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2015年6月4日 放送
田舎に日本の未来SP 第1弾 ~人口減に挑む地元愛~

- 北海道・夕張市 市長 鈴木 直道(すずき なおみち)
- 島根・雲南市 吉田ふるさと村 社長 高岡 裕司(たかおか ゆうじ)
街の中心に住宅を集約する、北海道・夕張市の「コンパクトシティ計画」が注目を集めている。人口減に備えた意欲的な取り組みで、陣頭指揮するのは東京都職員から転身した若き市長。一方、30年前「人口減で村が消える」との危機感から島根の村民が作った「住民株式会社」は、卵かけご飯専用醤油を開発し大ブームを巻き起こした。ともに挑戦の原動力は、地元を愛する気持ちだ。人口減社会に立ち向かうヒントは、地方にこそあった。
社長の金言
- 危機を肌で感じる田舎で
新しいものが生まれるTweet
-
RYU’S EYE
座右の銘
放送内容詳細
課題先進地「夕張」にこそニッポンの未来
353億円もの借金を抱え、日本で唯一財政破綻した自治体・夕張市。かつて炭坑として栄え、最盛期(1960年)に12万人近くいた住民は、今では1万人を割り、高齢化率は全国の市の中でトップの43.8%だ。住民さえ逃げ出す逼迫した街を変えると、2011年に名乗りを上げたのが、当時30歳で東京都職員出身の鈴木直道氏だった。最年少市長として当選した鈴木氏は「課題が山積している夕張だからこそ、人口が減少するニッポンを生き抜くヒントがある」という。その1つが、行政の公共サービス維持費を減らし、住民にとっては暮らしやすい街を作る「コンパクトシティ計画」だ。国も全国の自治体も、そのユニークな取り組みに注目している。4月に2期目を迎えた「夕張再生市長」の挑戦に迫る!
異色の「住民株式会社」 卵かけご飯醤油で大ヒット
日本がバブルに浮かれていた1980年代、人口減少から「村が消滅する」と憂い、立ち上がったのが島根・吉田村(現・島根・雲南市吉田町)の住民たちだ。1口5万円で出資を募り、100人近い村民がお金を出しあった。そして、全国でも珍しい「住民株式会社」の吉田ふるさと村が誕生した。「人口が減るなら仕事を産み出そう」との考えからだ。地域住民のための水道工事、温泉施設や道の駅の運営を手がけ、卵かけご飯専用醤油「おたまはん」は全国的な大ヒットとなった。創業時わずか6人だった社員は、30年で10倍以上の66人に増え、地域を代表する企業に成長した。その立ち上げから参加したのが、6代目社長の高岡裕司だ。全国でも類を見ない「住民株式会社」とはどういうものか。寒村での『雇用の創出』の30年間の試みを追う!
ゲストプロフィール
鈴木 直道
- 埼玉県三郷市出身
- 1999年、東京都庁入庁
- 2004年、法政大学卒業
- 2008年、夕張市へ派遣(2年2ヶ月)
- 2010年11月、都庁を退職
- 2011年4月、最年少市長として初当選 現在2期目
- 現在、北海道夕張市在住
企業プロフィール
高岡 裕司
- 1957年島根県吉田村(現在の雲南市吉田町)生まれ
- 1976年高校卒業後、東京の大学に入学
- 1985年㈱吉田ふるさと村の設立に参加
- 2002年卵かけご飯専用醤油「おたまはん」発売
- 2005年日本初「たまごかけごはんシンポジウム」開催
- 2012年代表取締役社長に就任
企業プロフィール

都市に住んでいると、地方の現状が見えない。住民の日々の暮らし、その心の内がわからない。「自分の問題」として考えるのがむずかしい。だが、地方が疲弊し、市や町や村が消えていくと、「共生」という概念も失われる。「一人の力でなく、一人の利益のためでなく、みんなの力によって、みんなの利益のために働こうではありませんか」吉田ふるさと村設立時の呼びかけだ。忘れがちだが、日本人はすべて、まさにそうやって生き延びてきた。夕張市、吉田ふるさと村の自立への取り組み、わたしたちは想像力を駆使して、その姿勢に学ぶべきだと思う。