勝村コラム
2022年12月26日(月) 戦術

らしさ、とずいぶん前から言われてきた。日本らしさ。
日本のサッカーの形。ずっと探してきた。解説者のみなさまの話しをずっと聞いて、ずっと考えてきた。答えはいまだに見つからない。
ってか、答えは見つかるのだろうか?国の形ってあるのだろうか?
イングランドのサッカーの形はあるのだろうか?
ドイツのサッカーの形はあるのだろうか?スペインのサッカーの形はあるのだろうか?
あるような気がする。
そう。
あるような気がするけど、はっきりした形なんて、ないんじゃないのか?
そういう結論に達してしまった。
ブラジル、アルゼンチン、南米のサッカーの形ってあるのだろうか?やはり、あるようで、ないのではないのか?
今回、みんなが優勝候補筆頭にあげていたブラジル。結果はものすごく愛されていたチッチ監督が、めちゃくちゃ叩かれて、人格まで否定されていた。
番組でサンパウロに取材に行った時に、コーチから、日本はもはや技術はブラジルより上かもしれないと言われた。
でも、試合では、絶対にブラジルが勝つ。
なぜならば、日本のサッカーはやることがわかる。でも、ブラジルは自分たちでも、何をするのかわからない。と言っていた。
アルゼンチンは、ずっと期待されながら、メッシと他の選手の関係が上手くいかず、これまで世界最高の選手のメッシは、母国アルゼンチンではバッシングされていた。
今回メッシの大活躍と、周りの若い選手とのバランス、コミュニケーションが見事にハマり、初戦のサウジアラビアに敗れたものの、歴史に残る決勝でフランスを破り、3度目の優勝と、メッシは自らメッシの物語を完璧にした。
これまでアルゼンチンにサッカーの形があったのか?シーザー・メノッティ。マリオ・ケンペス。マラドーナ。
78年の代表は、独裁政権が作ったチームだった。
70年のブラジルも然り。
南米のサッカーの形はあるのだろうか?勇気を持って、否!と言いたい。美しい個人技。南米は個人技が素晴らしい。昔からずっと言われている。
それはサッカーの形なのか?
そうなのか?
結論から言わせてもらえば、結局、個人技、それがサッカーの形なのではないだろうか?
結局、個人技の集まりに帰結するのではないだろうか?
おりは料理が好きで、なんでもテキトーに作る。作るものを決めて、買い物をすることもあるが、買い物してる途中で、何作ろうかと決めることがほとんどである。
食材を見ながら、これ作るか?これとこれを買っとこかな。家の冷蔵庫には、様々な食材が入っている。
買い物の後、3日目くらいの冷蔵庫。何も考えずに扉を開ける。これとこれと、これが作れるかな?そしてその日のご飯のメニューが決まる。
冷蔵庫にある食材を上手く組み合わせて、料理を決める。
ワールドカップの期間は、約1ヵ月。
時短が求められる。調理法はシンプル。時間をかけずに食材次第。これが、サッカーの形なのではないだろうか?
と。素人ながらの結論に達した。
もちろん乱暴なのはわかっている。だが、これまで日本のサッカーの形を理解したことがあったのだろうか?
メキシコオリンピックで銅メダルを獲得した時の日本のサッカーの形は、杉山隆一さんが、釜本邦茂さんにパスを出して、釜本さんが決める。
これだった。その後も然り。
今回のワールドカップの予選では、伊東純也君がスピードをいかして大活躍して、チームを引っ張っていた。もちろんしっかりした守備があってのことである。
本番でも、しっかり守り、両ウイングが、スピードで勝負して、得点を決める。これが日本のサッカーの形なのか?
そう、これが「今回」の日本のサッカーの形だったのだ。
もちろん、戦術はある。しかし、昔、バルセロナを率いたイングランドの監督が、戦術はロナウドと言って、失笑された。
だが、よくよく考えると、これこそ、真実を突いているのではないだろうか?
オランダは、74年前後に、ミケルス監督とクライフによって、トータルフットボールという美しい戦い方を編み出した。
それまでのオランダは洗練されたチームとは言い難かった。バルセロナでクライフは選手として、監督として、夢のような戦術を作り、継承した。
だが、ミケルスもクライフも、必要なスペシャルな選手を箇所箇所に集めてチームを作った。
ロマーリオ、ストイチコフなどの個の強い暴れ者たちを(失礼)、しっかりマネジメントして、有機的に動かした。
後に、ペップがその究極の完成形を作ったが、そのバルセロナは、ユース世代から、カンテラで専門的な哲学で選手をしっかり育成していた。しかも、そこにはモンスターが揃ったのだ。
それは必然だったのか?
偶然だったのか?
