定例社長会見2009年11月

島田社長11月定例会見

<2009年度 第2四半期決算を受けて>
先日、第2四半期の決算を発表しました。減収増益です。予算をクリアしたという点では手ごたえがありましたが、前年と比較すると大幅なダウンです。身を縮めることでなんとか利益を確保したわけで、自慢にはならない決算だと思っています。社員に泣いてもらって、取引先の皆さんにもご苦労をかけて、やっと利益を確保したということです。
予算達成という点で営業は次へのステップになったと思いますが、制作費はこれ以上削れません。ここはなんとか踏ん張ってほしいと発破をかけているところです。来年半ばくらいまで、景気の巡航速度はそう簡単に回復しないだろうと思っていますので、それに合わせた経営をしていかなければなりません。厳しい状態がまだまだ続くということを前提に、いかに競争力のあるコンテンツを作るか、考えていかなければならないと思います。放送界がジャブジャブ制作費をつぎこんで番組を作っていればいいという時代は、もう終わったと思います。ギリギリの制作費を汗と知恵で補い、どのような番組を作っていくかということが、今、問われています。それが、デジタル元年に向けての我々の試練だと思っています。
ここに来て、少しスポットに回復の兆しがあると言われていますが、残念ながら当社はその恩恵を受けているというわけではありません。テレビ東京がそれほど得意としていない業種で、少し動きが出ているということだと思います。しかし、全体がそういう状況にあるとすれば、むしろ積極的に攻めの姿勢をとることも頭に入れながら、戦略転換していくことも必要になっていくかもしれません。

<営業関連>
そのような点で、10月のテレビ東京の売上動向は、厳しいと言わざるをえません。
10月の営業実績は、タイムが前年同期比-10.2%、スポットが-9.9%、タイム・スポットの合計が-10.1%で、スポットは地区平均よりも大きな下げ幅です。
タイムもスポットも去年の下期は相当厳しい状況でした。ここからさらに、2ケタ近いマイナスですから、相当気を引き締めていかねばなりません。下期の出だしから厳しい数字であり、楽観を許さない状況がいまだ続いているという認識です。

そのような厳しい状況下で、営業はいろいろと工夫したセールスを行っています。
2007年に電通と立ち上げた「Friend-Ship Project」の第6弾を、4社協賛のコマーシャルとして放送できることになりました。これまでの協賛社は3社でしたが、今回はナビタイム、レゴジャパン、日本ケロッグ、カッパクリエイトの4社に協賛をいただきました。今回は家庭を舞台にしたストーリーとなり、11月28日から放送を開始します。
もうひとつは、「RUN!! BEAR RUN!!」プロジェクトです。これは、テレビ東京のアニメ局とスポット営業部、テレビ東京ミュージック、ディー・エル・イーの3社共同で行っているキャラクターコンテンツ事業として、すでに走り始めているもの。スポット枠を利用して、キャラクターの認知度を高め、それに協賛してくれるスポンサーを募ろうという戦略で始めました。第1弾として、スズキのご賛同をいただき、9月から「スズキ パレットSW」とのコラボCMを放送。さらにこのたび、続く第2弾のパートナーも決まり、12月には「東京新聞」とのコラボCMを放送することになりました。「RUN!! BEAR RUN!!」については、テレビ東京グループのインターFMで、クリスマスソングのリクエストカードにも利用されています。こうやっていろいろと知恵を絞り、新しい企画を開発しているところです。

<編成関連>
視聴率は、苦しい状態が依然として続いていますが、このような中で、どう番組を開発していくかということが、今、問われているんだと思います。
10月クールの視聴率(10月クール8週まで)は、ゴールデンタイムが7.1%(前年比-0.6ポイント)、プライムタイムが6.6%(同-0.6ポイント)、全日3.1%(同-0.3ポイント)でした。制作費の削減で再放送をしたり、ある程度の視聴率は取れていても営業的に成立しない番組を終了させたり、いろいろな要因で、このような結果になっているということです。そのような中で、当初の目標通り、視聴率が確保できていない、市民権を得ていない番組もいくつかあります。これはやはり、おおいに反省をして、次にいかさなければいけない。そう思っています。

10月クールの新番組では、木曜の『空から日本を見てみよう』が、デジタルならではの映像をお届けしており、先週19日の放送では、番組開始以来初めて2ケタの視聴率(10.6%)を獲得しました。これは順調に伸びてくれるのではないか、と思っています。かねて、私たち放送局にはデジタル時代の映像をもっと鮮明に訴える番組が必要だ、と申し上げてきました。こういう番組を見るためには デジタル対応してください、という映像です。当社として、そういう番組がひとつできたかなと思っており、順調に行ってほしいところです。
一方、月曜の『ザ・逆流リサーチャーズ』は、苦労していたところ、今週23日に放送した2時間スペシャルで、2ケタの視聴率(10.8%)を獲得しました。これで新しいスタート台に立てるのか、そう簡単ではないのかもしれませんが、ひとつのハードルを越えられたとすれば、ありがたいことです。番組はいろいろな試行錯誤をしながら、育てあげていかなければなりません。そういう日々の研鑽が必要だと改めて思っているところです。

