営業日誌#5
礼治も大学生になって、ずいぶん変わったな。どっかでバイトしてるぐらいならウチの手伝いでもやればいいのに、やれバンドだサークルだって、あいつギターなんか弾けたっけ? ちょっとオレが留守にするとすぐ大音量で変な音楽聴いてやがる。この前まで『ドラクエ』の音楽とかゲームの音楽ばっかり聴いてたくせに、最近は愛だの恋だのって歌ばっかりだ。さてはあいつ、とうとう、色気付きやがったな……。ちきしょう、おれが駅前貯金を我慢してまで学費作ってやってるってのに、テメエはギャルとチュッチュしてんのか? 青春だねェ。思い出すなァ、おれも母さんと、こう……「雅史……」……ってな……。
おっといけねえ、ゲームも様変わりしちまってな。あれから、ゲームセンターは結構賑わって、我がゲーセンワタナベもなんとか持ちこたえているんだなァ。駄菓子屋も最近コンビニってやつに子供を取られてしまった関係で面積をずいぶん減らしてしまって、ほとんどゲームセンターになっちまった。リース業者が「ワタナベさん、ちょっと古い台なんですけど、基板をもっと扱ってもらえるならタダでいいです」っていうからさ、ゲームの台数もドカーンと増やしちゃったわけ。そしたらさ、いっぱいくるワケよ、お客さんが。ゲームセンターとはゲームのラインアップひとつで、ずいぶん変わるもんだな……。もっとも、お客がいないときはまったくいないんだけどな! みんなもっとゲームセンターに来ればいいのになあ。ファミコンよりすごいゲームばっかりだよ。
で……最近のゲームセンターワタナベご自慢の一品は、このおしゃれな筐体だな! 貰い物なんで結構年代モノではあるが、テーブルタイプのとは違って、画面が斜めになってるから、見やすいんだよ! 基板の入れ替えがちょっと面倒になったんだけど、まあ、業者がやるから別にその辺は構わないな。しかし、最近のゲームはよく喋るようになったよ。『ファイナルファイト』っていうの? ホアーって。『グラディウスIII』も英語でなんか喋ってるし、もうおじさんより達者ですよ。
え? 『テトリス』はどうしたんだって? あったよ、『テトリス』。ちょっと前までな。こないだ、業者が「ワタナベさん、『テトリス』より新しいヤツが出たんで、それで行きましょう! 同じパズルでもっと面白いです!」っていって、この『コラムス』ってヤツにしちゃったんだけどさ……。『テトリス』のほうがよかったよな……。業者とキッドしか夢中じゃねえんだよな……。
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『トリオ・ザ・パンチ』 1990年4月稼働開始
作中のゲームが映るシーンでひときわ異彩を放っている謎のアクションゲームがこれ。タフガイ、忍者、剣士の3人からひとりを選び、全35面をクリアするアクションゲーム。表示されるメッセージからゲーム中の演出に至るまで、とにかく説明不足で意味不明なくだりが多く、'90年前後に流行した『伝染るんです。』や『コージ苑』のような不条理漫画のゲーム版、というとわかりやすいだろうか。古くてわからないか。とにかくその不条理さにより一部のプレイヤーにはカルト的人気を誇るが、当然のごとくインカム(売上)はサッパリなゲームなので、なぜこの時代のワタナベに入荷していたかと言われると、業者が押し付けたとしか思えない。
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『マジックソード』 カプコン 1990年8月稼働開始第5話で一瞬映る、ひときわ美しい横スクロールアクションがこれ。道中で囚われた8種類の仲間を助け出し(彼らはその後攻撃を支援してくれる)、全50階の塔を登り、魔王を倒すという内容。この半年後『ストリートファイターII』がリリースされるが、『ストII』前夜のカプコン作品はアクション、シューティング、クイズなどバラエティ豊かで佳作が多い。同作品は過去スーパーファミコン用に移植版が発売され、最近では海外のXbox 360でダウンロード版が発売された経緯があるものの、日本のご家庭で簡単に遊ぶ方法は用意されていない。ゲームセンターで見かけたら遊んでみて欲しい。
カプコンパーティ(外部サイト)
対応機種:docomo -
『コラムス』 セガ 1990年3月稼働開始「ブロック崩し」、『スペースインベーダー』の昔から、ヒットしたゲームは徹底的に研究されて二匹目のドジョウを狙うのがゲーム業界。『テトリス』の全世界的ヒットを受けて登場したのがこの『コラムス』。詳しい解説は劇中のキッドに譲るが、『テトリス』が構築した「画面下方に重力があるパズルゲーム」の文法を進化させ、「3個並んだ魔宝石が連鎖して消える」というルールが出てきたのはおそらくこれが最初。いま爆発的人気の『パズル&ドラゴンズ』だって、『コラムス』のルールに縛られているわけだ。
バーチャルコンソール(外部サイト)
対応機種:Wii iTunes(外部サイト)
対応機種:iOS




















