連敗中だったアントラーズ。

攻め込みはするがこの日もあと一歩のところでゴールが遠い。

勝利の美酒はお預けとなった。



ついに迎えたJリーグ再開。



そこに込められた幾つもの願いと流された尊い汗は、我々にサッカーとは人と人とを結びつけるものだと改めて教えてくれた。