ゲームセンターワタナベ 営業日誌

営業日誌#8

1995年

クソオヤジが倒れて、俺がゲーセンワタナベを継いで1年以上が経った。オヤジはお袋の店の手伝いが気に入ってるようで、こっちにはあんまり顔を出さない。オヤジの残した借金……そもそも名義はオヤジのままだが、これはなぜか俺が少しずつ払うようになってしまった。

悪いことばかりではなかった。オヤジが店をやってたときは、頑固に格闘ゲームを入れてこなかったが、やっぱり今の時代は格闘ゲームなしでゲーセンを運営するのはムリだと思う。ていうか客のニーズを無視して自分の趣味でゲーム入れてちゃダメだろ。……というわけで、買っちゃいましたー! 『鉄拳』に『スーパーストリートファイターIIX』、そして『バーチャファイター2』! 驚いたのは最近のゲームって、定期的に業者と付き合いがないと売ってもらえないんだな。ゲーム売ってくれって言ってもなんだかんだ言われて納期を出してこないのには参った。結局、オヤジの知り合いのゲーセン仲間の人に、頼み込んで中古を譲ってもらったんだけど。結構高くついたが、これは俺の借金として購入できた。

オヤジが大切にしていたゲームは余っているテーブル筐体に移して、オールドゲームコーナーにした。新しく入った筐体には格闘ゲームを入れた。『鉄拳』は中古じゃなくて新品で買うことができたが、『バーチャファイター2』よりもずいぶん安く購入できた。ワタナベの体力では『バーチャファイター2』をもう1セット増やすのはムリだから、『鉄拳』を盛り上げていきたいんだけど、今のところ『バーチャファイター2』の人気は凄まじい。たぶんこの店始まって以来の回転率の良さだろう。

常連も様変わりしてしまった。『バーチャ』目当てでいろんなヤツが来る。仕事帰りのサラリーマンや、昼から来る何をしているか分からないヤツ。その代わり『ゼビウス』を毎日1回遊びに来ていた中年のサラリーマンはあまり来なくなった。格闘ゲームの連中がうるさいからだろうか? 店としては売上が優先だから、申し訳ないけど『ゼビウス』は端っこに置くしかない。以前は客同士が喧嘩することなんかほとんどなかったが、最近は喧嘩もよく見かける。池袋や新宿ではもっと格闘ゲームが流行っているっていうけど、こんな田舎でも、お客が流れてきてくれるだけありがたい。

GAME

  • 【画像】バーチャファイター2
    『バーチャファイター2』 セガ 1994年12月稼働開始

    1993年末、これまでの2D対戦格闘ゲームの常識を打ち破る、3Dによる迫力あふれる格闘ゲーム『バーチャファイター』が登場。単なるパンチ、キックひとつひとつが重く、その圧倒的なリアリティにより一部に猛烈なファンを獲得。「バーチャジャンキー」なる現象を引き起こす。それは『2』の登場でさらに飛び火し、大きな渦となって格闘ゲーム界の歴史を変えていった(もちろん、従来の2D対戦格闘も負けず劣らず盛り上がっていた)。
     1991年、『ストリートファイターII』で火がついた格闘ゲームブーム。我らがゲームセンターワタナベはオーナーの意向や、資金難、これまでの常連さんを大事にしたいなどを理由に頑なに格闘ゲームを遠ざけていたが、二代目の礼治で方針転換。だいぶ乗り遅れている感はあるが、入手困難だった『バーチャファイター2』1セットをなんとか入手し、そこそこのインカム(売上)をあげていた。簡単に計算すると、1プレイ100円(本来は200円だった)で席の交代を含めて1試合3分だとすると、1時間で20試合。一般的なゲームセンターの営業時間を朝10時から夜0時までの14時間でフル稼働したとすると280試合=1セットで28,000円。実際はフル稼働はありえないし、3分もたない試合もたくさんあるが、1セットあたり25,000円は稼いでいた計算になる。営業日数を30日とすると月の売上が1セットで75万円。一方、『バーチャファイター2』対戦台を揃えるとざっくり約150万円。なんと2ヶ月でモトが取れ、以後は店舗の利益となる……! もっとも郊外にあるワタナベがここまで稼ぐとは思えないが、これまでの稼ぎから考えるとその1/4でもありがたいことだったろう。
     現在のゲームセンターは1プレイごとにメーカーに課金されるゲームが増えているのでここまで儲かることはないが、もう一度、ゲームセンターにブームが訪れ、全国の店舗が賑わっているシーンが見たいものである。ゲーセン行こうぜ!

    バーチャルコンソール メガドライブ版(外部サイト)
    対応機種:Wii
    『MODEL 2 COLLECTION Virtua Fighter2』(外部サイト)
    対応機種:PlayStation 3、Xbox 360(ダウンロード販売)
  • 【画像】鉄拳
    『鉄拳』 ナムコ(現バンダイナムコゲームス) 1994年12月稼働開始

    2014年で20周年を迎えるバンダイナムコゲームスの看板対戦格闘ゲーム。最大の特徴は四角形に配置された4つのボタンで、これが左手、右手、左足、右足の攻撃に対応していること。シリーズ1作目の業務用「鉄拳」は、プレイステーション用のチップを最適化したシステム基板で開発された。同時に家庭用への短期間での移植が実現でき、家庭用とともに進化してきたシリーズでもある。2013年冬現在の最新作はPlayStation 3用の『鉄拳 レボリューション』。なんとF2P(Free to Play、基本料金無料)。PS3をお持ちの方はとりあえずダウンロードしてみてはいかがだろうか?

    鉄拳レボリューション(外部サイト)
    対応機種:PlayStation 3
    TEKKEN OFFICIAL(外部サイト)
    鉄拳ポータルサイト
  • 【画像】スーパーストリートファイターIIX
    『スーパーストリートファイターIIX』 カプコン 1994年4月稼働開始

    元祖対戦格闘ゲーム・ブームの火付け役といえばこのシリーズ。1レバー+6ボタンという一見すると特殊で複雑な操作だが、基本はパンチとキックにそれぞれ弱中強があるだけ。これが意外に直感的で、多くの人に受け入れられた。作中に登場する『IIX』は初代→『ダッシュ』→『ターボ』→『SUPER』と来て5作目。一発逆転を狙えるスーパーコンボの搭載、ゲームスピードの選択、バランスの見直しなどで現在稼働中の『スーパーストリートファイターIV アーケードエディション』とともに、発売後20年が経過した今でも、全国のゲームセンターで愛されているシリーズである。こちらは昨年、初代から数えてシリーズ25周年を迎え、2014年4月稼働予定の次回作『ウルトラストリートファイターIV』が期待されている。

    スーパーストリートファイターⅡXリバイバル(外部サイト)
PHOTO GALLERY ゲームセンターワタナベなどここでしか見られない画像がいっぱい。
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