勝村コラム
2019年4月 7日(日) 脳の野郎
演劇でやっかいなのは、塩梅である。芝居はすべてウソである。役者は、自分の人生を生きて行くことができない。自分を消し、他者になりすます。
自分を殺して、他人になりすませばなりすますほど、 評価してもらえる。フィクションを成立させるには、ノンフィクションが必要であり、 ノンフィクションを成立させるには、フィクションが必要である。芝居はウソなので、マコトを入れなければ成立しない。つまり、リアリティーが必要なのだ。
その塩梅を間違えると、芝居はただのつまらないウソであり、 リアリティーが強くなり過ぎると、退屈なウソになる。
ドキュメンタリーは、真実である。だが、演出という魔法をかける。同じ題材でも、演出家によって、感動作にも駄作にもなる。マコトを成立させるには、魔法という素敵なウソが必要なのだ。
んで、やっかいなのは古典によく出てくる、真実の物語に、 神様とか、龍の化身とか、妖精とか、めちゃくちゃな設定とか、 如何ともしがたい登場人物?が出てくる。
ウソにもほどがあり、マコトを消し去ってしまうのだ。
だが逆に、ウソにもほどがあればあるほど、 そんなウソ誰も見たことも聞いたこともないんだから、 大きなウソが、面白いウソがつける。そんな時、私の師匠の蜷川幸雄さんは、 そんなもんは観念で飛ばすんだよ!と叫んでいた。
よく叫ぶ師匠だったが、叫びの奥にウソとマコトが入り乱れ、 恐ろしいくらいの説得力があるのだな。これが。まったく説得力がない時もあったが。笑っ
そんな時に普通の演出家は悩む。苦しむ。気を失う。俳優も、整合性を求め、悶え、苦しみ、気を失う。まぁ、気を失うのはもちろんウソだが、それが面白ければ、 いい塩梅。面白くなければ、塩梅が悪い。蜷川幸雄師匠は、ガチとテキトーが入り混じってた。塩梅を強引にねじ伏せていた。
人体解剖の恐ろしいシーンを信じられないくらい繊細に美しく作っ たり、 男女が車の歴史を長々と無駄に話し続ける回転寿司でのシーンを、 レールを客席の中通路まで作り、 日本一長い回転寿司屋にして寿司回したり。
みたいな。
師匠はやることには、さすがの私も呆れた。いい意味でね。人間なんていい加減なもんである。意味わからん時とか、なんとなく、都合よく、 ごまかしてしまうでしょ?
バレなければいいな。みたいな。人が書いたものなんか、他人が理解できる訳ないんだし、 人のやることなんて、他人が理解できる訳ないんだし。
なんか、説得力とか、芝居のうまさとか、雰囲気とか、音楽とか、 照明とか、装置とか、小道具とか、いろんなものが、 混ざり合って、成立するのだ。
意味があり過ぎたり、うま過ぎたり、 作る側の意図が明確過ぎると、鼻につくでしょ。都合よくごまかすことが大事。だって、わからないことはわからないんだから、 観てる人が信用できればいいのだ。
フェイントだって、 以前出演してくださったブレインが言ってたでしょ? 本気で逆を取るつもりがないと、相手は引っかかってくれないと。
ね。ウソを成立させるのは、マコト。そして最終的な調味料は、偶然。
そんな訳で今回のブレインは、 NTTコミュニケーション科学基礎研究所の柏野牧夫さん。
柏野さんは、スポーツ脳科学プロジェクトを研究している。またやっかいなブレインが登場した。まさに、この番組が大好きなブレインである。
ってか、私の大好きな考え方の人である。今まで信じられてきたことを疑う。普通は嫌われる。偉大な先達の思考を否定するからだ。だが考えて欲しい。過去を否定する賢者は、過去を肯定している賢者なのだ。過去をリスペクトしているのだ。
現代は情報社会である。秒単位で、新しい情報が積み重なる。先日世界記録出した、スケートの日本代表が、 数分後に記録を破られたでしょ。安心も正解なんてものもないのだ。
活きのいい情報が、過去の情報を軽やかに凌駕していく。球技は昔から、「ボールをよく見て打つ」が鉄則だし、 今もそうだと思っていた。柏野さんはそこに噛み付いた。話を聞けば聞くほど、説得力がある。
実際にVRで検証した。潜在脳機能。脳科学のブレインは、過去にも来ていただき、 興味深いお話をたくさんしていただいた。だが、脳って奴は勝手だ。自分に忖度する。
ばかやろ!
