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2021年5月6日 放送
"高嶺の花"に手が届く!
独自すぎるブランド戦略

- メルセデス・ベンツ日本 社長 上野 金太郎(うえの きんたろう)
コロナの影響もあってか、昨年の日本の新車総販売数は11.5%減と全体的に縮小傾向にある。そんな中、輸入中古車は前年比3.5%増加した。実は、コロナ禍で外車を選ぶ人が増えている。中でも、ベンツの中古車は前年比20%増(正規販売店)と驚異的な伸びを記録。さらに、ベンツのレンタカー利用者数は昨年の3倍と、コロナ禍で、ベンツに乗る日本人が増えている。かつては"高嶺の花""金持ちの乗り物"と言われたベンツだったが、今では"手が届くクルマ"へと変貌。メルセデス・ベンツ日本の、ドイツ本国にはない独自の戦略に迫る!
RYU’S EYE
座右の銘
放送内容詳細
コロナ禍大人気!ベンツ専門のアウトレットにレンタカー
昨年6月、国内2店舗目となるベンツのアウトレット専門店が横浜に誕生し、人気を呼んでいる。新車より3割ほど安く買える価格が一番の魅力だが、一般の人が乗った、いわゆる中古車ではなく、展示会や販売店で試乗車として使われていた「状態の良い」車を多く扱っているのが売れる理由だ。「ベンツを買うには、ちょっとハードルが…」という人にはベンツのレンタカーも好評。「4時間4000円~」というレンタカービジネスは、コロナ禍で電車移動を嫌がる家族連れなどが、「ちょっと贅沢なドライブ」を満喫できると好評を得ている。これらの戦略は“日本法人初の日本人社長”上野の独自のアイデア。就任以降、ベンツは日本国内での輸入車販売台数6年連続ナンバー1を獲得。その快進撃の裏には、上野社長のベンツの「高嶺の花」というイメージから「手に届く、身近な車」とし愛してもらおうという戦略があった。
“ベンツ=高級”への危機感・・・「高嶺の花からみんなの車へ」
1987年、日本法人初の新卒第一期として入社した上野は、富裕層しかベンツを購入していない現実に危機感を感じていた。上野は、ベンツに対する「高級車」・「成功者の乗り物」というイメージが若者を遠ざけさせている原因と考え、新たなブランディングの必要性を訴え続けた。そんな上野の思いが結集したのが、2011年に六本木にオープンしたブランド発信拠点の店「メルセデス・ミー」だ。“クルマは売らない”をコンセプトに、1階はカフェ、2階はレストランと、誰でも気軽に立ち寄ることができる。ベンツの垣根を低くしようと、多様メーカーとコラボして商品を作ったり、CMを制作したりと、若者等にも親しみやすいようベンツブランドのイメージを変貌させようとしている。
ゲストプロフィール
上野 金太郎
- 1964年東京生まれ
(早稲田大学 社会科学部卒業) - 1987年入社
- 2012年代表取締役社長 就任
企業プロフィール
- 創 業:1986年
- 所在地:品川区東品川4-12-4
- 従業員数:約370人(2021年1月)
- 売上高:4383億円(2019年)

『キリング・フィールズ』という1984年の英米合作映画がある。カンボジア内戦を描いたもので、「ベンツ・イズ・ナンバーワン」という台詞が出てくる。運転手として会った男が、敵の戦闘員として登場し、その台詞を言って主人公を助ける。上野さんも映画を見ていたし、その台詞を覚えていた。ベンツはポルポト時代のカンボジアを走っていて、故障が少なかった。メルセデスは何をやってもナンバーワンで、なぜか、そう宿命づけられている。