勝村コラム

2018年9月 8日(土) 世界を紐解く鍵

今回のブレインは、言わずと知れた池上彰さん。

まさかの池上彰さん。みんなの池上彰さんを、個人授業で呼んでしまったような、少し罪悪感もある。笑。最近の世界情勢を、ほとんどの人は池上彰さんから学んでいるような印象がある。もちろん僕もそうだ。だが、池上さんを知らない時はどうしていたのか?

僕はもちろん、サッカーからすべてを学んだ。と言っても過言ではない。

70年のメキシコ大会。

優勝した最強のセレソンは、軍事政権のチームだった。

78年のアルゼンチン大会

これも軍事政権のチームで、左派のメノッティ監督を自国を優勝させるために、あえて監督に選んだ。左派のメノッティもあえて政治的な発言を控えた。スペインも独裁者の象徴的なチームがレアル・マドリード。バスク地方、カタルーニャ地方、アンダルシア地方は、スペインにのみ込まれた。バルセロナは言語まで奪われたが、バルセロナ大学はカタルーニャ語を使う。

無敵艦隊と言われたスペインは、ずっと優勝することができなかった。理由はなんとなくわかる気がする。

イタリアも同様。マラドーナがナポリを強くし、最強のチームを作り上げた。だが、ミラノにナポリが試合に行った会場では、「イタリアへようこそ」と書かれた横断幕が掲げられた。

イングランドだって、クラブチーム同士の仲の悪さは半端ではなかった。最強の時代のマンチェスターU。ツートップを組んだシェリンガムと、アンディ・コールは、普段から一言も口をきかなかったそうだ。本当の理由はわからない。ここで書くべきではないことが理由かも知れない。

だが、試合になると、二人は最高のコンビネーションだったそうだ。同じチームでも、嫌いな相手にはパスしない。そんなチームが、やはり自国開催の66年にだけ優勝している。ワールドカップにイングランドが参加しなかった理由も、負けるはずがないと思っていたかららしい。笑。だが、実際参加してみたら、優勝にはほど遠かった。

ドイツも、西と東に分かれていた。もちろん昔は、北と南は違う国だった。ってか、ヨーロッパなんて、地続きで、どこでも、すぐに行けるし、たくさんの小さな国があって、強い国が大きくなって、大きな国に小さな国が吸収されて、さらに大きくなってを繰り返している。昔は大きな国と国との戦争だったが、今は内戦ばかりだ。

旧ユーゴスラビアのサッカーを見てきた世代は、あまりに複雑で簡単で悲惨な、同じ国の争いを目の当たりにした。東欧のブラジルとまで言わしめた、美しく技術があるチームの崩壊は、サッカー野郎の心を砕いた。

世界で一番使われている言語は?

という問題で、日本人は圧倒的に英語と答えた。だが、サッカー野郎は知っている。それは、スペイン語だということを。大航海時代にポルトガルやスペインは南米を自分たちの物にした。アフリカも含めて、スペイン領が最も多い。歴史をしっかりと理解していれば、自ずと理解出来てくる。

池上さんと冒頭に広島県の似島の話をした。

第一次世界大戦で、似島は俘虜収容島だった。そこで作られたドイツ人チームと、広島の学校が日本で最初の国際試合をした。つま先でボールを蹴ることしか知らないチームと、現代とほとんど変わらない技術を使ったドイツチーム。

ここから広島のサッカーは強くなっていった。帰国したドイツ人が地元でヴァンヴァイルというクラブチームを作る。そこから、ギド・ブッフバルトが出てくる。その後ケルンでスターになり、代表でも活躍して、レッズ以降の日本との関わりはご存知の通り。

そして、何故かそのヴァンヴァイルでわたくし勝村は、紅白戦に混ざり、ギドの実家も見に行った。レッズのOB戦に呼んでいただいた時に、ギドにサインをくださいと、ヴァンヴァイルのフラッグを持って行ったら、驚いて動きが止まった。笑。

そのドイツ人にサッカーを教えたのは、ドイツで初の英語教師コンラート・コッホ。彼がいなければ、ドイツのサッカーが強くなるのはもう少し遅れていたかも知れない。第二次世界大戦の最中に、ドイツの軍隊のチームと、ウクライナの捕虜のチームが対戦した。勝ったら殺すと脅されたウクライナのチームは、堂々と戦い、勝って殺された。こんな悲しい歴史も、サッカーから学んだ。

人が生きていくためには、争いは避けられない。

作家の岩松了さんは、母親が子供をかわいいと思った瞬間から、戦争が始まると言っていた。戦争か争いかは失念したが、同じような内容である。そんな恐ろしい争いを、たった一つのボールが解決してくれる。それがサッカーの魅力であり、魔力である。サッカーは、国と国との代理戦争であった。

クラシコやダービーの意味が、海外ならすぐに理解出来るが、日本では理解されにくい。日本は廃藩置県により、勢力図が変わってしまったからだ。

長野と松本のダービー。

松本と長野のダービー。

と、両方書かないと怒られるかも知れないと思うくらいのダービーである。これも、藩で考えればすぐに納得できる。九州だって、青森だって、どこでも、県で考えずに藩で考えれば、クラシコもダービーもすぐに理解できるのだ。ほかのスポーツでは、なかなかわからない。サッカーを通していろいろ考えると、夜も眠れない。

そんな夜には、池上さんに、興奮を抑えて眠る方法を教えていただきたい。


追伸

「サッカーことばランド」という絵本がある。金井真紀さん、熊崎敬さんの著書。サッカーの世界情勢がわかるすぐれたかわいい本である。最近よく聞く、パーク ザ パス。ゴール前にパスを止めたように、ひたすら守る。そんな世界中のサッカー用語が、たくさんの可愛らしい絵と共に説明されている。仲間や子供たちと、すぐに覚えて使える。

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