定例社長会見2010年5月
<決算総括>
2009年度決算は、減収増益となりました。2度の上方修正をしましたが、これは特殊要因によるもの。第4四半期での営業の踏ん張りや、連結子会社の通販事業やアニメ放送事業の頑張りで黒字に転換することはできましたが、上振れは特殊要因によるものでした。社員たちが土壇場で頑張って黒字にしてくれたという意味では手ごたえがありましたが、あまり大威張りしてはいけない面もあると思います。
したがって、テレビ東京の場合、基調は厳しい状況が続いているという認識です。スポットは去年の年末から上向き、当社でも前年比プラスの状況が出てきていますが、地区のペースにはまだ追いつけず、流れには乗れていません。
タイムは依然として、前年比マイナスという状況。新年度に入っても、この傾向は続いています。テレビ東京の場合、タイムの比率が高いので、2010年度全体では多少の減収を覚悟しなければならないと思っています。実力ベースでは減収増益を目指していますが、数字上では減収減益になるということです。
番組制作費については、すでに相当削ってきましたが、引き続きコストコントロールを徹底します。踏ん張って弾力をつけ、来年の完全デジタル化に向けて反転攻勢をかけられるよう、クールごとに番組の強化をしていきたいと思っています。
なお、先日発表した業績見通しは、あくまでも現在の形態を前提にした仮の数字です。今後、改めて、ホールディングス化を前提とした数字をお出しします。
<組織変更>
10月1日付で、テレビ東京とテレビ東京ブロードバンドとBSジャパンの3社が株を持ち合い、ホールディングスを設立する運びとなっています。それに向け、テレビ東京は6月25日付で、ホールディングス体制を先取りした組織変更を行います。
新しい組織をいくつか作ります。「広報局」は、現在の広報・IR部と番組宣伝部を統合し、番組の宣伝だけではなく、事業やBSも含めたグループ全体の宣伝活動、IR活動にあたります。「コンテンツ契約局」は、国際的なライツ事業を視野に入れたグループ全体の版権管理の仕組み作りを進め、現在のコンプライアンス室は、内部監査部を含めた「コンプライアンス局」として新しくスタートします。「情報システム局」「経営戦略局」「総務局」なども、ホールディングスの組織として考えています。10月1日にホールディングスがスタートする時に、業務の混乱を起こさないよう、スムーズに業務が引き継げるよう、テレビ東京とダブらせていこうと思っています。この辺は、少し詰めの作業をしながら、最終形を決めたいと思います。
「営業局」もホールディングス化を先取りし、地上波、BS波、FMラジオ、デジタル広告、事業セールスと、組織的に展開できるようにします。広告主の多様なニーズに応えて、クロスメディア戦略に機敏に対応できる組織の再構築をするということです。組織については、1年かけて見直しをしながら、完全なものに作り上げていきたいと思います。
関連会社をホールディングスにどうぶら下げていくかということについても、時間をかけて検討していきたいと思っています。
<営業関連>
4月の営業実績は、タイムが前年同期比-2.4%、スポットは+1.6%、タイム・スポットの合計で-1.1%でした。
スポットは前年プラスとなりましたが、地区には届いていません。昨年の視聴率の低迷も影響しています。テレビ東京にシェアの厚い、金融・保険などにまだ勢いが戻っていないことも、影響しているのかもしれません。タイムを強化しながら、スポットで補っていく、あるいは新しい収益モデルを開発していくという努力が欠かせないところです。
タイムの特番では、現在放送中の『世界卓球』が完売し、少し手ごたえを感じているところ。この流れが、サッカーワールドカップまで続いてくれるかどうかです。ワールドカップで勢いをつけることができれば、上期は少し楽になるかなと思います。
Q.新しい収益モデルの開発とは
A.少しでも放送収入を補うようなモデルを、ということ。番組関連のビジネスとして、収益が得られるような工夫です。『ピラメキーノ』など一部の番組では、すでに実験をしていますが、そのような展開によって放送収入を補完していくということが大事ではないかと考えています。
放送収入の新たなあり方を考えるのは、簡単ではありません。現実は、収入のほとんどを放送収入が負っているので、軽視するわけにはいきません。放送収入をきっちり得ながら、放送を中心としたビジネスモデルをどう作れるか。スポンサー企業に理解してもらえるビジネスモデルをどう開発していけるか。それがこれからの仕事だろうと思っています。
<編成関連について>
4月クールの視聴率(第8週まで)は、ゴールデンタイムが6.1%(前年比-1.0ポイント)、プライムタイムが5.8%(同-0.9ポイント)、全日2.8%(同-0.4ポイント)と、依然として低迷が続いています。
当社がこれまで得意としていたM3・F3層が「その他」に流れ始めているため、既存番組が苦戦しています。一方で、10月編成に向けた新しい番組の開発が、まだ成果を出していないこともあろうかと思います。
