勝村コラム
2018年12月 2日(日) 悪役
憎いほど強いと呼ばれた男。第55代横綱の北の湖敏満。
私が子どもの頃、あまりにも強すぎて観客からブーイングまでされた男。身体も髷の形も、いわゆるお相撲さんの人形のようだった相撲の神に愛された男。相撲界のエルニーニョだった。しかし、このエルニーニョは、神に愛されたが、観客には愛されなかった。とにかく嫌われた。強すぎて嫌われた。
投げ飛ばした後に、すぐに後ろを向き、倒れた相手を見もしない。倒れた相手に手も貸さないと言われた。本人曰く、「相手に失礼。同情をかけられたようでかわいそうでしょう。自分が負けた時に手を貸されたら屈辱だと思うから、自分も相手に手を貸すことはない」と言い切っている。
そんな北の湖を、私は子どもながらにすごいと感心していた。すこし好きだった。強すぎるので、優勝争いに勝った強すぎる横綱に、観客はブーイングを始め、強すぎる横綱が負けた時に、会場がまさかと思いどよめいた。そんな力士はもう出てくることはないだろう。とにかく、強すぎて嫌われた。
「江川。ピーマン。北の湖」子どもの嫌いなランキングに見事に選ばれた。強すぎて悪役にされた最強の男である。
話はいきなり小さくなるが、私の3つ上の兄貴は、何故か子どもの頃から、近所の子どもたちと遊ぶ時に、必ず悪役を買って出ていた。弟としては、兄貴には悪役を倒すカッコいいヒーローであって欲しかった。しかし、遊ぶ度にみんなから襲われる悪役を選ぶのだ。
まったく意味がわからなかった。だが、大きくなってから、悪役がどれだけ楽しいかわかった。兄貴は悪役の楽しさがわかっていたのかもしれない。悪役は悪役という規制の中で、なんでもできる自由な存在なのである。ヒーローは、何があっても、ヒーローであり続けなければならない、不自由な存在なのである。こんなに苦しいことはない。
高倉健さんのような、ウルトラスーパースター以外、ヒーローを背負い、ヒーローであり続けることは難しい。そして高倉健さんは、誰にも嫌われていない、希有な存在なのである。北の湖は、悪役になりたくてなった訳ではないと思うが、悪役というより、強さを全うした、嫌われることを全うした、見事なレジェンドであった。かっこよかった。
で、12月1日(土)のブレインは、二度目の登場の言わずと知れた堀江貴文さん。何故、堀江さんの回のコラムに、嫌われること、悪役という、負のイメージを重ねたのか?
私が堀江さんを嫌っているとか言うことではもちろんありませんよ。私は、堀江さんがかなり好きなのである。本当の悪役、嫌われるってことがどれほどすごいか、これから説明してやる。堀江さんは、Jリーグのアドバイザーになって三年目になるそうだ。早いものだ。
Jリーグの名前を一番リーグに変えた方がいいという意見は、すごいインパクトだった。とにかく、頭がよく、切れ者。情報量が半端なく、興味や話題も多岐に渡る。TMとTAに分けられる。えと、堀江さんが読まない前提ですが、逮捕前、逮捕後ね。なんか、すみませんっ(笑)。
キリストではないが、前と後では、人間の深い場所で、かなりの違いがあると思うから。TMの頃は、動きが凄まじすぎて、好き嫌いがハッキリとしていた。まぁ、後半の方は嫌いと答える人が圧倒的に多かったと思う。確かに若くて絶好調だった堀江さんを、普通の人間は、理解も捉えることもできなかったからね。
まぁ、本人は、逮捕に関わること以外は、全て想定内のことだったろうけど。たくさんのオプションを、僕らの想像を超えるオプションを想定して、その中から冷静に選択しているのだろう。スタジオでは何度も説明しているが、演劇でも、オプションをたくさん作る。
何が起きても対応できるように。まぁ、結果的に演劇の場合、何にも対応なんかできないし、対応なんかしてはいけない。サッカーでも、たくさんのオプションを持っている選手、チームは強い。死ぬほどトレーニングを積んだ人にしか、オプションを作ることができない。TAでは、人間の幅が広がり、さらに活動の幅を広げ、ロケット開発で宇宙に近づき、今やサンタクロースとなって、ミュージカルにも挑戦している。
驚くほどさらにさらに足が速くなり、捕まえられる人がいない。多分本人は、ゆっくり進んでいるような感覚なのかもしれない。とにかく、何をしでかすかわからない。こんな魅力的な人がいるだろうか?
日本でも、最近ではニュースでいろいろ騒がれている、一般とはカテゴリーが違う人が増えてきている。今、日本で嫌われる人は限られている。一般人の嫉妬と羨望を併せ持った人。それがいまの嫌われ者。つまらないでしょ?
本当の意味で、深い意味で嫌われていることにはなっていない。嫌っている側がちっぽけだから、つまらない。嫌われている側も、本当の悪役ではない。堀江さんには、本当に申し訳ないが、今、スンゲェ嫌われて欲しい(笑)。
本物のダークヒーローになれる人がだから。
堀江さんは、本当にすごいから大丈夫。江川さんも恐ろしいほど凄かった。ピーマンは、調理法でなんとでもなるから、嫌われ者ではない。堀江さんが、ダークなヒーローになればなるほど、日本は健全な国になる気がする。またしばらくしたら、番組に出演していただけると思う。
もちろん、堀江さんが出てもいいと思えるような番組作りをして、魅力的な番組でなければならない。その時にはまた、恐ろしいほどの情報と、アイデアで、スタジオが満たされる。宇宙から見た、地球のサッカーの話なんか聞きたいなぁと思うし、思わせてくれる人が堀江さんである。ミュージカルから見た、サッカーの話もしてくれそう(笑)。
宇宙という規制の中で、自由に遊ぶ、新しい悪役。桁外れな人でしょ。堀江さんは。堀江さんに会えば会うほど、好きになってしまう。困ったものだ。
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