バックナンバー
2022年7月28日 放送
エンタメを極めて120年
ピンチに攻める!松竹

- 松竹 社長 迫本 淳一(さこもと じゅんいち)
日本の伝統芸能である歌舞伎が、いま変貌を遂げている。歌舞伎役者がバーチャルアイドルと共演し、ライブ配信されて若者たちが熱狂。バーチャルスタジオでは、クロマキーをバックに「メタ歌舞伎」の撮影が行われている。コロナ禍で苦しんできたエンタメ業界だが、創業から120年を超える老舗は攻めに攻めまくっている。歌舞伎を守り、進化させてきたエンタメ企業、松竹の真髄に迫る!
社長の金言
- 飛ばんとするものは まず屈するTweet
放送内容詳細
若者が熱狂!攻めまくる歌舞伎
今年4月、幕張メッセでは、歌舞伎役者の中村獅童とバーチャルアイドルキャラクターである初音ミクが共演する「超歌舞伎」が行われ、観客の若者たちが熱狂していた。古典芸能の歌舞伎に現代の若者カルチャーの世界観を落とし込むことで、幅広い世代に関心をもってもらおうという試みだ。また、バーチャルスタジオでは、「メタ歌舞伎」の配信も始まった。コロナ禍を乗り越えて攻める歌舞伎。一体何が起きているのか?
伝統の歌舞伎を支えてきた松竹
松竹は日本の伝統芸能である歌舞伎を支えてきた。歌舞伎が行われる4つの大劇場を経営するなど、ほぼすべての歌舞伎公演に関わっているのだ。創業家の松竹兄弟(松次郎と竹次郎)が歌舞伎に感動し、全国の歌舞伎小屋を買収。その後、歌舞伎を興行するようになったという。その松竹を変貌させたのが現社長の迫本。新風を起こすことで歌舞伎を成長させてきた。そこに起きた新型コロナ流行による危機。大胆な公演を仕掛けて客をつなぎ留める一方、迫本が立て替えた高収益の歌舞伎座タワーが収益激減から会社を救った。市川猿之助や中村獅童も一目置く、迫本の経営術とは?
伝統に革新をもたらせた異色社長
松竹といえば、京都に時代劇撮影所を保有するエンタメコンテンツ制作集団だ。しかし、テレビの時代劇が下火になり、撮影所も危機を迎える。そんな中、社長に就任した迫本は、撮影所を生かしてヒットコンテンツを生み出した。「超高速!参勤交代」「引っ越し大名」など、コメディ要素を入れた現代風の作品で新ジャンルを開拓したのだ。その迫本は弁護士資格をもつ異色の経営者だ。小津安二郎の作品や「寅さん」シリーズなどを生み出した城戸四郎の孫でもある。迫本の経営の真髄は、創業者である竹次郎の精神「時代時代にあったものを作れ」。その精神でハイテク化にも尽力し、古くからある伝統芸能の歌舞伎に革新をもたらせる、異色社長の手腕に迫る。
ゲストプロフィール
迫本 淳一
- 1953年東京生まれ
- 1978年慶応大学法学部卒業 松竹映画劇場入社
- 1993年弁護士登録して三井安田法律事務所入所
- 1998年松竹顧問 その後副社長に就任
- 2004年社長就任
企業プロフィール
- 創 業:1895年
- 資本金:約330億円(2022年2月現在)
- 従業者数:585人
- 売上高:718億3500万円(2022年2月期)

小池さんが、『ワンピース』観に行きましたと言うと、そうですか、うれしいなあと迫本さんは、笑顔を見せた。400年続くアートである歌舞伎を運営する、松竹。型があるから型破りだと故・中村勘三郎が言ったらしい。ただし大船撮影所を閉鎖・売却したように、コストは大きいし、リスクは高い。新しい歌舞伎座にリーシングできるオフィスビルを併設し、安定収益を確保した。ぎりぎりでやっている。歌舞伎を観に行ったという小池さんに見せたのは、心からの笑顔だった。