10月クール、1月クール、そして最終的に来年度の4月クールに向けて、どうやって汗をかき、どう踏ん張って、どんな新しい番組を開発するかということにかかっていると、私は考えています。辛抱のしどころだろうと思います。
5月23日から放送中の『世界卓球』も5%台が続き、昨日(26日)ようやく6%台に乗ったところ。これも、なかなか思い通りに数字が伸びてくれません。高視聴率を獲得した前回の団体戦(2008年・広州大会)は2月だったので、他にスポーツ番組の放送がない時期でした。今回は、プロ野球やサッカーといった競合番組が裏にあり苦戦しているようですが、男女とも決勝トーナメントに進むことが決まりましたので、これから視聴率も上がってくるのではと期待しています。女子は、ここまで4戦全勝で期待通りの活躍。男子もドイツに惜敗しましたが4勝1敗で、いずれもメダルを狙えそうです。卓球はファンも増えているということですから、これからに期待したいと思います。
プロ野球は、6月1日(火)「ロッテ-巨人」、6月12日(土)「ソフトバンク-巨人」の交流戦2試合を中継することが決まっています。なんとか頑張ってほしいと思っているところです。
サッカーワールドカップについては、6月12日(土)「ウルグアイ-フランス」、6月18日(金)「スロベニア-アメリカ」、6月28日(月)「ベスト16」の3試合を中継します。
7月クールは、『モテキ』という人気漫画をドラマ化します。ドラマ24の枠で、7月16日(金)から森山未來さんの主演で放送します。
実は、この作品を盛り上げようというプロジェクトが、社員たちから自然発生的に生まれたそうです。社内LANを利用した「社内モテ期アンケート」「社内モテ期ブログ」などを試みたり、視聴者へ向けても「ツイッター」や「YouTube公式チャンネル」を使ったりして、盛り上げていこうという動きになっています。
社員が自然発生的にそういう動きをするというのは非常にいい傾向。まず、社員が盛り上がって、視聴者に盛り上がっていただく。番組には、いろいろなやり方をしてもらいたいと思っていて、今回のような通信系を使って番組を強化するという試みが、どんな結果として出てくるのか、大変興味を持って見ているところです。ご期待ください。
Q.視聴率が苦戦しているのは、「その他」の影響もあるのか
A.やはりそうでしょう。BSがザッピングで見やすくなって世帯視聴率も伸び、メディアとして確立してきました。さらに、有力なコンテンツも放送し始めています。スポーツ、ドラマの再放送、ネイチャリングものなど。相当競争力をもつメディアとして、定着しているのではないでしょうか。
BSを主に視聴している層は、テレビ東京がつかまなければならない層。逆にいえば、我々がその層をつかまえられないから、BSに流れているということもあるので、今の新しい50代の世代に、もっとアピールする番組を作らなければならない。今後の我々の番組開発の課題だろうと思います。
我々はホールディングスを作って一体運用をするわけですが、BSはこういう潮流のなかにあるので、ここを強化しなければなりません。BSの強化が、テレビ東京グループ全体の利益になるという観点から、ホールディングスというスキームを考えたということ。テレビ東京のコンテンツ制作力も使いながら、BSを強化していくことも考えていきたいと思っています。
Q.BSジャパンとのサイマル放送について
A.今のサイマル放送の仕方がいいのかどうか、見直してくれと言っています。同じ番組を、どう上手く使い分けていくか、お互いのためになるやり方をもう少し考えたいと思います。
そもそも、他系列のBSに視聴者を取られるくらいなら、テレビ東京のBSを見てもらったほうがいい。あまりグズグズしていると、自分たちのグループの資産を目減りさせることになりかねないので、そこは思い切って突っ込んで考えようということです。今、我々が毎日生み出しているものを上手く使うことで、新しいことができるかもしれない。そういうことを、もう少し考えたいと思っています。「今、BSを強くすることが必要。そのためには、我々の持っているコンテンツ制作能力を使って、もっと強化しよう。何ができるか考えてくれ」という話を社内にしています。
<地上デジタル放送について>
5月25日に総務省が発表した、地デジ対応受信機の世帯普及率は、初めて目標値を超え83.8%になったということ。受信側も順調に対応が進んできたなと思いますが、関東地区ではまだいろいろな問題があって、ビル陰の受信障害対策や、集合住宅での対応が遅れているそうです。受信機の普及率の地域格差もまだ残っています。我々は放送事業者として、視聴者にきちっとお知らせするという努力を続けていかなければなりません。
この7月は、民放連の地デジ推進担当月になります。完全デジタル化まで、ちょうど残り1年という節目の月に担当させていただくことになり、今、「デジタル7ch推進プロジェクト」という社内横断組織が、どんな取り組みをするか検討をしています。
