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2019年9月26日 放送
宿題・定期テストは廃止!
教育の常識を打ち破った 驚き公立中学の秘密

- 千代田区立麹町中学校 校長 工藤 勇一(くどう ゆういち)
多くの人が頭を悩ませてきた学生時代の「宿題」や「定期テスト」。そんな多くの学生の悩みを解消した「宿題なし」「中間期末テストなし」という中学校が、いま教育業界で注目を集めている。この夢のような中学校こそ、東京の千代田区立麹町中学校だ。この学校を先端的な学校に生まれ変わらせた立役者こそ2014年に校長に就任した工藤勇一氏(59歳)だ。工藤は、一般的な学校で当たり前のように行われている全ての「当たり前」を一から見直し、「宿題」「中間・期末テスト」「クラス担任」「体育祭のクラス対抗」などを続々と廃止し、全く新しい公立中学の教育システムを作り上げた。麹町中学を「教育の世界を変えるきっかけになりたい」と目論む工藤の改革の全貌に迫る!
社長の金言
- “分からないもの”を“分かるようにする”のが学びTweet
RYU’S EYE
座右の銘
放送内容詳細
学校教育の「当たり前」を変えた!驚き公立中学校
他の学校にある「当たり前」のものでも、麹町中学にはないものがある。例えば「中間・期末テスト」。麹町中学は、一夜漬け勉強の温床になっていた「中間・期末テスト」を廃止し、代わりに「小テスト」を積極的に実施しているという。しかも、この「小テスト」、希望すれば、ほぼ同じ内容の再試験が受けられ、学校の成績には、その2回目の点数が反映されるという。さらに、麹町中学には「宿題」もない。普段の宿題はもちろん、夏休みも「宿題ゼロ」なのだ。他にも、服装髪型の指導など中学として「当たり前」のことが行われていないのだ。しかも、生徒や保護者からの評判も上々だという。いまや全国的にも、その取り組みと成果が注目を集め、視察の絶えない中学校へと変貌した麹町中学校。その意外すぎる取り組みを取材した!
自律した中学生を育てる
麹町中では、クラスの固定担任制度も廃止した。例えば3年生では8人の先生が学年全体を見る「全員担任」という仕組みだ。三者面談では、保護者と生徒が、教員を指名できるという。普段の生徒の相談も好きな先生を選べるため教師と生徒の間に多くのコミュニケーションが生まれている。麹町中学の改革は「生徒が自分で考え、自ら行動できる自律した子供を育てる」ことを最上位の目的として考えられている。宿題がない分、生徒は自分の「解らない」をなくすため、勉強を自ら計画を立てる。小テストの再テストも、希望する生徒が自らの判断で受けるので、生徒の中に「やらされるテスト勉強」ではない「当事者意識」が芽生える。「子供の自律」を学校の最上位目的として改革を進める工藤の改革の全貌に迫る!
ビジネス界にも受け継がれる工藤流
2006年26歳で東証マザーズに上場し最年少上表を果たした、インターネット広告代理店「アドウェイズ」のCEO岡村陽久もかつて工藤の教え子だ。その岡村の経営術には、工藤イズムが踏襲されているという。ビジネスにも通ずる、工藤流のマネジメントメソッドとは!その本質を取材した。
ゲストプロフィール
工藤 勇一
- 1960年山形県生まれ
- 1984年山形県公立中学校教諭
- 1989年東京都公立中学教員に赴任
東京都教育委員会・目黒区教育委員会
新宿区教育委員会教育指導課長などを歴任
- 2014年千代田区立麹町中学校校長に就任
麹町中学校プロフィール
- 住 所:千代田区平河町2丁目5-1
- 生徒数:429名 ※7月10日現在
(3学年 各4クラス) - 設 立:1947年4月1日

「中間・期末テスト廃止」「宿題廃止」などが話題になって、工藤先生は、異色だと言われる。だが、組織の歯車を育てるという明治以来の教育方針が、いまだ本流として残っているほうが異常だ。わたしはそういった教育体制で育った。数少ない例外を除いて教師は敵だった。だが現代、教師たちも疲弊している。どう生きればいいのか、規範もモデルもない。ただし、重要なのは「どう生きるのか」ではなく、「生き延びるには何が必要か」だ。工藤先生は、そのことを生徒たちに「教える」のではなく、「考えさせよう」としている。