勝村コラム
2019年7月 8日(月) 那須川天心
今他局のドラマを撮影している最中である。
共演の志尊淳くんが、突然「那須川天心と戦うことになりました。 恐ろしくてしかたありません」と話し始めた。ドラマの番宣で、那須川天心君とスパーリングして、オデコとボデ ィにパンチに反応する器具をつけて戦うらしい。
その器具に当てれば、志尊くんの勝ち。守りきれば、天心くんの勝ち。もちろん、天心君は攻撃なし。なんじゃそれ?
しかし、いくら攻撃なしといっても、天心君は恐ろしいほど強い。うちの番組のアナリストも、普段はやさしいが、戦いのスイッチが 入ると、人が変わって手がつけられない。笑っ
戦う男とは、そ〜ゆ〜ものなのだ。
那須川天心君のことは、ずいぶん前から注目していて、テレビで試 合がある時は、楽しみに観ていた。とにかく、天心君も手がつけられない。強すぎるのだ。観ていて怖いくらいに。
おりは学生の頃、サッカー選手か、相撲取りか、プロレスラーにな れたらいいなと考えていた。笑っ
時期もあった。笑っ
以前にも書いたと思うが、高校時代にサッカーの練習の合間に、体 育館の用具室のマットの上で、恐ろしいほどブリッジをやって首を 鍛えていた。ブリッジしたお腹の上に、仲間を二人乗せて鍛えていた。
おりが子どもの頃のテレビでは、プロレス、ボクシング、キックボ クシングと、格闘技が大人気だった。
プロレスは、「タイガーマスク」
ボクシングは、「明日のジョー」
そしてキックボクシングは、「キックの鬼」というアニメが、もの すごい人気だった。必殺技「真空飛び膝蹴り」で相手を倒す、沢村忠さんというスーパ ースターがいた。1973年には、ジャイアンツの王貞治さんを抑えて、日本プロス ポーツ大賞を受賞しているのだから、その人気の凄さがわかるでし ょう。
あの、佐山聡さんも、小学生の時に沢村忠さんの試合を観て、格闘 技が好きになったそうだ。沢村忠さんがいなければ、天才・佐山聡は生まれなかったかもしれ ないのだ。ポケモンのサワムラーも、もちろん沢村忠さんからきている。
他にも沢村忠さんの逸話にはキリがない。今から考えると、毎週戦っていたように思うのだが、笑っ、ほとん ど勝っていた。ふらふらになりながら、最後に真空飛び膝蹴りで、相手を倒す。
観客がメロメロになる、「ツボ」を知っているというか、とにかく 老若男女問わず、沢村忠さんを応援したくなってしまう。そんな素晴らしい選手だった。誰からも愛される選手だった。しかも必殺技まで持っている。昭和っぽい。笑っ
必殺技とは、必ず殺す技。
話はそれるが、昔、国際プロレスにいた、グレート草津の必殺技は 、タックルだった。グレート草津さんは、熊本工業から八幡製鉄所でラグビーをやって いた本物である。日の丸を背負った経験もある、アスリートだった。大好きなレスラーの一人だった。
しかし、必殺技がタックルってのは。笑っ。名前のひねりなさ過ぎ。笑っ
マイティ井上のサマーソルトドロップとか、サンダー杉山の雷電ド ロップとか、同じ団体のレスラーたちは、すごい名前の必殺技があ ったのに。笑っ
リングネームもすごいけど。笑っ
いい時代だった。笑っ
話を戻しましょう。
沢村忠さんの後は、その後の格闘技を変えたシーザー武志さん、外 国人で初めてタイの国技・ムエタイのチャンピオンになった、藤原 敏男さんなどが次々と現れた。シーザー武志さんは、キックボクシングからその後の格闘技の流れ をも変えた、スーパーレジェンド。
藤原敏男さんは、ストイックで、無駄のない恐ろしい戦いをする、 カミソリのようなキックボクサーだった。当時、ムエタイは情報が少なく、不気味で、世界で一番強いキック ボクシングのカテゴリーと言われていた。