年末年始は、編成局の"標語"によると、「攻守一体のラインナップ」=守りを固めて攻めをするということ。レギュラー番組の拡大、恒例の特番などで"守り"、深夜の人気番組のスペシャルや、将来を見据えたトライアル企画などで"攻め"ていきます。
大みそかについては、会場を五反田ゆうぽうとに移す『年忘れにっぽんの歌』、その後の"紅白の裏"は、『ルビコンの決断SP』を放送します。『ルビコンの決断』は、今年4月にスタートした、これから育てたい番組のひとつ。その番組を紅白の裏で、というのも、我々としてひとつの"決断"です。民主党政権の誕生から ちょうど100日ほど経ち、ハネムーン期間が終わりました。今、行われていることが明日の日本にどうつながっていくのか、おおいに議論する番組にしたいと、私は申し上げています。
1月2日は、恒例の新春ワイド時代劇『柳生武芸帳』です。デジタル7チャンネルということもあり、今回は7時間で放送します。

<『柔道グランドスラム東京2009』について>
『柔道グランドスラム東京2009』の開催が近づいてきました(開催:12月11日~13日)。
テレビ東京としては、"日本柔道の応援歌"にしたいと思っているのですが、どうも世界の強豪選手が集まるようで、そう簡単にいきそうにはありません。女子は期待できるのですが、男子にとっては相当試練の大会になると思います。しかし、ロンドン五輪に向けた、いい試練になるでしょうから、この大会から強い日本選手が誕生してほしいと願っています。

テレビ東京としても、いろいろな形で大会を盛り上げます。12月6日(日)放送の『日曜ビッグバラエティ B級グルメ発掘スペシャル』(仮)には、穴井隆将選手、平岡拓晃選手などが出演し、出身県のご当地グルメを紹介します。
12月8日(火)には、スポーツドキュメント『復活』。鈴木桂治選手など、復活にかけるアスリートのドキュメンタリーをお届けします。11月30日(月)~12月10日(木)には『柔道 名勝負列伝』を放送。柔道史に残る名勝負の数々を、11夜連続で一挙放送します。
Webは動画中心に展開。大会のみどころ、「柔道IPPON組」のCMメイキング映像などを公開し、また、データ放送では試合状況をリアルタイムに表示するモードを追加するなど、総合的に柔道を楽しんでいただけるような工夫をしています。

<事業関連>
(辻取締役)
年明けに公開する出資映画『今度は愛妻家』のご案内です。
豊川悦司さん、薬師丸ひろ子さんの主演で、1月16日(土)より、東映の配給で全国230館で公開します。2010年のスタートを飾るにふさわしい、大人の鑑賞に堪えうるラブストーリーです。監督は「世界の中心で愛を叫ぶ」や、かつてテレビ東京の「GO」を手掛けた行定勲監督。主題歌は井上陽水さんが担当し、厚みのある映画になりそうです。来年1月には、薬師丸さんが20年ぶりとなるライブコンサートを開いたり、『ミューズの晩餐』にゲスト出演するなど、いろいろなプロモーションを展開します。

データ放送では、「デジデコXmasツリー」キャンペーンを12月1日から始めます。
データ放送の画面からクリスマスツリーの専用ページに入り、アイテムを飾り付けてそれぞれオリジナルツリーを作ってもらおうという趣向です。アイテムを集めると、プレゼントにも応募できます。アイテムも、基本アイテムのほかに、番組と連動したスペシャルアイテムも用意しており、地デジならではの楽しみを知ってもらえるキャンペーン展開になると思います。

テレビ東京とアニプレックスによる「アニメノチカラ」プロジェクトは、第1弾作品の放送時間が決まりました。第1弾の『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』は、月曜25:30~26:00放送で13回シリーズ。1月4日からスタートします(初回、第2回は26:00から)。オリジナルストーリーのアニメとなり、未来の要塞都市で、5人の少女たちの成長を描くストーリーです。なお、第2弾作品は『閃光のナイトレイド』、第3弾作品は『財団法人 オカルトデザイナー学院』です。

Q.オリジナルストーリーによるアニメ放送の狙いは
A.(辻取締役)
現時点ではひとまず3タイトルですが、長く続けていくことが大事だと思います。このやり方がうまくいけば、アニメ界全体が活気づくのではないでしょうか。アニメ界全体を応援したいという狙いもありますので、アニメビジネス全体に、新しい形の提案ができるのではと意気込んでいます。