しあわせな偶然が重なったのだ。
シャビ、ブスケツ、イニエスタ、メッシ。このモンスターたちが、同じチームで、子どもの頃から同じ哲学で育ってきたのだ。戦術は、成長と共に、植えつけられてきた。
しかも、それぞれのモンスターたちのポジションが見事なバランスだった。結果、奇跡の美しいチームが、完成された。こんな芸術的なチームは、後100年は出てこないかも知れない。
2010年前後のバルセロナは、イコールスペイン代表。今回のスペイン代表にサッカーの形はあったのか?
否。当時のバルセロナの幻影を追ったスペイン。バルセロナのサッカーの形にこだわったチームは、脆くも崩れ去った。
ドイツも然り。ペップがバイエルンミュンヘンを率いた時代のチームは、元々日本が命名した、ゲルマン魂。
ドイツの勤勉、諦めない精神、フィジカルに加えて、バルセロナの美しく、洗練された戦術をペップが植えつけた。
そして、見事に、ハマった。ノイヤー、ラーム、ミュラー、ブラジルワールドカップでは、開催国で優勝候補のブラジル相手に、美しく7点を奪い粉砕して、そのまま圧倒的な強さで優勝した。
そして、ペップはドイツを離れ、イングランドへ渡った。
大きなお金でスペシャルな選手を集めて、またもや圧倒的なチームを作った。
恐ろしく強いこのチームは無敵に思われた。だが、この天才監督は、暴走を始めてしまう。プレミアリーグで勝利するため、チャンピオンズリーグで勝利するために。
とにかく一つの戦術では我慢ならずに、チームに負荷をかけ続ける。強固なチームをさらに強固にするために、戦術を複雑化する。
先へ先へと進むスピードが速すぎて、ここという時に、チームは崩壊してしまう。結果、最強のクラブチームは、ビッグイヤーに手が届かずにいる。手の中にあるはずのトロフィーを、自ら離してしまっているのだ。
そして、今回のイングランド。
優勝候補に挙げられていた。
ベンゲル監督の最強のアーセナルの時も、ファーガソン監督のマンUの時も、チームにイギリス人がほとんどいなかった。
ペップがイングランドで率いた最強のクラブチームも多国籍軍で、代表チームに反映されていなかったのである。
しかも同じチームに、敵対しているチームの主力選手が何人もいる。おりの知り合いのリバプール生まれの演出家のKOP(リパプールサポ)は、勝村、俺は代表になんの興味もないんだよ。リバプールだけを応援しているんだ。と、笑った。
その後、黄金期が過ぎ、監督が代わったアーセナル、マンUの凋落は周知の通り。
結局、監督が代わると、戦術も選手も代わる。リーグ戦の戦い方、トーナメント戦の戦い方。クラブチームの戦い方、ナショナルチームの戦い方。
もちろん、それぞれ違う。
今回のワールドカップ決勝。
フランスは、エムバペがいなかったら?アルゼンチンはメッシがいなかったら?監督たちは、どんな戦術を使ったのだろう?
アルゼンチンとオランダの試合。
最後にはトータルフットボールを作った国が、バルセロナも率いた監督が、前線に長いボールを放り込むだけの戦術に切り替えた。恐らく、あんな戦術をオランダの選手たちは、練習したことなどなかっただろう。
バルセロナの英雄のメッシが、戦い方を批判していた。シャビをデビューさせた監督の戦い方を。
今回の出場国。
それぞれのチームに、らしさはあったのだろうか?
戦術を理解し実践できるのは、高いレベルの選手たちである。だが、最終的には、さらにレベルの高いモンスターが戦術になる。これまで強力なチームは、結局、モンスターな選手が試合の勝敗を決めてきた。
結局、ずっとそうだった。素晴らしい監督は、選手を上手くマネジメント出来る人たちだった。
そして最終的に、個人で打開していけるモンスターが、結局は戦術なのだ。そして、長い時間をかけることでそれぞれの国、なんだか、「らしさ」が見えてくるのかもしれない。
日本は目標に届かなかったけど、最高の試合を観せてくれた。
4年後のチームはどうなるのだろう?
どんな選手が育ってくるのだろう?
新しく日の丸を背負う若者たちが、戦術となり、近い将来日本を、ワールドカップの優勝に導いてくれる。
もう、夢物語ではない。
今回のワールドカップで、世界中が確信したでしょう。
ってなことを、長々書いてしまいましたが、こんな話しを、みんなで飲みながら、永遠に、みんなでワイワイしゃべるのが、楽しいんだな。
結論なんてどうでもいいのだ。
んで、これ書いてからYouTubeたくさん観てたら、だいぶ前に、ペップがインタビューで、戦術は選手たちって言ってた。笑。
サッカーってほんとに面白い。
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