戦いの前の踊り・ワイクルー・ラムムアイ。自分の師と両親に感謝を捧げ、神に勝利を願う。この異文化のパフォーマンスが、妙にかっこよかった。
その後も、シーザージムから独立して、ガード下で練習し、王者に 登りつめるというサクセスストーリーを体現して、俳優にも挑戦し た前田憲作さん。おりはそのあたりまで、キックボクシングを楽しみに観ていた。
前田憲作さん以降は、仕事のこともあったり、キックボクシングの 人気が陰りはじめたりして、おりのキックボクシング観戦も遠ざか ってしまっていた。その沈黙を突然破ってくれたのが、那須川天心君だった。
そう、本当に突然だった。最初に観た試合は、相手が弱すぎたのかと思うくらい、天心君が強 すぎた。その後も、皆さまご承知の通り。
そして、衝撃的だったRIZIN14。メイウェザーとの試合。メイウェザーは、思いつくすべての方法で、那須川天心君を挑発し た。天心君は、その時のことをスタジオで熱く語ってくれた。
おりは、敬愛する作家の井上ひさしさんが、名作「ムサシ」という 宮本武蔵の戯曲を書く前の話を天心君にした。宮本武蔵は、勝つために恐ろしいくらいの準備をしていた。
負けたら死んでしまうからだ。メイウェザーも勝つために、恐ろしいくらいの準備をしていたのだ 。
天心君は「神の子」である。その神の子を、経験と狡猾、サッカーでいう、「マリーシア」いう 武器を使って、完膚なきまでに叩きのめした。マリーシアの前に屈した天心君は、号泣していた。
まぁ、体格の差を見れば、同じリングに上がることは危険過ぎる。もちろん、天心君はそれを承知で戦いを挑んだ。おりは、天心君の号泣をみていて、心が揺さぶられた。
先日のコパ・アメリカ。
若手のメンバーで挑んだ、森保ジャパンは、チリ戦で失礼だとバッ シングされた。ウルグアイ戦で引き分け、その評価は180度変わったようだが、 エクアドル戦で引き分けた後の評価は聞こえてはこなかった。
選手は、悔しそうだった。セミ・ファイナルでPK戦の末、ペルーに敗れたウルグアイ。唯一PKを外した、ルイス・スアレス。人目をはばからず、号泣していた。
一敗二引き分けで、敗退した日本の若者たちは、悔しそうだった。スアレスは、これからもすごいシュートを決めまくり、天心君は、 すごいKOを重ねる。
日本の選手に足りないのもの話をよく耳にする。番組でも何度も取り上げた。その答えを、神の子天心君に教えられた気がする。敗北した時に流す、滂沱の涙。
世界と日本の決定的な違いは、敗北した後の「涙」なのだと、おり は確信した。中田英寿さんが、2006年ドイツワールドカップで、日本敗退後 にピッチに倒れ込んだまま起き上がらなかった。あの行動を、批判的に捉えたメディアも多かった。
当時世界一のセリエAで活躍し、スクデットも獲得したレジェンド が、自身の引退も決意して臨んだ試合で敗退したのだ。子供の頃から、世界を見据えていたレジェンド。その夢を、実現したレジェンド。
世界を身近に感じていた、男の引き際のあの涙。メッシは、チリとの3位決定戦で、よくわからない退場を宣告され た。チリに勝利した後は、表彰式に参加せず、メダルの受け取りを拒否 した。
日本人が同じことをやったら、次から代表に呼ばれることはないだ ろう。天心君のメンタリティー。
日本代表がワールドカップで優勝するために、最も必要なものなの かもしれない。
共演の志尊淳くんが、突然「那須川天心と戦うことになりました。
その器具に当てれば、志尊くんの勝ち。守りきれば、天心くんの勝ち。もちろん、天心君は攻撃なし。なんじゃそれ?
