メジロドーベル 子育て上手なお母さん「高齢となった歴史的名牝が出会った天職」【もうひとつの引退馬伝説2】
2025.10.18
エリザベス女王杯 メジロドーベルとガッツポーズの吉田豊騎手(c)SANKEI
子育て上手なお母さんだった
2歳時に阪神3歳牝馬S(現在の阪神ジュベナイルフィリーズ)を勝利、3歳時にはオークスと秋華賞の二冠制覇。
4歳以降もエリザベス女王杯を連覇するなど、GⅠ通算5勝にして4年連続勝利という快挙を成し遂げた名牝メジロドーベル。現在31歳。
すでに繁殖生活を終え、功労馬として繋養されるかたわらリードホースとしても活躍している同馬の様子を、著名な競走馬の引退後を追った『もうひとつの引退馬伝説2〜関係者が語るあの馬たちのその後』(マイクロマガジン社、2025年10月9日発売)から一部抜粋・編集してお届けする。
現役時代のメジロドーベルは有り余る能力の持ち主の一方で、折り合いの難しい馬という印象も強かった。オークスでは陣営がゲートイン直前までメンコを装着して落ち着かせる工夫をしていたほど。
そんな勝ち気な性格が、大レースを勝つ原動力なのだろうが、実際のドーベルはとても寂しがり屋で人懐っこい馬だったという証言もある。どちらがドーベルの本質なのか。
その答えは、すでに31歳(2025年現在)となり、繁殖という大仕事を終え、リードホースをしているドーベルからうかがい知れるのではないか。
そうして訪れたレイクヴィラファームで、現在のドーベルの貴重なお話を聞かせてくれたのが担当の的野裕紀子さん。
かつて功労馬になったメジロライアンを担当していた縁で、繁殖を終えたドーベルも担当することになった的野さんだが、ドーベルとは繁殖時代からの長い付き合いでもあるという。
「私がメジロで働き始めた時は、ドーベルは2番仔を生んだくらいでした。当時のドーベルは群れでもけっこうイケイケだったらしいんですけど、早めに繁殖に上がっていた初仔で娘のメジロヒラリーとケンカして負けたらしいんですよ。繁殖の群れって上下関係が厳しいんですけど、娘に負けて序列が後ろになったみたいで。だから私の中でドーベルは強いお母さんのイメージではないんです」
繁殖の群れの中では、GⅠ5勝の肩書なんて関係ないようで、未出走の娘とのケンカに負けたドーベルはママ同士で立場が弱くなったが、子ども相手では最高に面倒見の良いお母さんだったそうだ。
「ドーベルは子育てが本当に上手です。下手に干渉しすぎないけど、大事なところをちゃんと押さえてくれるんです。繁殖牝馬の中には人が入ってくると『ダメ、私の子どもに触らないで!』っていう馬もいるんですが、それがまったくない。人が何かをするのは必要だからってわかっているんです。すごく賢い馬です」
そんな子育て上手なお母さんだったドーベルは現在、リードホースとなって子どもたちと接している。リードホースとしての適性も抜群に高いのだという。
「ドーベルも最後の仔を取った後、年齢的にも高齢だったんですけど、元気が良かったので、そのまま群れに置いていたんです。そうしたらたまたま離乳した仔が群れから外れてたんですが、ドーベルが迎えに行ってくれたんです。それで『これはできる!』みたいになって(笑)。リードホースをしてもらうつもりはなかったんですけど、やっぱり子どもが好きなんだというのがあったので、やってもらってもいいかなって」
■メジロドーベル プロフィール
生年月日:1994年5月6日生まれ
性別:牝馬
毛色:鹿毛
父:メジロライアン
母:メジロビューティー(母父:パーソロン)
調教師:大久保洋吉
馬主:メジロ商事
戦績:21戦10勝
主な勝ち鞍:オークス、秋華賞、エリザベス女王杯(2回)、阪神3歳牝馬S
生産牧場:メジロ牧場(伊達)
現在の繋養先:レイクヴィラファーム(洞爺湖)
もうひとつの引退馬伝説2 ~関係者が語るあの馬たちのその後
有名競走馬の現役引退後の余生を追い、競馬ファンを中心に大反響を呼んだ『もうひとつの引退馬伝説~関係者が語るあの馬たちのその後』の第2弾!
今回も種牡馬や繁殖牝馬になった馬の他、乗馬、馬術競技、伝統神事、リードホースとして活躍している馬、功労馬としてゆったりと余生を送っている馬、生を全うした馬など、取り上げる馬は総勢28頭。
それぞれの関係者に直撃取材し、知られざる第2・第3の馬生を紹介していきます。
編:マイクロマガジン引退馬取材班
発売日:2025年10月9日
価格:1,980円(本体1,800円+税10%)
購入:https://www.amazon.co.jp/dp/4867168505/
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