勝村コラム

2018年11月11日(日) ゼイリーグ

今回は久しぶりに、V・ファーレン長崎の髙田社長に来ていただいた。

人をもてなすことを知り尽くした社長が、V・ファーレン長崎をどれだけ改革しているのか、話を伺った。前回は、スタジアム周り、サポーター周り、あらゆる場所を直接走り回り、的確なジャッジをして、様々なストレスを解消して、観客にサポーターに一番最良の結果を導き出していた。

失礼な言い方だが、チームで一番の有名人である。そのカリスマ性が、チームを上昇気流に乗せ、J1に、いや、ゼイ1に軽やかに定着させていくかのように思われた。

だが、ゼイ1の壁は高く厚い。チームは降格危機を迎えている。だが、社長の野望は、ゼイ1残留はもちろんだが、長崎が、長崎の県民が一番幸せになることなのだ。

ありがたいことに、それを、サッカーを通じて、V・ファーレン長崎を通じて行おうとしている。2023年には、社長の息子さんの、ジャパネット髙田の社長が、壮大なスタジアム計画まで進めていた。恐るべしジャパネットたかた。

長崎のカメラ屋さんの息子さんが、会社を興し、日本を代表する会社に成長させ、その利益を長崎に還元する。しかも、長崎のクラブチームを、日本を代表するクラブチームに成長させようとしている。

ゼイリーグが開幕して25年。

たくさんのクラブチームが、たくさんの社長を迎え、交代を繰り返して、今、新しい感覚の経営者たちが、それぞれ大きな話題を集める仕事をしている。25年の歴史が、新たな歴史を生み出し、初めての景色を生み出している。

ゼイリーグは、イングランドのプレミアリーグと歴史としては変わらない。もちろん、イングランドはサッカーの母国であり、リーグの歴史は桁違いだが、プレミアリーグになってからという意味でである。

プレミアリーグは世界のトップになった。世界中のビッグマネーが、プレミアリーグに集まる。今はなんと、「ビッグ6」になっていて、さらにビッグクラブが増えて行くだろう。今、11月4日に、このコラムを書いているが、今日のニュースでは、チャンピオンズリーグがなくなると出ていた。

欧州のビッグクラブが、チャンピオンズリーグを抜けて、新しいリーグを作るらしい。普通のクラブとビッグクラブの差が大き過ぎて、力の差が大きくなりすぎての、当然の結果であろう。まぁ、他にも色々な暗躍があるのだろう。

ヴィッセル神戸は、潤沢にお金のあるチームだが、結果が伴わなかった。楽天がバルセロナのスポンサーになり、イニエスタを獲得して、時間をかけチームを大きく変革させようとしている。浦和もサポーターやチームのポテンシャルを考えると、成績が伴っていない。

マリノス、FC東京も、ガンバ、セレッソ。どのチームもポテンシャルとしては十分だが、まだ常勝チームには至っていない。何かが足りないのだ。だが、後発のV・ファーレン長崎は、切れ者の髙田社長が、長崎を動かし、大改革を準備して、ビッグクラブの仲間入りを狙っている。

後発だからこそ、出来ることがたくさんあるのだ。群雄割拠と言われるゼイリーグの、頂点を目指している。しかも、長崎にV・ファーレン王国を築こうとしている。

そして、不思議なことに、幸せになるのは長崎県民だけではない。

サッカーを愛する、すべてのサポーターをも幸せにしようと画策している。長崎に観戦に来るアウェイのサポーターが、長崎に来てよかった。髙田社長に会えてよかったと思わせてしまうチーム作り、地元作りまでしている。アウェイのサポーターが、長崎の街を好きになってしまうチーム作り。

こんなチーム聞いたことがない。サッカーは、代理戦争である。国、民族、貧富。様々な妬み、憎しみ、歴史を内包した、代理戦争である。もちろんスポーツなので、殺し合いではない。

憎しみ合うチーム同士もあれば、バスク地方のダービーのように、サポーター同士が仲良く観戦する試合もある。長崎は、髙田社長は、すべてのチーム、サポーターと仲良く、お互いに幸せになれるような、チーム作り、地域作りを目指している。

なんだそれ?

だが、そんなチームが世界で初めて誕生するかもしれない。そして、常勝チームになるかもしれない。髙田社長の話を聞いていると、なぜか可能性を感じるのだ。長崎は、昔から海外とつながって来ている。

昔から特別な、日本の扉のような場所である。明治以降、日本の扉は開かれ、長崎の扉は必要なくなった。はずであった。だが、さらなる大きな、世界に通じる扉を、長崎愛の代表のような、髙田社長が作ろうとしている。

山田風太郎の小説に、「魔界転生」という作品がある。1981年に深作欣二監督により映画化された。驚くほどに美しく、妖艶な天草四郎を、沢田研二さんが演じていた。すごい作品だった。美しく、怖く、儚い。そして、物語は終わることがない。私の映画史の中でもトップクラスに好きな作品である。

髙田社長は、天草四郎時貞のように思える。キャラクターは全然違う。笑っ。

まったくの正反対なのだが、天草四郎を今の人で配役すると、髙田社長以外思いつかない。

キャラクターは全然違うのに。笑っ。

だが、髙田社長は、「魔物」である。この現代の「魔物」天草四郎髙田の活躍が、日本の新しいクラブチームの一つの指標になるだろう。天草四郎髙田は、ゼイリーグをプレミアリーグのようなリーグに押し上げるかもしれない。

その時、Jリーグは、世界中でゼイリーグと発音されるかもしれない。

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