7月5日(月)からは、アナログ放送を常時レターボックス化して地デジ告知を行いますが、受信機の普及率が80%台に乗ったここからが正念場だと思います。アナログ停波については、かなりの方がご存知だと思うのですが、早めに対応してくださいと告知をし、どう行動を起こしていただくか。これは、放送事業者である我々自身の問題でもありますので、精力的にやっていきたいと思います。
デジタル7チャンネルのPRにも力を入れなければなりません。今年はデジタル7の宣伝大使に『ピラメキーノ』の「ピラメキパンダ」を起用します。7をつけた「7チャンパンダ」として、様々な露出をする予定です。
また、7月7日(水)の「地デジ7チャン てれとの日」に「キッザニア東京」でイベントを開催します。一般の方もお招きして、人気キャラクターを集合させるなど、楽しみながらのキャンペーンを計画しています。
<事業関連>
(辻取締役)
4月24日(土)から公開した『劇場版 銀魂 新訳紅桜篇』が、公開から1ヵ月で興行収入10億円突破確実となりました。今、ムーブオーバーに入っていますが、当初の興収目標の倍くらいになりそうです。
『アウトレイジ』は、カンヌ国際映画祭でのコンペティション部門に選出され正式出品した作品です。残念ながら受賞はなりませんでしたが、北野武監督による久々の激しいバイオレンス映画ということで、賛否両論あったようです。
日本では、6月12日(土)封切で全国ロードショー。丸の内ルーブルほか200館規模での公開になります。
テレビ東京として、北野監督の作品は「HANA-BI」(1997年)、「Dolls」(2002年)以来3作目の出資となります。公開前のパブリシティにも力を入れておりまして、『ワールド・ビジネスサテライト』に北野監督が出演予定、6月4日(金)の『たけしのニッポンのミカタ!』、6月5日(土)『田勢康弘の週刊ニュース新書』など、着々と宣伝を展開しております。
<「RUN!!BEAR RUN!!」の新展開について>
テレビ東京、テレビ東京ミュージック、ディー・エル・イーの3社で展開するプロジェクト「RUN!!BEAR RUN!!」の新しい展開が決まりました。
有難いことに、ベッキー♪#さんからコラボレーションの申し出があり、ベッキー♪#さん自ら作詞作曲した「RUN!!BEAR RUN!!」という楽曲を新素材に乗せて放送することになりました。白いクマがもっともっと活躍してくれると、テレビ東京も収入増が図れるというわけです。大きな話題となって、一段と飛躍することを期待したいです。
また、「RUN!!BEAR RUN!!」からオリジナルグッズも誕生しました。現在、東京駅の「テレ東本舗」で先行発売中ですが、このような展開もいろいろと考えていきたいと思います。
<その他>
Q.放送法改正案が可決したが
A.一番気にしていた電監審の権限強化が削除されたということは、一安心です。最大の懸案事項がなくなったことは良かったと思います。なんとか今国会中にうまくいってくれれば、と思います。
Q.放送法が改正されたら、放送局が放送用の電波を通信に使えるようになるが
A.通信を使って、番組の展開力をどう高めていくか、視聴者に番組を楽しむための機能をどう用意していくか、そういうことが中心になるのではと思います。これから、テレビ受像機の機能が相当変わっていくことを前提として、番組をもっと競争力にあるものにするために、我々としてはいろいろなものを組み合わせながら、視聴者を番組に誘い込み、取り込んでいくということをもっともっと考えなくてはならない。そのために、通信をどう使っていくかということだろうと思います。これもホールディングスのもうひとつの狙いです。テレビ東京ブロードバンドという会社を、もっと戦略的に活用することによって、その辺の展開を可能にしたいところです。
Q.BPOの活動について
A.どう定着させていくかが必要。我々、放送事業者が、信頼される番組を作る自浄作用を働かせていくということです。制作現場では、いろいろな意見があるでしょうが、全体的には、BPOが機能しているということが、視聴者に理解されていくことが大事ではという気がします。相当進んできたと思いますが、もう一歩、強化をしていくことが必要かもしれません。
先日も『マジすか学園』の表現をめぐり審議されました。私たちの言い分もきちっと申し上げましたが、BPOからも見解をいただき、もう少し注意を払うべきところもあったかなと思います。特にAKB48という若い方に人気のグループを使ったという点では、もう少し配慮すべきだったかなという反省はあります。
(広報・IR部まとめ)
≪会見者≫
代表取締役社長 島田 昌幸
常務取締役 編成局、制作局、ドラマ制作室、報道局、スポーツ局担当
兼 BS業務推進本部長補佐 藤延 直道
取締役 コンテンツ事業局、デジタル事業推進局、アニメ局、コンテンツ管理センター担当 辻 幹男
上席執行役員 経営戦略局長 兼 関連企業統括室長 三宅 誠一
編成局長 多田 暁