勝村コラム

2019年3月17日(日) 当たり前

一昨年だったか、大先輩の西田敏行さんと岸部一徳さんと3人で、福島の温泉に旅行に行った。福島は、西田さんの故郷。福島に着いてから、私のサラリーマン時代にお世話になった、福島出身で、今は福島在住の先輩に久しぶりに連絡した。

すると西田さんが、「かっちゃんが世話になった先輩なら、ここに呼んで一緒に飯食おうよ」と当たり前のようにおっしゃってくれた

西田さんは、そんな人なのだ。

旅館で、超有名俳優の先輩2人と、ど素人の地元の先輩と、私と、おっさん4人で、福島の美味しいご飯と、美味しいお酒を楽しんだ。西田さんは、ど素人の初めて会った先輩に、「せっかくなんだから、泊まっていけばいいじゃん」と、当たり前よのうにおっしゃった

西田さんは、そんな人なのだ。

一徳さんも、当たり前よのうに受け入れてくれる。最高の先輩たちの気遣いと、最高の温泉と、最高の景色も味わった。福島出身の西田敏行さんは、福島をこよなく愛している。いつも福島のことを考えている。東北新幹線で福島に降り立ってから、福島の人たちは西田さんに「お〜、西田さんおかえりなさい」と当たり前のように口々に挨拶する。

西田さんも、「ああ、どうもどうも、ただいま、どうも〜」なんて挨拶を、当たり前よのうにしている。福島を愛して、福島に愛された、福島出身の日本の宝。こんな風景は福島でしかありえない。そして、西田さんでしかありえない。

そんな福島に、1997年、日本サッカー界初のナショナルトレーニングセンター、Jヴィレッジが開設された。

ここから、福島から育った若者たちが、日の丸を背負い、世界に飛び出して行く。Jリーグで活躍する、世界で活躍する、代表で活躍する若者たち、猛者たちが、ここから育っていく。旅立っていく。そして、また戻ってくる。

そんな場所が、日本にも誕生したのだ。夢は大きく膨らんだ。その大きく膨らんだ夢を東日本大震災が奪ってしまった。8年経った今も、被災された方たちは苦しんでいる。復興のために、たくさんの方たちが今も闘っている。東北の印象が強いが、他の地域も被災されている。関東地方の太平洋沿岸部、北海道も被災されている。

決して忘れてはならない。さらに福島は、原発事故が起こってしまった。先は見えない。誰も責任を取らない。誰も責任を取れない。被害はどんな単位でも表せない。しかし、福島の人たちは、ゆっくり、力強く、福島を立て直そうとしている。

それは、最高の場所への愛情「福島愛」である。福島の景色は素晴らしいし、福島の食べ物は美味しいし、福島の人はやさしい。そして、強い。福島は少しずつ回復している。

日本サッカーの夢の場所、Jヴィレッジは、震災後、復興のための施設に変わっていた。だが今年、そのJヴィレッジは復活した。それは、福島の復活の、復興の明かりの一つでもある。来年は東京オリンピック、パラリンピックが開催される。

それに合わせて日本中のインフラが整備されている。2019年に、日本でラグビーのワールドカップも開催される。アルゼンチン代表が、福島を、Jヴィレッジの施設を使ってくれるそうだ。

2002年日韓ワールドカップの時に、サッカーのアルゼンチン代表が使ってくれた縁があってのことだ。どんなに日本が世界に向けて、福島は安全ですとアナウンスしても、それを信じてもらうことは難しい。だが、ラグビーのアルゼンチン代表が、震災後の、福島の施設を使ってくれる。

アルゼンチン代表の戦う姿が、福島の安全を世界に知らしめてくれる。アルゼンチンの勇気と信頼には、心から感謝するしかない。私は、ラグビーのワールドカップでは、日本とアルゼンチンを中心に観戦する。

日本人すべてがそうすべきだ。

今は、なでしこが、Jヴィレッジを利用している。今年は、女子のワールドカップも控えている。高倉監督も福島の出身だ。これからJヴィレッジは当たり前に使われていく。

当たり前に使われて、当たり前に選手が育ち、当たり前に人が集まる。福島に当たり前が戻ってくるのだ。

何故なら、福島が素晴らしいのは、当たり前だからだ。
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