しかし、いくら攻撃なしといっても、天心君は恐ろしいほど強い。うちの番組のアナリストも、普段はやさしいが、戦いのスイッチが
戦う男とは、そ〜ゆ〜ものなのだ。
那須川天心君のことは、ずいぶん前から注目していて、テレビで試
おりは学生の頃、サッカー選手か、相撲取りか、プロレスラーにな
時期もあった。笑っ
以前にも書いたと思うが、高校時代にサッカーの練習の合間に、体
おりが子どもの頃のテレビでは、プロレス、ボクシング、キックボ
プロレスは、「タイガーマスク」
ボクシングは、「明日のジョー」
そしてキックボクシングは、「キックの鬼」というアニメが、もの
あの、佐山聡さんも、小学生の時に沢村忠さんの試合を観て、格闘
他にも沢村忠さんの逸話にはキリがない。今から考えると、毎週戦っていたように思うのだが、笑っ、ほとん
観客がメロメロになる、「ツボ」を知っているというか、とにかく
必殺技とは、必ず殺す技。
話はそれるが、昔、国際プロレスにいた、グレート草津の必殺技は
しかし、必殺技がタックルってのは。笑っ。名前のひねりなさ過ぎ。笑っ
マイティ井上のサマーソルトドロップとか、サンダー杉山の雷電ド
リングネームもすごいけど。笑っ
いい時代だった。笑っ
話を戻しましょう。
沢村忠さんの後は、その後の格闘技を変えたシーザー武志さん、外
藤原敏男さんは、ストイックで、無駄のない恐ろしい戦いをする、
戦いの前の踊り・ワイクルー・ラムムアイ。自分の師と両親に感謝を捧げ、神に勝利を願う。この異文化のパフォーマンスが、妙にかっこよかった。
その後も、シーザージムから独立して、ガード下で練習し、王者に
前田憲作さん以降は、仕事のこともあったり、キックボクシングの
そう、本当に突然だった。最初に観た試合は、相手が弱すぎたのかと思うくらい、天心君が強
そして、衝撃的だったRIZIN14。メイウェザーとの試合。メイウェザーは、思いつくすべての方法で、那須川天心君を挑発し
おりは、敬愛する作家の井上ひさしさんが、名作「ムサシ」という
負けたら死んでしまうからだ。メイウェザーも勝つために、恐ろしいくらいの準備をしていたのだ
天心君は「神の子」である。その神の子を、経験と狡猾、サッカーでいう、「マリーシア」いう
まぁ、体格の差を見れば、同じリングに上がることは危険過ぎる。もちろん、天心君はそれを承知で戦いを挑んだ。おりは、天心君の号泣をみていて、心が揺さぶられた。
先日のコパ・アメリカ。
若手のメンバーで挑んだ、森保ジャパンは、チリ戦で失礼だとバッ
選手は、悔しそうだった。セミ・ファイナルでPK戦の末、ペルーに敗れたウルグアイ。唯一PKを外した、ルイス・スアレス。人目をはばからず、号泣していた。
一敗二引き分けで、敗退した日本の若者たちは、悔しそうだった。スアレスは、これからもすごいシュートを決めまくり、天心君は、
日本の選手に足りないのもの話をよく耳にする。番組でも何度も取り上げた。その答えを、神の子天心君に教えられた気がする。敗北した時に流す、滂沱の涙。
世界と日本の決定的な違いは、敗北した後の「涙」なのだと、おり
当時世界一のセリエAで活躍し、スクデットも獲得したレジェンド
世界を身近に感じていた、男の引き際のあの涙。メッシは、チリとの3位決定戦で、よくわからない退場を宣告され
日本人が同じことをやったら、次から代表に呼ばれることはないだ
日本代表がワールドカップで優勝するために、最も必要なものなの
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