いい加減に、都合よく、家主をだます。脳の家主の私たちは、それを信じるしかない。誰も真実を知らないからだ。脳の野郎が勝手に作った現実を受け入れるしかないのだ。世の中で、自分の周りで起きている、見ていることは、 真実ではないのだ。脳の野郎が、勝手に判断していることを、家主の私たちが、 勝手に信じている。
正しいことなど一つもない。正しいことは、正しくないということだ。検証は、野球で行われる。
数学で考えれば答えは簡単。ピッチャーから、ホームベースまでの距離、ボールのスピード、 スイングのスピード。正解はホームラン。
以上。
だが、人間が行なう作業。誤差がある。毎回ホームランなんて出ない。ここが、二度と同じことが出来ない面白さ、 スポーツの醍醐味である。柏野さんは、 どんどん野球が上手くなってきたとうれしそうに話していた。
落ちてきた体力を、知力で補い、分析、検証で補い、 実践しているからだ。だが、どんなに頑張っても、 今から大リーガーになることはできない。脳のウソを暴いた達人が、脳のウソにだまされ、限界を痛感する。
だが、脳の野郎はすぐに家主を騙し、その気をさせて、 明日への希望をもたらしてくれる。
柏野さんは、脳と戯れている。脳と家主は、いい塩梅でつきあっている。脳のウソに家主はマコトを見つけ、 脳のマコトに家主はウソを見いだす。
柏野さんは、とても楽しそうだった。脳に洗脳されている。いい意味で洗脳されている。塩梅がいいのだ。
ほとんどの人間も、脳に洗脳されている。だが、楽しそうではない。塩梅が悪いからだ。
脳という千両役者のウソに、観客の家主はマコト見つけ、 しあわせな関係を築く。観客の家主は、千両役者の脳のウソに騙され、 脳のマコトに感嘆し、笑い、涙を流し、怒り楽しむ。それでいい。
賢者は何も信じない。だが、すぐに騙される。脳のウソが大きければ大きいほど、塩梅がよければよいほど、 家主はしあわせになる。脳の野郎のことは、誰にも理解できない。
VRで検証してはみたものの、 毎回ホームランを打てる人がいないように。柏野さんの研究が進めば進むほど、 柏野さんが楽しそうになればなるほど、 スポーツは進化し難しくなる。何故ならば、脳の野郎は、さらなるウソを用意するからだ。柏野さんの笑顔が浮かぶ。
自分を殺して、他人になりすませばなりすますほど、
その塩梅を間違えると、芝居はただのつまらないウソであり、
ドキュメンタリーは、真実である。だが、演出という魔法をかける。同じ題材でも、演出家によって、感動作にも駄作にもなる。マコトを成立させるには、魔法という素敵なウソが必要なのだ。
んで、やっかいなのは古典によく出てくる、真実の物語に、
ウソにもほどがあり、マコトを消し去ってしまうのだ。
だが逆に、ウソにもほどがあればあるほど、
よく叫ぶ師匠だったが、叫びの奥にウソとマコトが入り乱れ、
そんな時に普通の演出家は悩む。苦しむ。気を失う。俳優も、整合性を求め、悶え、苦しみ、気を失う。まぁ、気を失うのはもちろんウソだが、それが面白ければ、
人体解剖の恐ろしいシーンを信じられないくらい繊細に美しく作っ
みたいな。
師匠はやることには、さすがの私も呆れた。いい意味でね。人間なんていい加減なもんである。意味わからん時とか、なんとなく、都合よく、
バレなければいいな。みたいな。人が書いたものなんか、他人が理解できる訳ないんだし、
なんか、説得力とか、芝居のうまさとか、雰囲気とか、音楽とか、
意味があり過ぎたり、うま過ぎたり、
フェイントだって、
ね。ウソを成立させるのは、マコト。そして最終的な調味料は、偶然。
そんな訳で今回のブレインは、
柏野さんは、スポーツ脳科学プロジェクトを研究している。またやっかいなブレインが登場した。まさに、この番組が大好きなブレインである。
ってか、私の大好きな考え方の人である。今まで信じられてきたことを疑う。普通は嫌われる。偉大な先達の思考を否定するからだ。だが考えて欲しい。過去を否定する賢者は、過去を肯定している賢者なのだ。過去をリスペクトしているのだ。
現代は情報社会である。秒単位で、新しい情報が積み重なる。先日世界記録出した、スケートの日本代表が、
活きのいい情報が、過去の情報を軽やかに凌駕していく。球技は昔から、「ボールをよく見て打つ」が鉄則だし、
実際にVRで検証した。潜在脳機能。脳科学のブレインは、過去にも来ていただき、
ばかやろ!
いい加減に、都合よく、家主をだます。脳の家主の私たちは、それを信じるしかない。誰も真実を知らないからだ。脳の野郎が勝手に作った現実を受け入れるしかないのだ。世の中で、自分の周りで起きている、見ていることは、
正しいことなど一つもない。正しいことは、正しくないということだ。検証は、野球で行われる。
数学で考えれば答えは簡単。ピッチャーから、ホームベースまでの距離、ボールのスピード、
以上。
だが、人間が行なう作業。誤差がある。毎回ホームランなんて出ない。ここが、二度と同じことが出来ない面白さ、
落ちてきた体力を、知力で補い、分析、検証で補い、
だが、脳の野郎はすぐに家主を騙し、その気をさせて、
柏野さんは、脳と戯れている。脳と家主は、いい塩梅でつきあっている。脳のウソに家主はマコトを見つけ、
柏野さんは、とても楽しそうだった。脳に洗脳されている。いい意味で洗脳されている。塩梅がいいのだ。
ほとんどの人間も、脳に洗脳されている。だが、楽しそうではない。塩梅が悪いからだ。
脳という千両役者のウソに、観客の家主はマコト見つけ、
賢者は何も信じない。だが、すぐに騙される。脳のウソが大きければ大きいほど、塩梅がよければよいほど、
VRで検証してはみたものの、
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