<地上デジタル化について>
11月6日に発表した総務省の調査によると、地デジ受信機の普及率は69.5%でした。目標だった72%からすると、エコポイント効果があったとはいえ、少し遅れ気味かなというのが率直な印象です。

放送事業者の地デジ準備は相当進み、予定通り終わりつつあります。これは、デジタル放送を見たいという方のために放送を送り届ける準備で、民放各社で1兆円を超える投資をして態勢を整えつつあります。
それと並行して大事なのは、アナログを停波し、デジタルに完全移行するという認知度を高めることです。私たちも相当スポットを流したりしながら、キャンペーンを行ってきました。そのアナログ停波の認知度についても、総務省の調査で高齢者でも90%を超えました。皆さんに理解をしていただいており、認知度の点でも相当進んできたということです。
あとは実際に、どのような受信対応をしていただくかというところですが、この点が相当残っています。デジタルテレビを買うか、チューナーをつけるか、CATVに入るか。デジタル放送を見る環境を、どうやって作っていただくかという点が、今残っているところです。
それはやはり国の施策だろうと、私は思っています。どのような根拠で予算削減が適当と見たのか、詳しくは存じませんが、我々としては極めて遺憾だと思っています。万全の体勢を整えて、デジタル放送受信機会の格差(デジタルデバイド)を防がなければならない。いろいろな事情があってデジタル対応できない人たちに対して、どのような対策をとるのか。これはやはり国に考えていただくことだろうと私は思っています。放送事業者としてやるべきことはやります。キャンペーンも、もっともっとやります。それと国のやっていただくことと、それを互いにきちっと分担してやるべきだろうと思っています。実際に何をどの程度削るのか分かりませんが、本当にそういうことができるのでしょうか。
地デジ化は、おそらく来年中にやらないと間に合いません。正念場の1年です。そのような大事な年ですから、事業仕分けは事業仕分けとして、政策判断としてご一考いただきたいと思います。

少なくとも原口総務大臣は、就任されてから、2011年7月の完全移行の方針は変わらないと、再三おっしゃっています。したがって、我々としては政権交代があってもスケジュールに変更はないと理解をしています。それに基づいた政策が行われるでしょうし、既存の政策で必要なものは継続されるだろうと理解していますので、ぜひその方針に沿ってやっていただきたいと思います。

<BPOの「最近のテレビ・バラエティー番組に関する意見」について>
私は民放連の放送倫理小委員長を務めていますので、民放連の広瀬会長と一緒にBPOの話をうかがい、直接意見書をいただきました。非常に工夫して書かれており、民放のバラエティー番組について相当理解をした上で、敢えてあのような提言をしたと受け止めています。バラエティー番組の持つ表現形態が、新しい放送文化を作ってきたという歴史を踏まえた上で、今、この時点で問題提起をされたのだと思います。
テレビ東京としては、即日その意見書を、外部スタッフも含めた関係者全員に読むよう指示をしました。その上で、テレビ東京の中で一度議論をしてみたい。必要ならBPOの委員の方に来ていただこうと思っています。小委員長の立場としては、各社がそのような議論を積み重ねた上で、民放連として考えたいと思っています。意見書の中にシンポジウムの提案もありましたので、それは来年3月まで、私の任期中に、実現をしたいと思っているところです。

私個人の意見としては、指針作りについては少し慎重です。番組全体の放送基準はあるわけで、バラエティーはその中のひとつですから、それだけ抜き出して指針を作る必要があるのか、慎重に考えたい。私個人としては、そう思っています。
BPOの意見書を受け止め、おおいに議論をする、現場から反論もする、それが一番大事なことだと思っています。指針を作れば事足りるというわけではないでしょうし、むしろなぜ、今この時期にBPOがこのような提言をしてきたのか、バラエティー番組の何が今問われているのかを議論すべきです。
視聴者に一番見られているのはバラエティーです。しかし、そこに視聴者の潜在的な不満が溜まっているというのも事実でしょう。不満が爆発する前に、我々自身がどう考えていくか、これは個々の放送局の問題で、我々がどのような番組を作るかということだと思います。意見書にも、覚悟を持って作りなさい、ということが書いてあります。その覚悟とは一体何か。そういうことを掘り下げて議論することが、今回の意見書に対する一番の向き合い方だと思っていますので、まずそれをやる。指針についてはその後、考えます。

