勝村コラム

2019年4月21日(日) 世代交代

長く続く集団で難しいのは、世代交代である、例えば、ザックジャパン。

評判のよかったイタリア人監督もブラジルワールドカップで惨敗し、日本におけるサッカーの灯りも消えかけた。監督の経験値も批判になった。素晴らしいメンバーが揃っていたが、長くメンバーに変化がなかった。

結果論だが、若手を積極的に起用したり、内部を活性化する必要があったのだ。もちろん、香川、本田、岡崎選手など、代えのきかない素晴らしい選手が多くいたのも事実だった。代表を引っ張ってきた選手たちを、代表から外すのは難しいし、若手を積極的に起用するのも難しい。

ハリルジャパンでは、若手を積極的に起用した。だが、結果を出す若手はほとんどいなかった。

期待をして観ていたが、飢えた若者たちは、鎖を繋がれたように動きが鈍く、ミスが多く、本来の力を出すこともなく代表落ちしていった。力不足もあったが、縛りが強すぎて、力を出すことを禁じられたような采配にも疑問が残った。森保ジャパンでは、怖いほどチームを入れ替えた。

気持ちいいほどに。若手は躍動し、結果を出した。こんな代表、こんな積極的に戦う若者たち。今までの代表では観たことがないほど魅力的だった。だが、この若武者たちでさえ、国際大会ではスッキリ勝つことは難しい。

評判のよかった若武者たちに、批判の文字が踊る。それが現実だ。結果、今まで呼ぶことのなかった、ベテラン選手を代表に復帰させ始めた。不思議な世代交代になった。やはり経験値の高い選手をチームに入れた方が、チームはまとまる。のか?

結果はまだ出ていない。久しぶりの日本人監督率いる、イキのいい才能溢れる若武者の代表。ロードトゥカタールの戦いは、いろんな意味で楽しみで仕方ない。今回のブレインは、スポーツカメラマンの長田洋平さん。

番組では以前もスポーツカメラマンに来ていただいている。ヤナガワゴーちゃんは、おりと同い年できょうだいと呼び合うほど仲良くしてもらっている。サッカーの黎明期から活躍されているスポーツカメラマンは、サッカーの代表と同じように、日本代表がワールドカップに参加できるとは思っていなかった。

ゴーちゃんも、イタリア大会に取材に行くと、自分の国が出てもいないのに、何しに来たんだ?と言われたそうだ。もっともである。

ゴーちゃんたち世代と、長田くんたち世代。

乱暴なまとめ方だが、もちろんまったく違う。それは、サッカー選手と同じことだと気づいた。ワールドカップに当たり前に出ている日本代表を観ている世代と、ワールドカップに出ることすら想像していなかった世代。

ユニフォームやスパイクなども、昔と今はまったく違うように、カメラも驚くほど進化している。フィルムで撮影していた世代と最初からデジタルで撮影している世代。土のグラウンドでサッカーしていた選手と、初めから芝生や人工芝でサッカーをしている選手。セキュリティーもなく、選手と直接話が出来て撮影できた世代と、セキュリティーがしっかりしていて、選手と気軽に話すことが難しくなった世代。

ゴーちゃん世代は、目に見えるライブを切り取り、現実を伝え、人びとの記憶にダイレクトに結びついた。一枚の写真が、一試合と同じように物語を語っていた。生涯忘れることのない、素晴らしい写真たち。

長田くんは、いわゆるイケメンで、笑っ、今時の若者だった。あえて「くん」と書かせていただく。初めて長田くんの写真を見せてもらった。今まで見てきた写真とは、まるで違うものだった。芸術的な写真ばかりだった。

時間をかけて、準備して、何回も取り直して、ようやく作品にできたような写真ばかりだった。もちろんそんな悠長なことは、スタジアムで出来るわけがない。どんなカメラマンも条件は同じなのだ。

だが、同じ時間、同じ場所なのに、まるで違うものになる。なんだろ?

南アフリカ大会の時に、ピッタリしてつかまれないユニフォームを見たときとか。初めて見たブレ球とか。なんか、そんな感じ。笑っ

可動域が広がって、今までとは違う身体の使い方のフェイント見たとか。なんか、そんな感じ。笑っ

芸術的な絵を想像して、逆算して、仕留めて行く。それが長田くん。雪山のハンターのようだ。ゴーちゃん世代って分け方も失礼だが、ゴーちゃん世代の写真は、直接目に入ってきて、鈍器で殴られたような衝撃がある。そして、肉体の美しさに震える。

長田くんの写真は、直接入ってこない。物語が最初に提示される。意味が見えてくる。驚きが広がる。瞬間の美しさに震える。まるで違うものなのに、結果、震える。

世代交代とは、こういうことなのだろう。いい、悪いではない。釜本さんとキングカズと堂安くんを比べても意味はない。みな、素晴らしい点取り屋である。

写真の世界でも、こんな素晴らしいことが起こっていたのだ。同じ一点でも、すべて違う得点なのと同じように、同じ試合の写真でも、これほどの違いか生まれていたのだ。いい、悪いではない。

サッカーが好きな人たちが、自分の得意な武器を使って、それぞれの思考で、それぞれの感動を、一枚の写真におさめる。結果、おりたちの記憶に、一生忘れられないしあわせが残る。こんな素晴らしい世代交代。だが、カメラマンもキングカズのように生涯現役でいられる。

ゴーちゃんたちは、これからも経験を重ね、さらに素晴らしい写真を残してくれる。長田くんたちも、どんどん経験を重ね、さらに素晴らしい写真を残してくれる。カタールではどんな写真が撮影されるのだろう。

ゴーちゃんより前の世代。ゴーちゃん世代。長田くん世代。

日本代表が、ジュールリメのトロフィーを掲げる時に、どんな写真がおりたちをさらにしあわせにしてくれるのか。楽しみは尽きない。そして、長田くん世代の後に続く、若いカメラマンが、またおりたちをしあわせにしてくれるのだ

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