「オーダーメード」といえば、洋服や靴などが思い浮かぶ。同じような体形の人でも、人間の身体は一人ひとり違う。自分にピッタリ合ったものをつくってもらえば、既製品より着心地や履き心地が良いのはいうまでもない。そんな「オーダーメード」という言葉が、先端医療の世界で使われ始めている。それが、人間の体質に合わせて病気を治そうという「オーダーメード医療(“テーラーメード医療”とも言う)」だ。病気になった時に飲む薬。しかし実は、薬の効果は人によって大きく違う。同じ薬を同じ量飲んでも、効く人もいれば効かない人もいる。ところが、これまでは効く人にも効かない人にも同じように薬を投与することがほとんどだった。そうすると、自分には効かない薬を飲んで副作用に苦しむだけで快方に向かわず、最後には命を落としてしまう患者もいる。最近では、抗がん剤のイレッサが大きな問題となった。新しいオーダーメード医療は、遺伝情報などに基づいて患者一人ひとりに合った治療法を選択する。実現すれば、副作用を減らしつつ、もっとも効果の高い治療をすることができる。さらに、無駄な医療費を減らすこともできると期待されている。オーダーメード医療はどこまで進んでいるのか。最先端の医療に挑む人々に密着し、未来の医療の可能性に迫る。
|