Q.BPOの頑張りによって、番組作りに制限がでるのでは
A.僕はBPOが頑張ってくれることは、いいことだと思っています。総務省の行政指導で一番多いのはバラエティー番組とのことですから、このままだと、公権力の介入を呼ぶことになって、非常に不愉快なことが起こりかねません。その前に、我々自身で解決すべき、というのが基本にあると思っています。BPOは、僕らにとって もっともっとうるさい存在でいい。それが僕らの自浄作用になるなら それでいいと思います。BPOのいろいろな意見は、現場の若い人には、うるさいことかもしれませんが、それはそれでいいのではないかと思っています。いろいろ言っていただき、その代わり反論があれば聞いていただきたい。「バンキシャ!」問題の後、当社にもBPOの委員の方をお呼びして、議論をしました。そういう場を通じて、現場の苦しみや反発を率直に言わせていただく。その代わり、BPOの皆さんの率直な意見もいただく。そういう相互機能が、この放送界が成熟していくために必要ではないかと思っていますので、BPOには頑張っていただきたいと思っています。

Q.小委員長として、どのようなシンポジウムを
A.どんな問題やどんな声が、各社の制作者や外部スタッフから出てくるのか、それを踏まえていかないと分かりません。それをうかがった上で、どのような形のシンポジウムがいいのか考えたいと思います。
意見書をもらったのは私ですので、任期中にやりたいと思っています。バラエティー番組を考えるシンポジウムを、どういう構成でやるのか。現場の意見、識者の意見、当のBPOの意見、そういうものをぶつかり合う場にするのがいいのか。指針作りが必要かどうかということ自体も、議論になるのかならないのか。もう少しやってみないとわかりません。全国の民放局がこの問題をどう捉えているかをまず知りたい。その上での判断ですが、これだけの意見書を受け取った我々としては、まっすぐ向き合う必要があると思っています。
まずは、テレビ東京でどんな反応が出るのか。これから、いろいろ聞いていきたいと思っています。

Q.島田社長のバラエティー感とは
A.BPOの委員の話で一番気になったのは、視聴者が変化しているのではないかということでした。そのことを我々がどう受け止めるかということ。バラエティーというのは、やはり既成の概念や、既成の規律や、権力を笑い飛ばして、そして新しいものを作っていくという創造行為だと思っているんです。だから、相当の毒を含んでいることがある。それは当然のことです。したがって、嫌いな人から見れば、こんなおぞましいものはないと思うかもしれません。
バラエティー番組は、いつもそのような中で、支持を得てきました。いまだに一番多く見られている番組は、バラエティーです。しかも放送局は、それぞれの時間帯にどんな番組を流すか、いろいろ研究しながら放送しています。深夜の番組には、時にいきすぎもあります。僕も時々怒ります。しかしそれは、面白さに対する基準の違いもあるでしょうし、世代間の違いでもあります。いろいろな世代の人が、いろいろな見方をしているのがテレビです。そのようなことを前提に、どこまで許されるのか、どう自覚して、どこまで覚悟をもって問題提起をしているかということが問われているんだと思います。その覚悟を持たずに、番組を作っていないかということです。
当社にも視聴者からいろいろな意見をいただいています。それらを全部受け止めながら、覚悟を持って作るのがバラエティーだと思います。深夜向けに作っている番組を子供目線で言われても困る、ということはあるでしょう。しかし、その番組を子供が見ているかもしれない、と言われると、つらいところがあるわけです。それなら平場で議論してみましょうということ。昔と生活様式も生活時間も変わってきているわけですから、そのようなことも前提にしながら、一度、平場で議論してみましょう。僕はそう思っています。

<今年を振り返って>
今年は、『ピラメキーノ』の放送100回記念で番組に出演することになり、体を張って「ピラメキたいそう」を踊りました。私の出演した週だけ視聴率が伸び悩み、体を張った効果はなかったようですが、『ピラメキーノ』という番組自体は順調に伸び、新しい形の番組が今、生まれつつあるようです。「ピラメキたいそう」のダウンロードも相当な数に上っており、また、いろいろなイベントを企画するなど、相当な支持を受けているようです。番組を中心とした事業を、どう展開していくかという手がかりが、ひとつ与えられたかなと思います。
今年は大きな不祥事もなく、その点では良かったと思っていますが、基本的には今、相当な正念場を迎えています。とにかくこの難局を乗り切るために体調を整え、来年は全力を挙げるという年にしたいと思っています。
視聴率は苦戦がずっと続いていますが、むしろこれを逆手にとって、新しい番組、新しい番組表を作るためのチャレンジの土台にしたいところです。

(広報・IR部まとめ)


会見者: 代表取締役社長 島田 昌幸
常務取締役 編成局、制作局、ドラマ制作室、報道局、スポーツ局担当
兼 BS業務推進本部長補佐 藤延 直道
取締役 コンテンツ事業局、デジタル事業推進局、アニメ局、コンテンツ管理センター担当 辻 幹男
上席執行役員 経営戦略局長 兼 関連企業統括室長 三宅 誠一
編成局長 多田 暁